秋の行楽シーズンである。紅葉狩りに繰り出すのもいいが、遠出する時間がない貴方にお勧めなのが「都会のオアシス」水族館。夏休みの喧噪が過ぎた今頃は案外、穴場だ。

 しかも、先日報告されたプリマスに所在する英国・国立水族館とプリマス大学、エクセター大学からの共同研究結果によると、「水族館の展示を眺めていると血圧と心拍数が低下する」という。

 研究チームは国立水族館が改修された際、全長14.3メートル×幅6.2メートル×深さ6メートルの巨大水槽が導入されるのを機に研究をスタート。水槽では、英国周辺の海洋生態系が再現され、中の様子は14メートル×4.25メートルのパネル越しに公開されている。

 研究チームは特定の場所で来場者や協力者の気分や血圧、心拍数を測定。観賞前後で比較した結果、水槽の前で過ごす最初の5分で対象者の上下の血圧値や心拍数が明らかに低下した。また、続く5分で次第に落ち着いてリラックスした気分になっていった。海洋生物の数や種類が多いほうが水槽前で過ごす時間が長くなり、心身へ好影響するという。

 研究者は「水族館は自然環境に触れる機会が少ない人々に“自然”の癒やし効果を体感する機会を提供するものだ」としている。

 また、今回の研究は巨大水槽が対象だが、小さなアクアリウムが心身の健康に及ぼす良い効果も見のがせないという。例えば、歯医者や外科の待合室や、ストレス満載のオフィスの一角に備えられたアクアリウムも、それを意図しているのだろう。

 英国と同じ海洋立国日本でも、水族館は人気がある。プリマスの国立水族館と同じ規模の施設が各地に点在しているのも嬉しい。

 ちなみに、日本最大の水槽「黒潮の海」(沖縄美ら海水族館)は、全長35メートル×幅27メートル×深さ10メートル。水量は7500立方メートル(750万リットル換算)と一桁、規模が違う。海洋生物の種類も豊富で長い時間眺めていても、見飽きることはない。

 都会の生活にストレスを感じたら、アクアリウムのなかで漂い、悠々と泳ぐ生物たちを眺めてみよう。ホンの5分でいいのだから。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)