日本ラグビーにとってW杯は屈辱の歴史だった。1995年にはニュージーランドに145失点という歴史的大敗を喫し、通算24試合で挙げた勝利は日本代表のキャップ数30を誇る大八木淳史氏らの1勝のみ。その弱小国が世界的な強豪を破ったのだ。2015年9月19日、日本が優勝候補の南アフリカに34-32で勝利したことは、歴史的な快挙だった。

「ラグビーは“まぐれ勝ち”が起こらないスポーツです。サッカーなどとは違い、弱いチームがゴール前を固めてカウンター狙いをしていればいいわけではない。ゲームの大部分がフォワードの力勝負となり、勝つにはタックルを繰り返して攻め続けなければならず、体格の差が得点やゲーム運びに出てしまう。スクラムで押されるような弱いチームはいずれ押し込まれて失点する。

 そう考えると、体格で強豪国に劣る日本が勝てたことが、いかに奇跡的なことであるかがわかるでしょう。関係者は皆、“生きているうちに見られて幸せだ”と口を揃えています」(ラグビー批評家の中尾亘孝氏)

 ラグビー界は物語が好きだ。古くは1968年、名将・大西鐡之祐(てつのすけ)監督率いる日本代表がオールブラックスジュニア(23歳以下のニュージーランド代表)を破ったことや、宿澤ジャパン(宿澤広朗監督)がスコットランド相手に金星を挙げたことが25年たっても語り継がれている。

 が、世界一にもなれる実力を持った相手を破った今回の偉業はそれらの伝説をすべて上書きした。エディー・ジャパンは100年後も語り継がれる。

※週刊ポスト2015年10月9日号