専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第22回】

 アマチュアゴルファーの多くは、各ゴルフ場が開催する競技会や、さまざまな団体、メディアなどが主催する大会には参加しませんよね。私も10年以上、クラブ競技やパブリック選手権の予選などには出ておりません。今や、そういう方のほうが多数派です。

 競技会に参加しない人たちが、腕自慢的な楽しみにしているのが、コンペです。

 コンペとは、コンペティションの略。競技会や競争という意味ですから、ゴルフコンペも確かに競技会ですが、最近は偶然的な要素が強い、新ペリアルール(※)で行なわれることがほとんど。それだと、「97」のスコアで優勝もあるし、「79」で回っても10位ということも起こります。その分、ゲーム的な要素が強いかもしれませんね。
※18ホール中、12ホールに隠しホールが設定され、そこで叩いた人がハンデキャップをたくさんもらえる

 ゴルフコンペは、主に会社や取引先などが主催するオフィシャルなコンペと、高校、大学時代の同級生や、商店街の仲間などで行なうプライベートコンペに分けることができます。もちろん気楽なのは、プライベートコンペです。景品などはみんなで持ち寄り、参加者のママがやっているスナックで打ち上げ、というのが相場なようです。

 一方、面倒ながら、社会人としての資質が問われるのが、オフィシャルコンペです。今回は、これにスポットを当てて、考察したいと思います。

 ここに、ハンデキャップ20ぐらいの、若手社員Aさんがいるとしましょう。とある日、会社の上司に「ゴルフうまいんだって? 今度取引先とのコンペがあるから、出てくれないか」と誘われます。

「やった〜、(会社の)経費でゴルフができる!」なんて考えるのは甘いです。最近は、土曜、日曜日開催のコンペでも、自腹でやるケースが多いんですよ。経費で落とせるのは、せいぜいパーティー代ぐらいですか。

 ゴルフ人口が減っている昨今、休日に自腹でコンペに参加できる人は、貴重な戦力です。けれども、自腹のわりには、窮屈な立場です。オフィシャルコンペは、社会の縮図、会社の上下関係そのものですから......。

 さあ、コンペ当日。会場に着いたら、まずは組み合わせ表を見て、情報収集をします。

 メインゲストは誰か? それは、ホスト側の会社の社長と一緒の組で回る方がそうです。華やかさも必要で、名前も知らないようなナレーターのお姉さんなどが、そのVIP組に入ってラウンドに色を添えます。

 さて、自分はどの組だろうか......。なんと、トップスタートです。

 これが意味するものは何か? さっさと上がって、パーティーの手伝いでもしてくれれば――ということですね。こういうときは、気を利かして、テキパキ動くしかないです。

 他の参加者を見ると、5つ年下の後輩も来ています。しかも、取引先の会社専務と同じ組......って、あいつはいつからそんなに偉くなったんだ。いや待てよ、確かあいつは大学のゴルフ部出身って聞いたな......。

 実は、団塊世代でゴルフにはまり、ゴルフで人脈を築いた方は、自分の息子を大学のゴルフ部に入れたがります。ゴルフが上手いと、就職にも有利だし、出世の早道だと知っているからです。つまり、その後輩、コンペじゃ、レッスンプロ扱い。その重宝のされようは、想像以上です。

 そんなわけで、一般的な若手社員は、朝早く行って、皆さんに挨拶しながら、受付のお手伝いをし、"デキる"男を演出します。アホらしいけど、これが現実です。

 そうして、無事にラウンドを終えました。さっとシャワーを浴びて、上司と一緒にパーティーのお手伝いをします。景品を並べたり、スコア集計を手伝ったりといった作業ですが、協力している感があって、その時間は充実したものです。

 しかしそんな矢先、ひと足早く集計結果がわかって愕然とします。なんと「94」だったのに、隠しホールがうまくはまって、1位になってしまいました。優勝賞品は、4K液晶テレビです。明らかに、自分がもらっちゃまずい雰囲気です。上司に目でうかがいをたてると、首を横に振って、しかめっ面をしています。

 迎えた表彰式。結果から言うと、順位は4位でした。初参加者は、「3位までの入賞資格なし」とのこと。せっかく優勝スピーチの下書きまでしたのに、3割がっくし、7割はホッとした、というのが正直なところでしょう。

 そんなこんなで、オフィシャルなゴルフコンペは、本当に気苦労が多いです。いつか、VIPで呼ばれたいものです。が、若手社員が役員になる頃、会社のゴルフコンペは存続しているんでしょうか......。そっちのほうが心配ですね。

【プロフィール】
◆木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa