ドルトムントが好調を維持している。レバークーゼン(昨季4位)を3−0で破り、公式戦11連勝、ブンデスでは開幕から5連勝。11連勝には香川真司が「数に入れていない」と言うヨーロッパリーグ(EL)3回戦とプレーオフ、ドイツ杯1回戦が含まれている。だがリーグ戦の5連勝はそれなりに誇れる数字だ。

 例えば、ドルトムントが2連覇を果たした最初の2010‐11シーズンは、開幕戦でレバークーゼンに敗れている(その後、7連勝を遂げた)。続く11‐12シーズンは、第2節でホッフェンハイムに敗れている。最終的にバイエルンを圧倒的に引き離したように見えたシーズンも、開幕5試合を見ると2勝2敗1分と、出だしには苦しんでいた。クロップ前監督が率いて3シーズン目と4シーズン目の話である。

 今季はメンバーの大幅な入れ替えはなかったとはいえ、監督を交代して迎えたシーズンだ。しかもクロップはクラブ躍進の象徴であり、シンプルに人気者でもあった。顔と言えるその存在を失って迎えた今季の好調ぶりは、あらためて評価に値するはずだ。

 好調の理由を分析すると、既存の選手だけでなく、新加入選手がうまくフィットしているというのが最大の特徴だろう。新加入でスタメンをつかんだのはGKビュルキとボランチのヴァイグル。彼らがストライカーのような個の力でどうにかするポジションではなく、連係が重要なポジションでフィットしていることに意味がある。

 また、すでにシーズンが始まり、移籍市場が閉じる間際に獲得されたヤヌザイ、パク・チュホらも、トゥヘル監督はELなどで機を見て先発起用している。

 昨季までの「プレッシングサッカー」という前提は残しつつ、少し違うサッカーを見せることにも成功している。

 レバークーゼン戦でも4−3−3のシステムで、「中盤で主導権を握ろうとするサッカー」を見せた。当然、相手はそれをわかったうえでプレスをかけてくる。すると、「カウンター」との使い分けが効いてくるのだ。

 例えば9分。ドルトムントは中盤で一旦ボールを奪われ、最終ラインで奪い返すと、ヴァイグルが左サイドの裏に長いボールを躊躇なく入れる。ミキタリアンはキープしながら状況を見据え、右を上がったギンターへサイドチェンジ。ギンターのシュートはディフェンスに阻まれるが、今季のひとつの形を見せた。

 先制点につながった19分のシーンもそうだった。中盤で相手がクリアしたボールが自陣で香川の足もとに転がる。香川はそのまま、右前方に走り出したホフマンにロングボールを入れる。ホフマンはGKとの駆け引きを制してゴール。ロイスが負傷離脱した穴をホフマンはきっちり埋めた。

「ボールが少し強いかなという感じはしたんですけど、駆け引きして相手のミスにつながったのかなと思います。あれは狙いどおりだったので良かったと思います」と、香川はそのシーンを振り返った。

「勝敗の分かれ道」と考えていたと明かした2点目は、今度はまったく違う、短いパスがつながった形からのゴールだった。右サイドのコーナー近くで、香川とホフマンがプレスをかけてボールを奪うと、ギンターからホフマンとつなぐ。マイナスのパスをギュンドアンが受けると、ミキタリアンへ。そして至近距離の香川はワントラップからシュート。ボールは緩くゴールに転がり、これが2点目となった。

「ワントラップした瞬間に、相手がこっち(右)から来てるのはわかったので、すぐ打たないとブロックされると思った。シュートは弱かったですけど、うまくタイミング的にずれのか、キーパーが逆を読んだのかわからないですけど。コロコロシュートにはなりましたけど、入ってよかったなというのが率直な感想です」

「相手も、プレッシャーを含めて今までとは違うチームという感触を得ていたので、すごく緊張感のある試合でした」

 そんなレバークーゼンを相手に3−0の完勝。今のところトゥヘル体制のドルトムントに隙は見られない。連勝が途切れたときのメンタルくらいしか心配な要素が見当たらないほどの快進撃である。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko