健康な人なら、食べすぎても腸がコントロールしてくれる。専門家などのアドバイスによって、卵を1日3個食べる生活を始めた50代の男性は、記憶力の向上に加え、体重が10キロ減り、脂肪肝が完治。部分カツラを使うほどだった薄毛が、改善したという例もある。
 埼玉にある女子栄養大学の保健栄養学科准教授・高木千佳子氏はこう説明する。
 「卵は鶏に成長するだけあって、栄養が豊富です。白身には良質のタンパク質が、黄身にはタンパク質のほか脂質、ビタミンなどが含まれています。タンパク質を摂ることで、善玉コレステロールが働くのです。コレステロールは、血管や脳細胞、副腎皮質などを構成する重要な物質。善玉コレステロールがないと、動脈硬化を防げません。

 特に老人はタンパク質不足によって、筋肉や骨などあらゆる細胞がもろくなりがちなので、卵は重要です。その昔、秋田県の農家の人に脳出血が多かったのは、タンパク質の摂取量が少なくてコレステロール不足になり、血管が脆弱だったからでした。毎日でなければ、1日に5個食べても大丈夫です」
 そして、高木准教授はこうも付け加えている。
 「卵を2個以上食べたら不健康になるというのは、誰かが言い出した“都市伝説”みたいなもので、医学界が正式に発表したものではありません」

 しかし、そうはいっても誰もが好きなだけ食べていいわけではない。ある専門家は言う。
 「アレルギー体質や慢性病、コレステロール値が高い人や太りすぎの人は、注意が必要です。それと、卵には植物繊維がないので、野菜を食べるなどしてバランスの良い食事を心掛けることも大事です」

 また、生卵を食べるデメリットも、認識しておく必要があるという。例えば、卵を食べて、サルモネラ菌が原因と見られる食中毒が発生することがある。感染予防には、殻にふんなどが付いていないかを、よく確認しなければならない。
 しかし、こうしたデメリットに対して、前出の高木准教授は「体調不良のときなどは、専門医とも相談しながら食べ方を工夫してほしい」とし、卵を食べるときの「消化時間に留意した食べ方」を勧めている。
 卵の消化時間は早い順に、半熟→温泉卵→ゆで卵→生卵→目玉焼き→卵焼きとなる。ストレスを感じたときは温泉卵、腹持ちを良くしたいときは卵焼きがベターだともいう。

 管理栄養士で料理研究家の林康子氏は、卵料理についてこう述べている。
 「疲労回復なら、ビタミンB群が豊富な豚肉と卵を合わせたもの。例えば、カツ煮の卵とじなどがいいでしょう。脳活性化ならネギトロユッケのような、卵とマグロの組み合わせがいいですね。最近は若い人でもロコモ(筋肉、骨、関節など運動器の障害)の人が多いですが、骨、筋肉代謝には卵と納豆、冷やっこに卵と納豆を合わせた一品なら、料理が苦手な男性でもすぐ作れます」

 卵1個に善玉コレステロールが豊富に含まれ、おまけに動脈硬化や肝硬変など、生活習慣病の改善にも効能があるのだから、これを見逃す手はない。
 食べる量や料理のバランスを考えれば、あなたももっと長生きができる。文字通り“黄金の卵”の恩恵を受けられるのだ。