本当に出世を目指すなら、“マネジメント”術を謳うビジネス本は読むだけ無駄!な理由
「●●流マネジメント」「9割がバイトでも組織を回せる仕組み」「グローバルな経営術」――。

 書店に行けば、こんなキャッチコピーを数多く見ることができる。マネジメントやマーケティングについて書かれたビジネス書や自己啓発書は、書店でのヒット商品のひとつ。最近では、こういった本をマンガ化するという流れもあり、ますます読者層を広げている。勉強のために……と手に取る方も多いだろう。

 しかし、8月30日に『成功したければ日本型エリート思考』を上梓した弁護士の山口真由さんは「マネジメントの本に書かれた内容から、私たちが学べることはほとんどない」という。「なぜなら、これらのビジネス書や自己啓発書は、経営論なわけです。しかし、これらの本を手に取る人は経営者ではなく一般の会社員のほうが多い。本来手に取らなくてもいい本を多くの人が手に取ることによって、残念な悪循環を生んでいます。不安定な地位から抜け出したいと願う人が本当に読むべきなのはマネジメントのビジネス書ではないと思います」と語る。

◆日本のエリートに受け継がれる職人気質

 では、一般の会社員がエリートとして出世するためには、何を指標にすればいいのだろうか? 山口さんは、「昔ながらの職人気質な働き方にこそ、そのコツが隠されている」と続ける。

「いわゆる日本型エリートとされる官僚や弁護士には、実は職人気質で、技術を習得することに飽きたらず、それを日々研鑽していくことに余念がありませんでした。成果を急ぐあまり、まだ経営者にもなっていないのにマネジメントや人の動かし方を本で学ぶ前に、目前の仕事でちゃんとしたスキルを身につけたほうが、リスクも高くないし、しぶとく生き残れると思います」

 マネジメント術などのグローバルエリートのための本を読んだほうが確かに気分は良くなるかもしれない。しかし、まずは現状を疎かにせず日々の仕事の中でスキルの練度を高めることが大切なのだ。

「最善の道は、積み重ねという“地道”です。ジャンプアップはできませんが、そのほうが成功に近づけるはずです」

<文/HBO編集部 写真/中條未来(SCOPE)>

【山口真由】
1983年、札幌市生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験、国家公務員?種に合格。全科目「優」の成績で2006年に首席卒業。財務省勤務を経て、弁護士となる。2015年8月より、ハーバード大学ロースクールに留学中。著書に『成功したければ日本型エリート思考』『天才とは努力を続けられる人のことであり、それには方法論がある。』(ともに小社刊)などがある。