日本人の13人に1人が「LGBT」と推定されている(shutterstock.com)

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 人間のセクシュアリティ(性のあり方)は、人間が生物である明白な根拠であり、社会的人間の本質を表している。なぜなら人間は、生物学的には男性と女性というセックス(生物学的性別)に分かれ、社会的・文化的には男性の役割(男らしさ)と女性の役割(女らしさ)というジェンダー(社会的性別)に分れるからだ。

 この人間の性の多様性を、「セクシャル・ダイバーシティ」または「ジェンダー・ダイバーシティ」と呼ぶ。

 人間のセクシュアリティは、「体の性」「心の性」「好きになる性」で説明される。体の性は、「セックス(生物学的性別)」。心の性は、自分の性をどのように認識しているかという「ジェンダー・アイデンティティ(性自認)」。好きになる性は、恋愛や性愛の対象になる「セクシャル・オリエンテーション(性的指向)」を指している。

 あなたは、男性か女性にちがいない。しかし、人間のセクシュアリティは実に多種多様だ。体の性、心の性、好きになる性が一致しない人や、男女のセックス(生物学的性別)で捉え切れない人がいる。

 体の性、心の性、好きになる性が一致し、男女の異性愛に惹かれる人は、セクシャル・マジョリティ(性的多数者)になる。一方、同性愛、両性愛、無性愛に惹かれる人をセクシャル・マイノリティ(性的少数者)またはLGBT(エル・ジー・ビー・ティー)と言う。

この3年間でLGBTと答える人は約1.5倍に

 LGBTは、レズビアン(Lesbian:女性に惹かれる女性)、ゲイ(Gay:男性に惹かれる男性)、バイセクシャル(Bisexual:男女両性に惹かれる両性愛の人)、トランスジェンダー(Transgender:性別越境者。体の性と心の性が一致しないという性別違和をもつ人)の頭文字を組み合わせた造語だ。性の多様性を意味する6色の虹のデザインは、LGBTのシンボルとして広く普及している。

 だがLGBTは、男女のセックス(生物学的性別)の二分法を基準に分けた便宜上のカテゴリーにすぎない。実際は、6色の虹のデザインのように多種多彩で、しかもLGBTの枠組みに当てはまらないグレーゾーンのセクシュアリティがある。たとえば、すべてのセクシュアリティの人が恋愛や性愛の対象になるパンセクシュアルや、どのようなセクシュアリティも恋愛や性愛の対象にならないアセクシュアルなどだ。

 2015年4月、電通ダイバーシティ・ラボ(電通総研)がインターネットを通じて全国の20代から50代の約7万人を対象に行った調査よれば、LGBTの日本人の人口比率は7.6%、13人に1人、約1000万人と推定されている。80歳以上の高齢者(7.9%)、左利きの人(8〜15%)、AB型の人は(10%)、障害者手帳の保有者(6%)などと、ほぼ等しい割合だ。2012年に実施した調査では、人口比率5.2%だったので、この3年間でLGBTと答える人が約1.5倍に増えたことになる。

LGBTの人権を支援する同姓パートナーシップ条例が次々と!

 LGBTは、外見や言動だけでは分からない。どのような状況なのか見えない。分かりにくい、見えにくいLGBTが可視化され、その状況や存在が身近に感じられるようになった。なぜだろう?

 発端は2013年、国内初のLGBT支援宣言を発表した大阪市淀川区、兵庫県宝塚市、奈良市の先駆けがあった。2015年3月、超党派の国会議員によるLGBTに関する議員連盟が発足。4月、渋谷区で同性パートナーへの同性パートナーシップ証明書を発行する同性パートナーシップ条例が成立。6月、米国連邦最高裁の同姓婚合憲判決に続き、7月、沖縄市のLGBT支援宣言。弁護士らが同姓婚を認めないのは人権侵害と公式表明。8月、世田谷区が同性パートナーシップ宣誓書の承認を発表......。

 矢継ぎ早に、LGBTの人権保護への社会的なコンセンサスが形づくられ、人権支援の動きが活発化してきた。

 このようなLGBTの人権保護の波は、国や自治体にも企業にも個人にも及ぶ。体の性、心の性、好きになる性というセクシュアリティを理解し、上司や部下、取引先や顧客、家族や友人や恋人にLGBTがいることを認識しつつ、アライ(Ally:LGBTの理解者や支援者)として行動できる時代が来た。次回は、LGBTの生活や仕事は、どのような状況なのか、その実像に迫る。
(文=編集部)