カイリー・ジェンナーは「未来型のセレブ」だ。たとえあなたが彼女を嫌ったとしても

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全米一のお騒がせセレブファミリー、カーダシアン/ジェンナー家の末娘が自身のアプリをリリースし、多くのユーザーがこぞってダウンロードした。彼女の見た目と醜聞に目を眩ませていてはいけない、その戦略は、いまデジタルネイティヴとソーシャルメディアについて、大きな示唆を与えてくれる。

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カイリー・ジェンナーのアプリがApple Storeでトップを射止めたときも、彼女は目を開けられずにいた。彼女はまつ毛の手入れをしていたのだ。彼女の友人は叫び始め、彼女も叫び始めた。ユー・アー・ザ・ナンバーワン、ユー・アー・ザ・ナンバーワン!

「期待はまったくしていなかったの」とカイリーは言う。「わたしにとって、それはほんとに興奮する出来事だったわ」

18歳のカイリーは、起業家だ。モデルでタレントで、スターだ。過度の露出で知名度を増し続ける一族、カーダシアン - ジェンナー家の姉妹の一番下の妹として知られている。がしかし、彼女は同時に特別な存在でもある。(彼女の姉妹たち)コートニーやキム、クロエと違い、カイリーはオンライン時代に生まれ育った。彼女は生まれながらのソーシャルメディア使いだ。そして彼女のファンたちの多くもまた、生まれながらのデジタルネイティヴたちだ。

kys house

King Kylieさん(@kyliejenner)が投稿した写真 -

先週ニューヨークで開かれたアップルのイヴェントで、(米TV局の)E!のヒット番組「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」から抜け出した5人姉妹は、それぞれ自身の“デジタルハブ”の立ち上げを発表した。キム、クロエ、ケンダル、そしてカイリーは、その独特のスタイル、興味や生活をベースとしたウェブサイトとアプリを立ち上げたのだ(コートニーのアプリは今年、遅れて出来上がる予定だ)

そのアプリのコンテンツは「デジタル日記」なのか「ライフスタイルブランド」なのか、とにかく彼女らに関するすべて、である。ユーザーは全コンテンツにアクセスするには月あたり2.99ドルを支払わなければいけないが、洋服、アクセサリー、そしてカイリーおすすめのスナック菓子までも見ることができる(そして数回のタップで、わたしはそれらを購入することも可能だ)。カイリーがこれらの商品掲載に対する見返りを得るかどうかについてははっきりしていないが、彼女の興味やスタイルを見事、写している。

すべてカイリーさまの言うとおり

カイリーのアプリは、楽しい。特徴的なのは黒地に白い文字とティールグリーンのハイライトだ(「お気に入りの色なの。それに姉妹の中でも目立ちたかったから」というのが、彼女の弁だ)。彼女は日々、写真や動画、美の秘訣、スタイル維持のアドヴァイスなどを掲載する。たまにポップアップアラートが出たときは、スワイプすればカイリーの“ライヴ”を見られる。

カイリーのアプリが感じさせるのは、ある種の親密さだ。手書きでの記述は間違いなく彼女自身のものだと思われるし、整形手術に対する自身の気持ちについても記している(彼女はそれに否定していない)。彼女は踊り、ポーズをとり、お気に入りのスナック(ラッキーチャームズ、オレオ、激辛チートス)をシェアする。「ファンたちに、彼らがいままで見られなかったわたしの一面を見せたい」と、カイリーは言う。「これ、わたしがいままでにやったことのなかでも、最高に気に入ってるの」

カイリーにとって、「シェア」は何も特別なことではない。彼女は10歳のころから「カーダシアン家のお騒がせセレブライフ」に出演しているのだ。日々、Instagramに写真をポストし、定期的にファンへの質問やスナップ写真をツイートする。カイリーはシェアを愛している。そして、彼女のファンも彼女をフォローすることを愛している。彼女のInstagramには3,640万人、Twitterには1,150万人のフォロワーがいる。

しかし、自身でアプリを用意するとなると、話が違ってくる。「SnapchatかInstagramか、あるいは自分のアプリか、というように『どれかを選ぶ』ってことはしたくはないの」彼女はこう言う。「アプリは“もうひとつ”のプラットフォーム。だってわたしは、自分のアプリであればずっと居心地がいいし、自分が共有したいものをただ共有することができるのだもの」

カイリーは女性で、セレブだ。彼女はインターネット上で頻出する嫌がらせの類をいくつも見てきた。だから、彼女自身のアプリを通してファンは直接彼女とコミュニケーションできるのかと尋ねると、こう異議を唱える。「ファンからの意見や感想は、とても大事なもの。だからわたしはTwitterを使ってるの」と彼女は言う。「でも、いじめだとか、そういったものはいっさい、わたしのアプリには持ち込ませないようにしたいと思っていて。それが、わたしがいま、コメントをアプリでは受け付けていない理由。もし皆が汚いことを言いたいのだとしても、わたしはそんなものは見たくないの」

インターネット上で、人はなんと凶悪になることかと彼女に共感すると、彼女はこう言う。「ほんと、酷い。わたしはそんなものはごめんよ」

(操作された)セレブ・カルチャー

カイリーは、未来だ。彼女はその自覚すらないのかもしれないが。ある種のステータスもつセレブにとって、インターネットはすぐに時代遅れになるだろう。結局のところ、ファンがあなたのところに行こうとお金を払うとき、誰がInstagramやTwitter(あるいはPeopleやE!でもいい)を必要とするか、ということだ。カイリーのアプリは、彼女の姉妹たちのアプリと同様に、新進のメディア企業、ホエールロックインダストリーズの助力により開発された。その企業は、まさにカイリーのアプリのような個人のネットワーク群からデジタルメディア帝国を創造する準備を整えているかのようだ。

時事評論家たちは長らく、セレブたちのイメージを左右するメディアの力を論じてきた。そして、セレブたちも彼らの役割を(ある程度)演じてきた。しかしソーシャルメディアが台頭し、テイラー・スイフトやカーリー・クロス、ビヨンセのようなスターたちは、自分たちのパブリックイメージをInstagramやTwitter、Facebookで完全にコントロールするようになった。

先述したメディア企業、ホエールロックは新しい種類の双方向性を約束するが、それは、セレブにとってはより一層のコントロール(と収入)そして、熱狂的ファンにとってはより多くのコンテンツ(と独占的な魅力)を伴うものだ。

カーダシアン姉妹たちのアプリに加え、ホエールロックはラッパー、タイラー・ザ・クリエイターとともにアプリを立ち上げており、ハワード・スターンともアプリを開発している。『ニューヨーク・タイムズ』によれば、ホエールロックは「2018年までに、アプリベースの12〜20件のパフォーマー/ブランドのチャンネル制作」を計画しているという。

この種の、セレブとファンを直接結ぶビジネスが新しいものかというと、必ずしもそうではない。グレン・ベックは『ザ・ブレイズ』を設立した。グウィネス・パルトローは『グープ』をもっている(どちらも、自らの主張を発信するためのメディアだ)。しかしたいてい、エンターテインメント産業のモデルはスタジオやマネジャー、そしてアーティストとファンの間にいるその他中間業者が大きく儲けられるようになっている。

ソーシャルメディアは、例えばジェシカ・チャステインやエマ・ワトソンといった人たちがツイッター上で彼らの主義主張を宣伝するのを容易にしてきたが、もし彼らが自分の写真を撮影するのに『ヴァニティ・フェア』を必要としなくなったとしたらどうなるだろう? あるいは、出演する映画のための制作会社が必要なくなったら? いまのところインターネットは補完的な機能を担っているだけの、ハリウッドの宣伝マシンの一部だ。主要な供給業者、ではない。しかし、その役割が変わる可能性は高い。

カイリーは、ビジネスウーマンだ。あなたは彼女のことが嫌いかも知れないし、逆に大好きなのかも知れない。いずれにせよ、彼女は自分自身がもつイメージを受け入れている。

彼女は賢い。あるデータによれば、カイリーのアプリローンチ初日、60万以上のサインアップが発生したという(7日間の無料体験が提供されており、無料ダウンロードできる。ユーザーの一部は支払いが発生する前にいなくなってしまうのかもしれない)。しかし、ジェシカ・チャステインやエマ・ワトソン、カーリー・クロスらが何十万もの利用者を有料アプリへと駆り立てることができただろうか? できたかもしれないし、できなかったかもしれない。それでは、カイリーはどのようにそれをするのか? そして、彼女のアプリに月額料金を支払おうとする人たちは誰なのか?

カイリーは手を止めて、こう言う。「きっとわたしのことを愛してくれる人たち。もっとわたしのことを見たい人たちね」。そして、それはほぼ、間違っていないように聞こえるのだ。

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