実写版『あの花』はどーだったのか!?


「嫌な予感しかしない……」「実写化はやめておけ!」と、ネット上では放送前から実写化を不安視するコメントが飛び交っていた、フジテレビのスペシャルドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(あの花)。


今回の実写化に当たって、やたらと「大人も泣けるアニメ」みたいな触れ込みで宣伝されていたように(そもそも深夜アニメだから大人しか見てないと思うが)、リアルな心理描写と人間ドラマで、普段アニメを見ない人たちの心もグッとつかんだ……とされる『あの花』だけに、うっかり実写ドラマ化したくなっちゃう気持ちも分からなくもないんだけど……。

そんな不安感全開で臨んだ実写版『あの花』だったのだが、いざ見てみてどうだったのかというと、「不安的中ッ!」というポイントも多々あったものの、意外とがんばってたし、楽しめた!

アニメの11話分を2時間でまとめているため、やたらと展開が早くてダイジェスト感が強く、「なぜここを変えた!?」というナゾ改変もちょいちょい気になったけど、本間芽衣子(めんま)役の浜辺美波ちゃんはかわいいし、アニメ版『あの花』の聖地となっている秩父でのロケシーンは当然のごとく雰囲気満点。ストーリーも比較的忠実に再現されていたため、何だかんだとツッコミを入れつつ、ラストではしっかり泣かせてもらい、思いっきりエンジョイさせてもらいましたわ。

……まあ、感動的っぽいシーンでアニメにも使われていた「secret base 〜君がくれたもの〜」が流れると自動的に涙が流れてきちゃう身体になっているもんで、もはやドラマ自体に涙しているのか、アニメ版を思い出して泣いているのか、よく分からなくはなっていたけど。

銀髪じゃなくてよかったと思います


さて、「実写化はやめておけ!」派の方々にとって最大の「何じゃこりゃ!?」ポイントは、

・本間芽衣子(めんま)の髪の色が違う
・めんまが老けすぎ
・そもそもこんなのめんまじゃない

あたりじゃないかと思われる。

確かに髪の色に関しては、ロシアの血を引くクォーターで銀髪碧眼だから外国人扱いされちゃって友達がいなかった……という重要な設定なので、「そこを変えちゃうのかぁ〜」という気持ちもなくはないが、とはいえ純日本人に銀髪のヅラをかぶせて「めんまだよ!」なんてことになっていたら、それはそれでコスプレAV感全開で、どー考えてもキツかったろう。

逆に、リアルに銀髪を持つロシア系の女優さんを連れてきて「メンマダヨ!」っていうのもナシでしょ!?

さらに、アニメ版では主人公達よりだいぶ若く見えていた幽霊めんまが、実写版ではまあまあ順当に主人公達と同年代に見える問題(老けてる問題)。

これも、高校生になっている主人公たちが、ロリータ感の強いめんまに向かって「好きだー!」とかいう展開は、アニメではセーフでも、実写でやったら犯罪感が強くなりすぎるという判断からではないだろうか。

そして、「そもそもこんなのめんまじゃない!」と怒っている人たちは……。まあ、そういう人は実写化モノは見ない方がいいよね。二次元キャラを演じて違和感のない役者さんなんてそうそういないよ。ボクも今まで色々な実写化作品を見てきたけど、心の底から文句ナシなキャストって、実写映画版『ドカベン』の岩鬼(ホントに激似)くらいしか思い浮かばないもん!

……というわけで今回の実写版ドラマ、成功だったのか、失敗だったのかと問われれば「うーん……別にやんなくてもよかったんじゃないかな?」とは思うものの、2時間ドラマという枠の中では、そこそこがんばっていたと思う。

昔の実写化はホントにすごかったのよ


そもそも、アニメや漫画が実写化されるに当たって、やたら「イメージと違う!」「原作レイプだ!」なんて目くじらを立てるようになったのは、わりと最近のことなんじゃないだろうか? ボク自身もそうだけど、CGの発達や撮影技術の向上によって、実写化の期待値がむやみに上がりすぎちゃっているフシがある。

昭和の頃はもっと、キャラクターの再現度も低ければ、設定もテキトー。ストーリーなんて再現する気があるとは思えない、原作厨からしたら憤死モノの実写化作品がいっぱいあったけど、みんな「まあ、アニメや漫画の実写化なんてこんなモンだよね」と、それなりに割り切って見ていた気がするのだ。

せんだみつお主演の映画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』、目黒祐樹主演(次元大介は田中邦衛)の映画『ルパン三世 念力珍作戦』といった、レジェンド級のズッコケ実写化作品はいうまでもなく、実写化作品の中では成功した部類に入る、ドラマ『スケバン刑事』や映画『ビー・バップ・ハイスクール』だって原作とは全然イメージが違うもん。

中でもフジテレビの「月曜ドラマランド」枠はすごかった。

当時全盛だったおニャン子クラブを中心に、演技経験もほとんどないアイドルちゃんたちをキャスティングしてアニメ・漫画を少々ゴーインに実写化。ツッコミどころありまくりな実写ドラマを量産していたのだ。

浅香唯がまさかのハゲヅラで演じた『一休さん』。河合その子がなぜか若松みゆき・鹿島みゆき(別に似ているって設定じゃないだろ!?)を1人2役で演じた、あだち充の『みゆき』。かと思えば、全然別の人たちがおそ松(中島陽典)、カラ松(中山秀征)、トド松(松野大介)たちを演じているため「どこが6つ子なんだ!?」状態になっていた『おそ松くん』などなど……。

「企画自体がムチャだし、アイドルは演技できねーし、ま、ドラマはドラマってことで!」という開き直り&ドンマイ精神で作りあげられたとしか思えない、ミラクル級な実写化作品の数々。それでも昭和の少年少女は意外と楽しんで「月曜ドラマランド」を見ていたのだ。

ボクの敬愛する藤子不二雄先生の『バケルくん』が、畠田理恵主演ということで、なぜか主人公が女に改変されて実写化された時も、特に疑問を持たずに受け入れてたもんな……。

もうね、この辺の実写化作品に比べたら『あの花』も『進撃の巨人』も『デスノート』も相当出来がいい方だよ!

そもそも原作のストーリー自体は知ってるんだから、そのまんま忠実に実写化されたものを見せられたって、ただの確認作業になってしまう。それよりも「実写化されてどんなことになっちゃってるんだろう!?」というハラハラドキドキ自体を楽しみながら見るべきじゃないだろうか。

そして作り手側も「原作と違う!」とかいう批判にビクビクしないで「コレはコレでいーんだよ!」という、色んな意味で思い切った実写化をしてもらいたいものだ!?

この秋クールのドラマでも、『コウノドリ』『エンジェル・ハート』『BARレモン・ハート』『南くんの恋人〜my little lover』などなど、多数の実写化作品が予定されているが、「もう、好きにやってくれ〜い」という広い心で楽しもうじゃないの。

……でもまあ、ボクの心のバイブル『南くんの恋人』があんまりひどかったら、思いっきり叩くけど!
(北村ヂン)