ミスを連発した交代となった本田圭佑【写真:Getty Images】

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「前半は完璧」。しかし本田は…

 ミランは現地時間22日、セリエA第5節でウディネーゼとアウェイで対戦した。前半で3得点をリードする一方、後半に2点を返される展開だったが、なんとか逃げ切って勝ち点3を得たミラン。しかし、守備の立て直しを図る上で、指揮官が打った策はミスを連発していた本田圭佑の交代だった。

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「前半は完璧だった。だが前半で3-0にして、試合を支配しておきながら、全てを台無しにしてしまうところだった。まあ、ストレスをコントロールするということがチームにとっては重要であり、久しく勝ってなかったこのミランはその術を知らなかった。

 それを習う、という意味においてはいい経験だったし、チームはこれを糧として成長するはずだろう。それにしても、ありえない。(3-0から追いつかれた)2005年のチャンピオンズリーグ決勝を思い出したが、私はカルレット(カルロ・アンチェロッティ元監督)よりもラッキーだった」

 前半を3-0で折り返しながら、終わってみればヒヤヒヤの展開でウディネーゼに辛勝したミラン。記者会見場に現れたシニシャ・ミハイロビッチ監督の表情は、非常に厳しいものだった。会見ではいい勉強になったと言わんばかりの発言をしていたが、ロッカールームでは激怒していたに違いない。

 ただその監督をして「完璧」と言わしめた前半、本田圭祐は蚊帳の外にいた。見せ場を作れないばかりかミスも連発し、3点リードを1点差まで詰められた後半18分に交代でベンチに下げられた。

 1年半前「本田はムカつくんだよ!」と筆者がミラニスタに罵声を浴びせられたのがこのスタジアム。今回はそういうことはなかったものの、ウディネーゼファンに混じってミランを応援しに来ていた大勢のミラニスタたちからは、やっぱりブーイングが上がっていた。

大量リードから一転。後半は苦しんだミラン

 今シーズン初先発を果たしたマリオ・バロテッリが直接FKを叩き込み、リッカルド・モントリーボのミドルパスに反応して3列目から飛び出したジャコモ・ボナベントゥーラが2試合連続ゴールを決める。

 ところが、トップ下として先発を果たした本田はリズムに乗れない。相手に張り付かれながらトラップを流し、エリア内でボールをもらってもロスト。前半25分には前線で相手のバックパスをインターセプトして前に出て、右でフリーとなっていたカルロス・バッカにラストパスを供給する。しかしこれも点には繋がらなかった。

 危険なボールロストは少なくとも3度犯し、後半も流れに乗れない。すると今度はチームが2失点を献上し、一気にリズムが崩れた。そのうち後半16分、なんでもないショートパスをミスしてボールをロスト。

 ポゼッションを演出して悪い流れを断つどころか、ピンチを招くことをしては致し方ない。2分後、ミハイロビッチ監督は交代を決断した。本田を下げてアンドレア・ポーリを右MFに置き、4-4-2に修正。「これで我われは苦しむことがなくなった」と指揮官は語っていた。

 流れを混乱させた直接の原因は右サイドだ。ウディネーゼが巨漢のドゥバン・サパタを投入したことに伴い、警告を食らうなど前半からやや苦しんでいた18歳のダビデ・カラブリアを下げ、CBクリスティアン・サパタを緊急避難的にサイドバックに起用。

 一方でこの日右のインサイドMFに起用されたのがサイドの上下動に慣れていないナイジェル・デ・ヨンクだったことから、サイドのカバーが乱れて失点につながり、さらなる修正が必要となった。

修正に迫られた指揮官。ミス連発の本田が交代に

 しかしながらその修正にあたり、真っ先に切られたのがボールロストを連発していた本田だったのだ。それにしても、ボールコントロールは以前にもまして雑だった。トラップは大きく、足元にボールが収まらない。インテル戦、パレルモ戦とここまでではなかったので、疲労の影響と思いたいのだが…。

 レビューで「ポイントはリカバリー」と書かせていただいたが、それが上手くいかなかったということなのか。それとも、結果を出さなければという焦りから来るものなのか。いずれにせよ、フィジカルコンディションのブレと迷いがボールタッチに現れているような印象がした。

 ミハイロビッチ監督は、本田を良く忍耐して起用してきたと思う。プロとして必要な時には厳しく“ダメ出し”のできる人で、カターニア時代に森本貴幸を干した経緯を考えると、今回は本当に我慢して使っている印象だ。だからこそ、「彼には技術がある。必ず見せてくれると思う」という指揮官の期待には応えて欲しかった。

 一方で、アドリアーノ・ガッリアーニ副会長は地元TVにこう語っている。「ボナベントゥーラはトップ下もできるが、メッツァ・アーラ(インサイドMF)として結果を出した。トップ下は(アンドレア・)ベルトラッチもできるし、(ジェレミー・)メネズが戻れば3人の攻撃的MFの起用も可能だ」。こういう時にウチには本田がいる、と語ってもらえるような活躍をして欲しいのだが…。

text by 神尾光臣