トップ下としての存在意義を問われている本田圭佑【写真:Getty Images】

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セリエA第5節が現地時間の22日に行われ、日本代表FW本田圭佑が所属するミランはアウェイでウディネーゼと対戦し3-2と辛勝した。本田はインパクトのないプレーに終始し、64分にアンドレア・ポーリと交代させられている。守備面での貢献が評価されている本田だが、トップ下という役割の限界が見えた一戦となった。

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無念の途中交代となった本田

 シニシャ・ミハイロビッチ監督に呼ばれた本田圭佑は無念の表情を浮かべながらベンチへと戻っていった。試合開始早々、マリオ・バロテッリの芸術的なFKによって先制し、前半だけで3ゴールを決めたミラン。しかし、後半から試合展開が一変し、ウディネーゼにあと一歩のところまで追い詰められた。

 ウディネーゼはちょっとした“クライシス(危機)”に陥っているチームだ。開幕戦でホームのユベントスに史上初の黒星をつけるという快挙を達成したものの、その後は混乱の3連敗。とりわけ前節のエンポリ戦は先制したものの試合終了間際に逆転ゴールを許すチーム状況を象徴したゲームだった。

 そんなウディネーゼ相手にドローを通り越して逆転負けの危機に瀕していた試合展開に、ミハイロビッチ監督は“決断”せざるを得なかったのだ。現地メディアの批判に晒され続けてきた本田を常に庇ってきた同指揮官だが、勝点3のために交代とシステム変更を余儀なくされた。

完全に主役の座を明け渡した「10番」

「酷いプレーはしていない」
「守備面で貢献してくれている」

 ミハイロビッチ監督がこう話すように、本田のプレーが指揮官に一定の評価を得ていることは明らかだ。それは、3試合連続先発出場という結果にも現れている。

 それでも「攻撃面でも、もっとできるはずだ」と同監督が話すように、もはや本田の持ち味が“黒子役”となってしまっていることも紛れもない事実である。この日も“2人の主役”の黒子役に走り回る背番号10番の姿があった。

 現在、ミラニスタ(ミランファン)を熱狂させているのは今夏リバプールより復帰したマリオ・バロテッリだ。試合開始早々の5分には、本田の目の前でクオリティを見せつけるFKを沈めた。攻撃の組み立てにおいても積極的に中盤まで降りていき、トップ下の役割もこなしている。

 もう一人の主役を演じているのはMFジャコモ・ボナベントゥーラである。トップ下を本田に任せ自身は左インサイドハーフを定位置としたが、ブレイクしたアタランタ時代を思い出させる輝きを放っている。左サイドから中央、ゴール前まで縦横無尽に駆けまわりミランの攻撃を牽引、これまでリーグ戦で2ゴール2アシストと攻撃の核ともいえる存在だ。この日も記録上はアシストとはならないが、CKからDFクリスティアン・サパタのゴールを演出した。

 攻撃においては、本田はバロテッリとボナベントゥーラのサポートに終始している。同2選手とFWカルロス・バッカのオフザボールに連動してスペースに走りこみ、マークの分散に貢献。自身がボールに触る時間は決して多くなく、直接ゴールやアシストはおろか、シュートを放つシーンも少なかった。

持ち味だった「守備」でも指揮官に迷いが

 本田は現地メディアからは「トップ下」「10番」として目に見える攻撃面での貢献が少なすぎると批判を浴びている。それでも、献身的な姿勢と守備面での貢献から指揮官からの信頼を失うことはなかった。

 しかしながら、不調に喘ぐウディネーゼに3点差を追いつかれかねない展開となったことで、ミハイロビッチ監督は“守備面”を考慮して本田を外す決断をせざるをえなかった。センターハーフでプレーすることができない本田をトップ下に置く4-3-1-2を諦め、ポーリを投入することで4-4-2へと布陣を切り替えた。

 これにより、左サイドハーフにボナベントゥーラ、2センターハーフにリッカルド・モントリーボとナイジェル・デヨング、右サイドハーフにポーリという形となった。しっかりと4×2の2ラインを構築したミランは、押し込まれながらも何とか失点を防ぎ勝点3を死守することに成功している。

 守備面の貢献が評価される本田。それでも上下動を繰り返すサイドハーフ、もしくは中盤のフィルター役となるセンターハーフでプレーすることはできない。トップ下としての守備貢献には限界があるのだ。半ばフロント陣からの厳命によって4-3-1-2を維持しているミハイロビッチだが、今回の危機によって迷いがみられたことも事実だ。

 トップ下として出場するからには、どうしても攻撃面での貢献を無視することはできない。守備的なサイドハーフもしくはセンターハーフとしてプレーできるのであれば話は別だが、本田は自身がそういった選手であるとは考えていない。

 現地メディアとファンは既に我慢の限界を迎えている。ミハイロビッチ監督の固い意思だけが支えている状況だ。本田に残された時間は少ない。一試合一試合の"ラストチャンス”でとにかく結果を出すことだけが求められている。

【了】

text by Keiske Horie