岡崎慎司【写真:Getty Images】

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中盤2枚との関係性が確立できず

 プレミアリーグ第6節、レスターはアウェイでストークと対戦して引き分け。この結果で今季無敗をキープ。しかし、岡崎慎司は後半に途中交代。徐々に試合への出場時間は減少しており、絶対の信頼を勝ち得ていない現状が浮き彫りとなった。それでも本人に焦りの色はない。その理由を語った。

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 ベテランの余裕か、それともマスコミを警戒して虚勢を張っているのか。岡崎慎司のコメントからは焦りが見られてこない。キーワードは、岡崎が重ねて口にしている、「1シーズンを通して」という言葉にある。

 ジェイミー・バーディやリヤド・マレズがゴールとアシストで結果を残すなか、岡崎には2節のウェストハム戦のプレミア初ゴール以来ゴールはなく、インパクトという側面からも、開幕直後のような存在感は薄くなり始めている。

 いや、この物言いは語弊かもしれない。存在感はある。積極的に前線から敵をチェイスする岡崎の姿は、首脳陣やファンの脳裏にも焼き付いているはずだ。しかし直近3試合は、後半からの途中出場、前半のみ出場して途中交代、そしてストーク戦では後半19分で交代となっている。絶対の信頼を勝ち得ていない。それが岡崎の置かれた現状だ。

 最大の問題は岡崎にとって生命線であるボールが入ってこないことだ。ストーク戦で先発起用された中盤センターの2人は、ダニー・ドリンクウォーターとギョクハン・インラーだった。

 前者は、普段よりも縦へのボールが増え、前へ上がる回数も多かった。これまでよりも積極的にファイナルサードでのプレーに絡む意欲は見えたが、パスの精度が低く、躍動感にも欠けた。

 一方、中盤と前線をつなぐ役割を期待されたインラーは、ここまではプレミアリーグのスピードとパワーにフィットできていない。それは、ストーク戦後のクラウディオ・ラニエリ監督の言葉からも明らかで、後半にエンゴロ・カンテを中央で使った理由として「インラーよりスピードがあるから」と説明。スイス代表のスピード不足に難色を示していた。

ゴールへの気持ちは表れるも結果につながらず

 後半はカンテが真ん中に入ったことで、球回しがスムーズになっていた。しかし1.5列目がいないこのような背景から、特に前半は、必然的に岡崎は低い位置まで下がってボールを受け、ゲームを作る側に入らなくてはならなくなる。ストーク戦後の岡崎は、自分の役割について次のように語った。

「あそこで中継するというのは大事。そこからまた攻撃に入っていくというのは自分の良さだと思うので。連係するのはいいんですけど、考えなくてはいけないのは、そこで俺だけが受けて囲まれるのは良くない。ボールの回し方としては、それはうまい回し方ではない。俺がそこで1人おりても(下がっても)、俺1人になっちゃう。それは怖いなと思いますね」

 同時にこの試合では、ここまでの5試合よりも高めの位置に張り続ける時間も長くはなっていた。「点取り屋としての自分の持ち味を出したい」、そんな気持ちの表れだったのかもしれない。

「ゴール前に顔を出したいなと思っていた。(ストークは)裏をかなり警戒しているなと。緩そうだったんで、それは狙ったんですけど」

 だが結果的には得点シーンに絡むことはなかった。唯一の好機は前半33分。カンテからのスルーパスに岡崎が反応して、GKと1対1の状況になりながらも右足のシュートはGKの身体に当たり跳ね返されてしまう。

選手交代の代償となる岡崎

 結果的にオフサイドだったが、元々チャンスが少ないレスターだけに、ああいった場面を一度で仕留めなくては、レギュラー争いは厳しくなっていくはずだ。

 特にここ3試合は、チームのセットアップも岡崎に味方していない。元来イタリア人指揮官がチームに求めているのは、堅守を軸にした試合運びだ。引いて守ってから試合を作るというものだが、現時点ではこれは明らかに機能していない。

 そのため、毎試合先制を許してしまう追う展開に陥って、後半になるとようやくエンジンがかかり始め、高い位置からプレスもするようになる。そして“押せ押せどんどん”で波状攻撃を仕掛けて、ゴールに迫るやり方が現在のチームには合っているようだ。

 しかしようやくチャンスが増え始めるこの時間帯になると、ピッチ上に岡崎の姿はなくなっている。試合の流れを変えようとするラニエリ監督が、交代の最初や2番目のカードを切っていて、その代償となるのが岡崎だからだ。

 それでも、現在の岡崎は驚くほど冷静に自分の状況を捉えている。取材をしている記者の一部が逆に心配するほどだが、プレミア初挑戦のオールドルーキーは自分の置かれた環境を見回しながら、どのようにして這い上がっていくかをじっくりと思案しているのである。

“安定剤”として存在価値を示せるか

「全く新しい形を探しているって感じですね。(チームメイトと比べて)個の能力では確実に落ちる。ただ平均的なところでいえば少し高い能力は持っていると思うんですよね。ある程度走れるし、体持つし、けがに強いし、ちょっと抜き出たところで勝負しないといけないんで」

 すなわち、例えばバーディのスピードやマレズのドリブルやエゴイスティックさといったキャラの強さを持たない分、平均力で勝負する術を模索しているというのだ。 

「いわゆる自分自身が『これだったら勝てる』というのが無いんですよね。手数で勝負するしかない。どうにか自分のパフォーマンスで、見えないところで貢献して、1シーズン通して『やっぱりあいつがいて良かったな』というキャラクターで、シーズンで10点取れるという。それが、ここで生きていく明確な僕のイメージなんです、今は」

 開幕から負けなしとはいえ、レスターはビハインドの状況から同点に追いつく試合展開ばかりである。そのために必要な威力の強い劇薬が、バーディであり、マレズだ。だがシーズンを通してチームに貢献できる“安定剤”として、存在価値を示していきたいと岡崎は考えている。だからこそ焦らずに、ただひたすら前向きに物事を見つめている。

 日本代表のエースのプレミア挑戦は、まだ始まったばかりである。

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三