急成長するネット通販の担い手として「日本最大の成長産業」ともいわれる宅配ビジネスだが、ネックは人件費比率の高さだという。ジャーナリスト・横田増生氏による話題のビジネスノンフィクション『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』(小学館)より、ヤマト運輸(ヤマトホールディングス)を例に宅配業界の特異なビジネス構造を紹介する。

 * * *
 1個の宅急便が玄関先に届く舞台裏には、大掛かりなネットワークが張り巡らされており、さらにセールス・ドライバーだけでなく、下請けの長距離運転手や仕分け拠点の作業員など大勢の人手がかかっている。ヤマトホールディングスの売上高に占める人件費比率は、50%を超えるという典型的な労働集約型産業なのだ。

 どれぐらい労働集約型産業であるのかは、他業種と比べてみるとはっきりする。〈ヤフー!ファイナンス〉で上場企業のランキングを調べると、ヤマトホールディングスの従業員数のランキングは、1位のトヨタ自動車の34万人から数えて8番目となり、その数20万人となる。

 一方、売上高のランキングでは、107位のファーストリテイリングに次いで、108位となる。売上高がほぼ同じであるファーストリテイリングの従業員数が3万人強であるのと比べると、20万人というヤマトの従業員数の多さが明確になる。

 つまり、ヤマトのような労働集約型企業の場合、賃金体系や労働形態を少し変更するだけで、利益のすべてが吹き飛ぶこともあるほどの従業員数を抱えているのだ。

※横田増生氏・著/『仁義なき宅配 ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン』より