ロナウドが輝きを放てなかった理由は3つが考えられる【写真:Getty Images】

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存在感がなかった背番号7

 リーガエスパニョーラ第4節、レアル・マドリーはホームでグラナダに1-0と勝利。しかし、2試合で8ゴールと爆発したクリスティアーノ・ロナウドは一転して無得点と沈黙。考えられる3つの理由とその原因とは?

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 8ゴール。通常、ウイングに位置する選手にとってはシーズンで8ゴールというだけでも十分に成功と称えられる数字である。一方でクリスティアーノ・ロナウドにとっては、わずか2試合で奪える得点数でもある。

 年間にすると50得点も期待できるロナウドは、開幕の2試合でゴールを挙げられなかったことで、わずかながら批判の声も出ていた。その中で迎えたリーガエスパニョーラ第3節エスパニョール戦で5ゴール、続くCLシャフタール・ドネツク戦で3ゴールを決めて周囲の声をかき消した。

 そして迎えたリーガ第4節グラナダ戦。好調の中、ホームで、昨季17位のチームが相手となれば否が応でも期待が高まる。

 チームはベンゼマの得点で1-0と勝利を手にした。しかし、グラナダは決して力負けはしていなかった。立ち上がりから何度かチャンスも作り出し、20分にはオフサイドの判定となったものの決定的なシーンも演出していた。

 その中でロナウドは無得点。グラナダの攻撃と、それを防いだGKケイロル・ナバスの好パフォーマンス、ベンゼマの勝負強さの前では背番号7は「存在感がなかった」と言われるだろう。

ロナウドには高すぎた支配率

 ロナウドが輝きを放てなかった理由は3つが考えられる。まずは、グラナダ戦後のレビューでも記した通り、ロナウドは速攻でこそ力を発揮できるということ。

 しかし、このグラナダ戦でマドリーは支配率68.3%、パス本数525本:205本と圧倒。前節エスパニョール戦では支配率47.3%でパス379本だったため、今回はより多くボールを持ってプレーしていたことがわかる。

 また、ボールを持ってプレーした位置を示す「アクションエリア」を見ても、エスパニョール戦がファイナルサードで18.24%だったのに対して、グラナダ戦は25.06%と高い数字だった。

 エスパニョール戦では主にリアクションだった攻撃が、今回は自らアクションを起こす形となっていた。必然的に相手は守備を固めるため、マドリーはボールを持ち、パスは繋がるものの、ゴール前にスペースはない。

 このような状況ではスペースを必要とするロナウドは力を発揮することが難しくなるだろう。

 ロナウドのアクションエリアを見ても、エスパニョール戦ではファイナルサードで58.33%だったものが、この試合では67.39%まで上昇。結局、ゴールに近い位置でより多くボールを持っていても、相手DFの壁の前に沈黙。手詰まりのような状態となり、決定機はあまり多く迎えられなかった。

ゲームメイクの中心を封じに来たグラナダ

 次に挙げられるのはモドリッチへの徹底マーク。中盤からのパスを必要とするロナウドにとって、マドリーのゲームメイクの中心となるモドリッチの存在は必要不可欠。

 もちろん、それはロナウドだけではなくマドリーにとって不可欠なものであり、モドリッチのゲームメイクを潰すことが“対マドリー”において最も重要なことと言える。

 立ち上がりからグラナダはモドリッチへの厳しい当たりを続けて自由を封じる戦略を立てていた。実際、データサイト『squawka.com』によるパフォーマンス・スコア(守備、攻撃、ポゼッションでの評価)を見ても30分まではマイナスから1桁台を行き来する状況だった。

 そのモドリッチの評価に伴い、中盤からのパスを十分に受けられなかったロナウドのパフォーマンス・スコアも前半30分までは1桁台に沈んでいた。

 とはいえ、当然モドリッチも世界トップクラスの選手。時間を経るごとにグラナダのプレーに対応し、後半には鋭い縦パスでロナウドのチャンスも演出していた。

 ロナウドがこの日放った計8本のシュートのうち、最も得点に迫った65分のチャンスはモドリッチの縦パスに反応して相手DFラインの裏に抜け出たものだった。

 こういった場面を前半の早いうちから作り出せていれば、得点を決める可能性は高かっただろう。

ベニテス監督はロナウドを生かす術を見つけられるか

 最後に、ベイルの不在。ベイルがCLでの負傷によって欠場となったため、この日は2列目をロナウドとイスコ、ルーカス・バスケスが組んだ。

 まず、イスコはドリブル、パス、トラップ、テクニック全てにおいて高次元の選手であり、そのポテンシャルはロナウドやベイル、モドリッチ、クロースらマドリーの中心選手にも匹敵する。

 そして、どちらかといえばしっかりとボールを持ってプレーすることで力を発揮するイスコは、今回のような支配率の高い試合でこそ貢献できる選手である。いうなれば、“純正のスペイン人選手”ということだ。

 それが故にロナウドとの横関係での相性はあまり良くないのかもしれない。ドリブルはスピードより技術を駆使するため、相手DFを崩すというより間を抜ける形となり、ボールを保持する時間が長くなる。ロナウドのリズムとは合わない可能性が高い。

 よりダイナミックにプレーできるベイルの方が、ドリブルでロナウドの使うスペースを空けることや、ベストなタイミングでのパスを出すことができる。イスコは昨季同様に少し下がり目の位置でプレーした方がやりやすいのかもしれない。

 また、ルーカス・バスケスはより純粋な右ウインガーのため、2列目の3人でのポジションチェンジがあまりスムーズにできていなかった。エスパニョール戦で2列目3人のアクションエリアを見ると、3人とも中央が最多だったが、この日のバスケスは右サイドが58.67%と圧倒的に多かった。

 以上の3点を挙げたが、単純な理由で選手の特徴が良い方にも悪い方にも転んでしまうのは、まだまだチームとして完成されておらず、選手の個人能力頼みとなっているということ。

 例えば、アンチェロッティ監督が率いていた昨季までは相手が守備を固めてもロナウドは複数得点を取る試合が少なくはなかった。それは、チームとして機能していたからに他ならない。

 とはいえ、それは開幕間もない現在では当たり前のことでもある。今後、ベニテス監督がどのようにロナウドを生かすのか、その結果が自らの首をつなぐカギとなるだろう。

text by 海老沢純一