アーセナル、マンチェスターC、マンチェスターU。チャンピオンズリーグ(CL)本選に出場したプレミア勢4チーム中、チェルシー以外の3チームは、初戦で軒並み敗れた。

 勢いが感じられないとは、率直な感想だ。サッカーをいいサッカーと、悪いサッカーに分けるなら、いいサッカーに含まれるかもしれないが、少なくとも、いいサッカーをリードする存在ではない。ベンゲル、ペジェグリーニ、ファンハール。それぞれの監督の采配には、時代の先端を行く鋭さを感じないのだ。

 プレミアは、UEFAリーグランクでブンデスリーガに抜かれ今季3位に転落。1位の座をスペインに明け渡した2012年から、またランクをひとつ落とした格好だ。
 
 プレミアがスペインから1位の座を奪い取ったのは2008年。ランキングは過去5年の集計なので、その上げ潮ムードは2003年ぐらいから始まったわけだが、当時と現在は完全に逆転した関係にある。
 
 選手の質も落ちている。バルセロナ、レアル・マドリー、バイエルンで、堂々スタメンを飾れそうな選手は、この4チームの中に何人もいない。ならば、サッカーゲームの戦い方で勝らなければ、3強に太刀打ちすることはできないが、プレミア勢にまだそこまでの覚悟はない様子だ。
 
 サッカーそのものはかなり甘い。マイボール中心のサッカー。相手ボール時に特段、力を発揮することができないサッカー。番狂わせを起こしにくいサッカー。逆に、番狂わせを起こされやすいサッカーになっている。
 
 マンCとバルサが戦えば、単純な戦力比較で2点差、相手ボール時の対応の比較で1点差、計3点差でバルサが勝つのではないだろうか。
 
 かつて、バルサは毎度、チェルシーと大接戦を演じていた。当時、4強の一角だったリバプールにも完敗した経験がある。CLの優勝候補がプレミアの4強とバルサに絞られていた2000年代後半の話だが、プレミアが当時のまま、あるいは少しレベルダウンしたのに対し、バルサはそこから1段も2段も上昇した。そして、その間に、いくつかのチームが割って入ってきた。レアル・マドリー、バイエルン、アトレティコ・マドリー、昨季で言えば、ユベントス、PSG、ポルト、モナコ等もそこに含まれる。準々決勝に進出したプレミア勢は0。その復権なるかも、今季の見どころの一つになっていた。
 
 ところが、開幕週でいきなり4チーム中3チームが敗戦。危機感というものが伝わってこない、今後が心配される結果に終わった。
 
 スターリン、デブライネ。今季マンCは、リバプール、ヴォルフスブルクからそれぞれ両選手を、ともに100億円近い移籍金で獲得している。こう言ってはなんだが、とても実力に相応しいとはいえない金額で、だ。プレミアにはそうしたバブルっぽさが依然として存在する。
 
 その派手目なニュースは日本でも積極的に報じられている。その金満で華やかなイメージはしっかり伝えられている。だが、いまのサッカーを考察する上で有益なのは、欧州サッカーの全体図を俯瞰で捉え、プレミアが欧州で右肩下がりを示す現状について探ることだと思う。

 強者と弱者。サッカーでは、対戦する両チームは、ほぼどちらかに分類される。ブックメーカーの予想が50対50になるケースは滅多にない。やりにくいのは強者。例えば、55対45の予想は、点数があまり入らないサッカーにおいてほぼイーブンだ。しかし、モチベーションが高いのは45と言われた弱者。サッカーに番狂わせが多い理由である。
 
 CLもしかり。精神的に受けて立つ側はやりにくい。2連覇するチームが四半世紀も生まれていない理由はそこにある。強者は精神的に受け身になりがちなのだ。