9月17日、ヨーロッパリーグ(EL)が開幕した。今季ELには日本人選手が所属する4チームが参戦する。このうちシャルケの内田篤人は負傷リハビリ中。また初戦、バーゼルの柿谷曜一朗とスポルティングの田中順也はベンチ入りしなかった。

 香川真司が所属するドルトムントは、クラスノダール(ロシア)をホームに迎えた。予選3回戦から戦っているドルトムントにとって、ようやく迎えた本戦だ。対戦相手のクラスノダールは08年に創設されたばかりの新興クラブだが、2シーズン連続EL出場を果たしている。

 ドルトムントは思いのほか苦戦した。結果的に前後半の終了間際に得点し、2−1と逆転したものの、まさに薄氷を踏む思いの勝利だった。香川はほっとした様子で語る。

「難しかったですね。前半は明らかにいい入りができなかった。やはりヨーロッパリーグということで、(週末に)レバークーゼン戦もあったから、そういうところに頭が行っていた部分はあったのかな。どうしてもチャンピオンズリーグを4年やっている中でのヨーロッパリーグですから、そういうモチベーション的なところが難しさだと思います」

 欧州ナンバーワンを決めるチャンピオンズリーグ(CL)ではなく、ELは言ってみれば欧州全体の2部リーグに参加しているようなもの。中堅クラブが高いモチベーションで臨むのとは違い、3年前にCL決勝に進んでいるドルトムントのようなクラブにとっては、戦うのが難しいかもしれない。もちろんそれは今とほとんど変わらないメンバーによる昨季の体たらくが招いた結果ではあるのだが。

 この試合、ドルトムントはメンバーを少々入れ替えていた。GKには今季リーグ戦でベンチに座るワイデンフェラーを起用。パク・チュホ、ヤヌザイ、カストロという3人の新加入MFを先発させた。パスワークと細かな連携を前提とする今年のチームにあって、4人もメンバーが変わると少々リズムが狂うもの。同じ4−3−3で、前線にドリブルがうまくフィジカルの強いFWを置く相手に苦戦した。

 前半12分、右SBのギンターが1対1であっさりとかわされると、ゴールライン際からのクロスをニアで簡単に合わされ先制を許す。これに対してドルトムントは前半終了間際、シュメルツァーがパクにつなぎ、パクのクロスに飛び込んだギンターが頭で決め、追いついた。

 後半開始から香川が登場した。前半のドタバタ感の中で、香川の重要性があらためて感じられたように思う。最近は主に4−3−3のインサイドハーフ的な位置でプレーし、中盤からやや左サイドで長い時間ボールをキープすることがある。くるくると旋回しながらボールを手放さず、ともすると持ち過ぎの印象すらあるのだが、それにより周囲に落ち着きと時間を与えていることが、不在のピッチから逆に分かるのだ。

 もちろん香川ひとりが入ったからといって急に流れが変わるわけではない。

「リズムが悪かったので、距離感だったりパスの回し方だったりを意識しました。最初うまく入れたところはありましたけど、その後、ミスが続いてシュートチャンスを逃したりして、なかなか勝ち切ることができなかった。やっぱりポジショニングというか、味方のフォローの質などがいつもと違った感じがした。チームとして新しい選手が増えて、まだまだ連携面では課題があると思うので、もっと修正してやっていきたいと思います」(香川)

 香川は相手のカウンターの精度が下がらないことを「怖い」と思いながらプレーしていたという。それでも最後はパクがゴール前に飛び込み、マインツ時代の同僚、岡崎慎司を思わせる低空で頭ごと突っ込むヘディングのゴールでどうにか逆転。勝ち点3を手にした。

 この日がドルトムントでのデビュー戦だったパクについて香川はこう語った。

「誰もがデビュー戦は緊張するし、気合いが入るもの。結果を残したいっていうところで、1ゴール1アシストは彼にとって良かったと思う。ただ足がつっていたし、後半はやっぱり疲れていたかな。そういう意味では今日は本来の力ではなかったと思うんですけど、最後はいいところにいたなと思います」

 ドルトムントはこれで今季公式戦10連勝。流れの悪い中でもどうにか勝ち切れる、昨季との大きな違いを見せた一戦だった。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko