「フワッとしたクロスはダメ」なんて誰が決めた!? 長谷川太郎( @TaroHasegawa )のFW理論(supported by ニコ生サッカーキング『ハーフ・タイム』)

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 カンボジア戦とアフガニスタン戦において、日本は2連勝することができました。しかし、今後の対戦相手シリアはまだまだ強敵ですし、日本が目指しているW杯ベスト8という成績を考えるとまだまだ課題は山積みといえると思います。とりわけ、得点を挙げるという部分において、これは見る側・プレーする側双方のギャップがあるのではないでしょうか。
 
 今回のお話では、特に「フワッとしたクロス」の活かし方について盛り上がりました。クロスはライナー性の強いボールが良いとされるケースも多いと思いますし、フワッと山なりのクロスをただ上げるだけでは意味がありません。しかし、フワッとしたクロスが効果的なケースも実はあるんです。長谷川太郎さんの解説に耳を傾けてください。本対談の収録を快く許可してくださったニコ生サッカーキング・ハーフタイムさま、および運営元の(株)フロムワンさまに心からのお礼を申し上げます。(収録:2015年09月08日 取材・文 澤山大輔[アスリートナレッジ編集部] ※収録はアフガニスタン戦の直前です)
 
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MCタツ (日本代表の)FW陣のボールの要求の仕方という部分で思うのですが、中盤主導になりすぎて、FWが「もっとこういうボールくれよ!」という自己主張が結構少ない気がします。
 
長谷川太郎(以下、長谷川) 自分もまさしくそう思っています。そういった部分は否めないかなと思います。イタリアだと、例えばインザーギが「出せよ!」とかそういうアクションをしていたりして、それを観てMF陣が「ああ、次はあそこに出せばいいのか」と思ったりしていい循環ができています。
 
 ストライカーが成長していけば対峙するDF、GKの成長に繋がりますし、パスを出すMFの成長にも繋がると思うんですね。FW主導で日本サッカーがシフトしていくことが、日本サッカーのレベルアップに繋がると思って、今こういう活動をさせていただいています。自分がどうこうというより、日本全体でそういう雰囲気を作っていきたいなと。
 
MCタツ 昔からありますよね、中盤至上主義的な雰囲気は。良い所であり、そこに偏りすぎている部分も少なからずあるのかなと。もう少しFWの主体性を出せる環境が作れればいいのかなと思います。
 
長谷川 そうですね、例えばFWが得点した時にもっと大きなジェスチャーで喜ぶとか、もっと褒めるとより良いのかなと。ミスが発生したことに対して指摘するのはいいのですけど、得点した時は割とあっさりしていたりということがあります。大きく喜ぶということが普通になれば、日本全体でもう少しゴール自体の価値が高まっていくのかなと。
 
「みんなで取ったゴールだぞ、もっと喜べ!」みたいな。「よかったぞ、今のゴールはすごいぞ!」ということを言わないで、ミスのことだけを指摘するとどうしても消極的になってしまいます。良かったぞ、ということを出していくのは大事だと思います。
 
MCタツ アフガニスタン戦に関しては、先制点を取るタイミングが大事ですね。
 
長谷川 そうですね、先制点を早めに取るのは大事ですけど、相手があるスポーツなので。うまくいかないときにネガティブにならないようにする、建設的に話し合える雰囲気を持っていけば、技術のある選手は多いですし大丈夫かなと。逆にそこでネガティブになってしまう、全員が静かになってしまうと苦戦することもあるかなと思います。

MCタツ カンボジア戦でいうと、本田圭佑選手が先制点を取ったところもメンタルの強さを見せてくれたわけじゃないですか。ちょっと悪いリズムに入った時に、打開できないという部分はありますよね。
 
長谷川 決断する、ゴールを決めるという気持ちが強かったのは(カンボジア戦では)3人とも海外の選手ということがあって、香川選手に関しても大きなチャンスを外してしまったものの「外したとしても次を決めるぞ」という気持ちがあったと思うんですね。どうしてもネガティブになってしまう部分はあると思うんですが、海外に出ているからか、3点目を取っていくのはすごかったなと思います。
 
MCタツ 外してもより積極的に、というところですね。
 
長谷川 そういうメンタルがあると、セカンドボールに対して反応する選手も2〜3人増えていくと思うんです。チームとして2〜3個ゴールパターンが増えるので、「じゃあ、打っていいな」と思えるわけです。これが「打たないのかな」と思うとセカンドボールに対しても準備できない、打つ方もセカンドボールを拾ってくれると思っていないからまた消極的になってしまう、そういうことがあるかなと思います。
 
青山知雄 本田圭佑選手も、あのカンボジア戦の先制点は「弾いたところに誰かが詰めてくれればいいと思った、入るとは思っていなかった」と言ってるんですよね。
 
MCタツ 決めた後の顔が物語ってましたよね、「あ、入るんだ」みたいな(笑)。チームとしてシュートを打ちやすい環境を作っていく必要がある、ということですね。

MCタツ 代表戦で、ここを注目してほしいというポイントはありますか?
 
長谷川 まずは出し手のボールの置き方ですね。(アジア二次予選では)相手が引いているので、クロスのボールが縦に置いてあるか、ちょっと外に置いてあるか。それに対してDFラインがどういうポジショニングを取っているか。あとは、ニアに動き出せているかというところですね。DFとGKの間のニアサイドに、1人入れているか。そこに入っていけばDFは1枚釣られてしまいますし、タッチできればそこでゴールになります。
 
あとは、ゴールライン付近まで攻め込んで、GKがニアポストに寄ったときにファーに落とすようなボールが1つあると面白いですね。クロスの置き所と、上げるところの選択ですね。
 
MCタツ 酒井宏樹は最初にニアに何本か入れて、その後でファーに入れたりと蹴り分けをしていますね。
 
長谷川 酒井宏樹選手がいいのは、蹴る時にそんなに中を長い間見ているわけではなくて、チラッと観てから上げるところですね。タイミングがいいです。そこのところは期待しています。太田宏介選手もいいですね。抜ききらないうちにトン、トンと上げるんですが、うまく空間を使ってワンバウンドさせたり。自分も横浜FCで一緒にやっていたんですが、本当にいい選手です。
 
MCタツ 確かに太田宏介選手のボールは、速い時は速いんですがゆっくり行く時はゆっくりという印象があります。
 
長谷川 ファーにフワーン、としたボールを上げるもう1つの利点は、DFがクリアしにくいということです。強くクリアしにくいんですよ。左サイドで切り返して右足で上げた時に、速いボールだとボーンと跳ね返されることもあるんですが、フワーンとしたボールなら遠くに飛ばないので近くに落ちてガチャガチャッとなって、そのこぼれ球をミドルで決めたりということもできます。
 
MCタツ はあ〜、なるほどですね。
 
長谷川 二次攻撃、三次攻撃につながりやすいんです。
 
MCタツ 今の代表チーム、その辺を狙っている感はあまりしないですね。相手がクリアしにくい、ヘディングで飛ばないボールをあえて狙ってセカンドボール、という感じはしないですね。
 
長谷川 蹴りだした所でワンバウンドで直接ファーサイドに入るクロスか、フワッとしたボールでセカンドボールを狙う。そういうふうに頭のチャンネルを切り替えられると、周りもわかりやすいのかなと。 
 
MCタツ 一発で仕留めようとする気持ちが、シュートを丁寧に打ち過ぎたり、セカンドボールを狙わないようなプレーにつながっているんですね。
 
青山知雄 シンプルですよね。フワッとしたボールが入ったなら、ファーサイドの選手が折り返すのか、クリアされてもそんなに飛ばないという中でFWの選手がじゃあどこに詰めようか、どういう可能性があるのかを考えてポジショニングを取るわけですよね。「この後、こうなる」という共通認識を、(代表)チームがまだ持てていないということなのかもしれませんね。
 
MCタツ カンボジア戦に関しては相手が相手ということもあり、切り返すシーンが多かったように思います。
 
長谷川 そうですね、切り返すよりもまずは縦に行ったほうが良かったかなと思います。
 
青山知雄 相手のレベルもあって、足元である程度持ててしまうというところがありますよね。
 
MCタツ キープできてしまう相手だと、足元のパスが増えてしまうという。見るポイントとしては、出し手側のボールの置き所、そのあとのクロスに対しニアに入ってくる選手がいるか、それから裏を狙うファーに対しフワッとしたボールを状況に応じて出していけるかだと。
 
長谷川 1点とってしまえば、僕は今の日本代表の良さがさらに出ると思います。

MCタツ 聞く話によると、ブラジルにはペナルティエリア内専門コーチというものがいるそうですね。結構、いろいろなクラブにちょこちょこいるみたいで、要はサッカーではペナルティエリアでは違う動き方が必要だということで、ペナルティエリアの中に関しての専門コーチなのだとか。
 
長谷川 自分が目指しているところも、それに近いですね。ブラジル人に言われたのが、「リズムを変えることが、得点を取る秘訣なんだ」と。トン、トンと打つのが、1回止まってトンと打つことでリズムが変わってGKのリズムを崩せる。1つリズムが違えば、人は身体にリズムが自然に刻まれていますから、GKは体重移動の瞬間を狙われれば対応できないわけです。
 
MCタツ コースが甘くても入るゴールは、タイミングがずれているケースが多いですよね。
 
長谷川 それを自分たち主導でやっていく。FWなのでリアクションではなく自分たち主導でできるので、身体の向きだったりペナルティエリアへの入り方を指導したいなと思います。
 
MCタツ FW論は僕もすごくやりたくて、このままだと何時間でも話してしまいそうです(笑)。別途機会を設けてやらせてください。
 
長谷川 ぜひ。それにしても、Jリーグの外国人選手にスーパーな選手が多く、そこにも影響受けましたね。ストイコビッチ、ウェズレイ、スキラッチ、それからエジウソン、カレッカ。彼らが基礎練習1時間2時間ひたすらやっているといえばすぐに真似しましたし、「こんなターンしてるんだ!」とか研究しましたよ。エジウソンは僕が柏ユースにいた頃の選手で、よく真似しました。他にもストイチコフやベンチーニョや……。
 
MCタツ かつては世界のスーパースターがJリーグにいましたよね。練習から学べてしまう部分は大きかったんでしょうね。今はYoutubeで学ぶっていいますもんね。
 
長谷川 彼らのプレーを実際に見ると、やっぱり生で見るとなかなかテレビでは見られない部分あってすごかったですね。
 
MCタツ ところで、長谷川太郎さんは10月4日に引退試合を開催されるんですね? 引退試合の公式HPhttp://culmination-of-hasegawa.spo-sta.com/を出してもらっていいですか。試合以外で何かイベントなどはやられるんですか?
 
長谷川 はい、浦安で僕が教えた子どもたちの試合をやったり、スポンサーの皆さまから地ビールが提供されたり、ディズニーランドの近くでもありますから来ていただければ楽しめると思います。
 
MCタツ 珍しいですよね、チーム3年の在籍で引退試合をさせてもらえるというのは。あまり聞かないことです。
 
長谷川 本当にありがたいです。最初、去年の年末に「OB対現役選手の試合をやろうよ」という話をしたんです。去年、残念ながらJFLに昇格できなかったので。そうしたら、こういうスタジアムで大々的にやってくれることになったんです。
 
青山知雄 監督は都並敏史さんなんですよね? 
 
MCタツ 都並さんは試合には出ないんですか?
 
長谷川 出る可能性もなくはないです(笑)。
 
MCタツ 都並さんのご長男も浦安の選手ですよね? 
 
長谷川 そうですね、OBなので現役選手が出るかはわからないんですが、当日現場にはいると思います。
 
MCタツ 都並親子対決なんて見れたら面白いですよね! こちら、入場無料なんですね。10月4日(日)15時〜浦安市陸上競技場にて、こちら皆さんぜひお越しください。
 
長谷川 自分が一線を退く節目で、もちろん今後もサッカーには携わっていくんですが、盛り上げてくれたら嬉しいですね。皆さんぜひお越しください。
 
 
<長谷川太郎 引退試合>
 https://cf.sportie.jp/sportie/projects/1304-3000
 
>対戦カード:『長谷川太郎Friends VS 浦安レジェンドOB』
>試合日程:10月4日(日) 15:00キックオフ(20分ハーフ)
>試合開場:浦安市運動公園陸上競技場
>観戦無料 来場予定者数:3000人
>露出:ブリオベッカ浦安公式サイト・Facebook・Twitter、ブリオベッカ浦安後援会サイト、選手公式ダイアモンドブログ
>主催:ブリオベッカ浦安
>運営:一般社団法人TRE・ブリオベッカ浦安選手会
 
<了>