石田純一オフィシャルサイトより

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 現在、国会では参議院本会議で安保法制の採決を阻止しようと、問責決議案提出によって野党が引き延ばし作戦に打って出ている。──そんな国会の前で行われている反対デモに、思わぬ人物が現れてスピーチの壇上に上がり、デモ参加者のあいだでどよめきが起こった。

 その人物とは、俳優であり"平成の色男"とも呼ばれた、あの石田純一。しかも石田は、"集団的自衛権は必要じゃない!"と、強く訴えたのだ。

 セーターを肩がけするというおなじみのファッションに身を包んだ石田は、まず、このように熱っぽく語り始めた。

「ぼくたちが言えるのは、いま、ここで、いろんな方の意見があるという、そういう国(であるということ)。まだものが言える国。そういうことが、ぼくたちにはまだまだ救いがあると。そして、こんなにたくさんの方が毎日毎日......きょうも、ぼくは京都の(デモ)も見て参りました。(中略)やっぱりここ何年も、政治に無関心で何も言ってこなかった人たちでさえ、こうやって立ち上がってるんです」

 そして石田は、集団的自衛権の行使に対する疑問を口にする。

「ひとつだけ言いたいことがあります。攻められたらどうするんだ、そういうことを、いろんなTwitterやメディアでも聞きます。でもそれは(中略)個別的自衛権、攻められたらそこで周辺事態で、なんとかなるわけですよ。ここにきて、たしかにアメリカは同盟国でありますけれども、わざわざ中近東に行って、その彼ら(米軍)を助ける必要があるのか。ないですよね?」
 
「われわれの子どもたち、孫たちがずっと平和に暮らしていけるように、この国を守るというのは、個別的自衛権でも守れるんです! なんでわざわざ、集団的自衛権が必要なのか? そんなにアメリカの機嫌が取りたいですか? アメリカは、もちろんわれわれの友だちで、同盟国ではあります。でも、やはり、間違っている、違ってる、なにかそういうことは友だちでもちゃんと言えなくちゃ、おかしいと思います!」

 さらに石田は、先の戦争でどれだけの人びとが尊い命を落としてきたかを話しはじめた。310万人、一説には400万人もの人びとが犠牲になったこと。ポツダム宣言を受け入れるまでの間に、何十万人という一般の人びとが空襲の犠牲になったこと──。

「インパール作戦では20万人も日本兵がアジアに出て行って、帰ってきたのは2万人です。18万人が、餓えと、病気と、そして戦争で弾丸でも亡くなっている」

 そう言うと、力を込めてこう宣言した。

「戦争は文化ではありません!」

 その昔、1996年に石田は「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」と発言、世間から大バッシングを受け、その後は「不倫は文化です」というフレーズが石田の代名詞となった。それを踏まえた「戦争は文化ではありません!」宣言だったのかもしれないが、その言葉にデモ参加者からは大きな拍手が巻き起こった。

 モテ男として長く君臨してきたせいか軟派に見える石田だが、意外にも政治に興味があり、「不倫は文化」発言がきっかけで降板したものの、一時期はニュース番組のキャスターを務めたこともある。

 それに、今回の安保法制に対しては、関西のテレビ番組で公然と批判を行っている。関西では長寿番組であり、石田が水曜コメンテーターを務める『おはよう朝日です』(ABC朝日放送)では、「憲法9条があるから日本は戦争してこなかった」とし、「それを変える必要があるのか」と疑問を呈した。さらに、きょうのスピーチでも言及した集団的自衛権も"戦争するための準備ができるということ"などと発言している。

 これまでも本サイトで紹介してきたように、笑福亭鶴瓶やSHELLY、高田延彦などといった芸能人たちも安保法制には反対の立場を取ってきたが、それはTwitterでの投稿だったり、高視聴率はあまり見込めないドキュメンタリー番組などでのこと。だが石田は、関西ローカルとはいえお茶の間に定着した人気番組ではっきりと批判を言い、そして今晩は反対デモに参加してスピーチまで行ったのだ。「芸能人は政治的主張を慎むべし」という不文律があるなかで、これは相当に勇気がいる行動だ。

 しかも石田は、安倍晋三首相とは同い年であるという縁から古くからの友だちで、安倍が衆議院選挙に初出馬した際も石田は応援演説を行っているほどだ。だが、昨年のスポーツ報知のインタビューでは、安倍との最近の仲について、このように語っていた。

「最近は集団的自衛権の行使で、僕らはちょっとプンプンなんですけど。リベラルでありたいですからね」

 これはまさに、スピーチで言ったことと同じ。石田は「たとえ友だちでも間違っていることには間違っているとちゃんと言わなきゃおかしい!」と話したが、きょうの"戦争反対"という石田のメッセージは、国会内にいる友人の安倍首相に向かって叫んだのかもしれない。

 石田はスピーチの最後を、「絶対に、われわれは誇るべき平和を、ずーっと戦後70年、80年、100年、つづけていこうではありませんか!」と結んだ。友人からのこの言葉に、安倍首相は耳を傾けるべきではないだろうか。
(編集部)