“球界一の悪役”
 チームオーダーや戦術への口出しから現場トップが次々に離脱を表明、冒頭の肩書がすっかり板に付いた東北楽天の三木谷浩史オーナー(52)。田代富雄打撃コーチの退団はまだしも、偉大なるイエスマンを期待して抜擢した大久保博元監督にも逃げられ、チームは空中分解にも等しい状況だ。
 ところが、楽天担当記者によれば、三木谷オーナーは落ち込むどころか、ますます意気軒昂なのだという。独断専行に拍車がかかり、抜本的な球団改革に舵を切ったからだ。
 「スポーツ紙などは現場介入と批判しているが、見逃せないのが、現場スタッフの実力不足。三木谷オーナーだってチームが優勝争いをしていれば口は出さない。ゴンロク(5、6位)争いをしているから現場介入したのです。これはオーナー自身も認めるところで、フロントと現場の一体化を協調するもの。両者が一体となったコンシステンシー(一貫性)ある野球を構築しようとしているのです」(楽天球団関係者)

 そこで、来季に向け、すかさず着手したのがフロントの大手術だ。これまでシニアアドバイザー(SA)という玉虫色の立場にあった前監督の星野仙一氏(68)を表舞台に担ぎ出し、手始めに球団取締役副会長に就任させた。その星野氏のもとで“新たな組閣”を推し進めるわけだ。
 各スポーツ紙は、後任監督候補に梨田昌孝氏、与田剛氏、佐々木主浩、宮本慎也氏、田口壮氏、斎藤隆投手、さらには星野氏の名前まで上げたが、これは新聞辞令。本誌が入手した情報によれば、隠し玉は他にあるという。

 謎解きのヒントは、ホリエンモンこと堀江貴文氏(42)との急接近にある。堀江氏は、'04年の近鉄バファローズとオリックス・ブルーウェーブの球団合併の際、新球団を巡って球界参入を争ったライバル。結果、渡辺恒雄巨人軍オーナーなどの支援を取り付けた楽天に軍配が上がったが、地元ファンの多くはホリエモンを支援していた。真っ先に仙台本拠地案を示したのが堀江氏だったからで、いまでも仙台での人気は高い。
 「逆に三木谷氏は打順や投手ローテーションにまで口を出し、それがコーチ陣に総スカンを食らい優勝戦線から早々に離脱したと、ファンの非難も殺到している。そこで思いついたのが、なぜか人気のあるホリエモンの登用なのです。実は2人は私的には友好な関係にあり、堀江氏が収監される前のパーティーにも出席し、激励した仲。今でもツイッターなどで交流を続けていますよ」(堀江氏と親しいマスコミ関係者)

 立花陽三球団社長も堀江氏とは良好な関係にあり、オーナーの意を汲んだ同氏が堀江氏にGM的な役職を打診したという。しかし、球界の反発が予想されることから、最終的に星野氏が副会長、その星野氏のもとで堀江氏が球団戦略を練る、というプランに移行したようだ。
 「楽天が堀江氏招聘に乗り出したのは、彼が8月1日付でJリーグのアドバイザーに就任したことが影響しています。球界には元ライブドア社長ということで敬遠する人が多かったが、Jリーグが公式に迎えたことで、ちょうどいいみそぎになった。三木谷氏は、堀江氏が掲げる『東京にビッグクラブを2つ作る』という構想や、『海外の投資家にJリーグの地方のクラブを買ってもらう』というアイデアを高く評価しているようです。視線の先には、所有するヴィッセル神戸の東京本拠地移転、東北楽天イーグルスの売却、それらの具現化を堀江氏に期待しているのかもしれません」(経済誌記者)

 堀江氏も“楽天入り”には異存がない。一度は球界参入を目指し『ライブドアベースボール』を設立。その後も広島カープの買収を計画するなど、プロ野球には熱い思い入れがあるからだ。それと“あの男”との約束もある。
 「幻に終わりはしましたが、球界進出を目指してライブドアベースボールを設立した際、初代監督として発表したのが元阪神のトーマス・オマリー氏でした。堀江氏にはその経緯から“オマリー監督”への思い入れが強い。自身が楽天入りするのであれば、オマリー監督が条件。元阪神監督の星野氏もこのプランには賛同していて、英語が公用語の楽天だけに三木谷氏も米国人監督は大歓迎なのです」(前出・同)

 オマリー氏は現在、阪神の打撃コーチ補佐を務めており、来季は打撃コーチ就任が有力視されている。その話が正式にまとまる前に、急ぎ横恋慕というわけだ。
 同じくライブドアベースボール設立の際、アドバイザリーボードに名前が挙がったのはビートたけし、テリー伊藤、二宮清純の各氏だった。おそらく、三木谷氏は堀江氏を通し、彼らも取り込もうとしているのだろう。
 ビジネスの世界で数々の成功を手にしてきた三木谷氏が、このまま批判の矢にさらされ、黙っているはずがない。星野氏とホリエモンの異色タッグ結成がその表れだ。
 これから超ド級の楽天大改革が始まる。