◆オフィシャル誌編集長のミラン便り2015〜2016(4)◆

 ダービーでミランは敗れた。ミラニスタにはつらい出来事だ。しかしこの日の試合はそれまでの2節とは明らかに違っていた。負けたとはいえ、明るい未来を予見できるようなポジティブな兆しが見て取れたのだ。今回はそれをひとつずつ、テーマに沿って分析していきたいと思う。

●プレー
 前の2試合ではチーム全体を動かすことのできる選手がいなかった。しかし、このインテル戦でミハイロビッチはモントリーヴォを投入。キャプテンのモントリーヴォは中盤の底、DFラインの前に位置し、ミランのプレーに方向性を与えることに成功した。

 モントリーヴォの両脇にはボナベントゥーラとクツカ(移籍市場の閉まる最後の週にジェノアより獲得)、トップ下に本田圭佑。バランスのよくとれたフォーメーションだったが、最後の15分間はボナベントゥーラに疲れが見られ、するとすぐにプレーのテンポが悪くなった。ミハイロビッチの今後の課題は、モントリーヴォとデ・ヨングのどちらをレギュラーとして使うか秤にかけることだ。ダービーでは、デ・ヨングは90分間ベンチだった。

●態度
 この日のミランの試合に対する姿勢は、インテルより良かったと言われている。開幕のエンポリ戦では勝利したものの、その覇気のなさにミハイロビッチは激怒したが、ダービーでの選手たちの態度には満足したようだ。

 常に高いプレッシャーをかけ、ボールを取り戻したら即座にリスタート、というミハイロビッチの望んだことを選手たちはきちんとこなしていた。ただ惜しむらくは持続性に欠けた。ミラネッロで彼らがしている練習ではもっとずっとハードなのだが、この日はその断片しか見ることができなかった。

●ミハイロビッチ
 先にも触れたエンポリ戦の後、ミハイロビッチは「勝ったというのにまるで負けたような気分だ」と怒りを露わにしていたが、この日は真逆だった。試合後の会見で彼はこう語っていた。

「今日の私は怒ってはいないよ。唯一うまくいかなかったのが結果というだけで、ゲームをずっと支配していたのは我々の方だった。ただゴールが足りなかっただけだ。この調子でプレーをしていけば、今後多くの勝利を手に入れることができるだろう。もちろんこれはダービー。どんな時でも負けるのはいいことではない。しかし監督にとって一番大事なのは、チームがいいプレーを見せることだ。とにかく負ける内容の試合ではなかった。

 ミランは自分らしいプレーを見せ、危うさは感じられなかった。今、私は自分の望むチームとメンタリティーを手に入れた。最初の2試合のようなミランでなかったことに、私は満足を覚えている。選手たちは自分たちにできる精一杯のことをしていた。結果はいいものではなかったが私は内容を評価する」

●攻撃
 オフェンスはこの日最も輝いていたポジションだ。バッカとルイス・アドリアーノはインテルDFを大いに苦しめた。何度も繰り出されるスピーディーなカットで、彼らはミランの攻撃に深みを与えた。

 また、今シーズンの最大の賭けであったバロテッリのミラン再デビューもいい形で行なわれた。相手からの明らかに挑発と思われるプレーがあったが、バロテッリは動じず、約30分間インテルを脅かし続けた。シュートもいくつか放ったがこれは惜しくもゴールポストとハンダノビッチのファインセーブに阻まれてしまった。同点ゴールとなってもおかしくないシュートだっただけに残念である。この日のバロテッリを見る限り、スーペルマリオもついに本物の名手への正しい道を歩み始めたように感じた。

●本田圭佑
 ダービーという大事な一戦でも本田はトップ下のレギュラーとして先発。このことはミハイロビッチが本田を高く評価している何よりの証拠である。80分間、彼は自分を犠牲にしてチームに貢献した。

 多くのミラニスタが2トップの後ろでプレーするバロテッリを見たがっていたが、ミハイロビッチは本田のプレーが、チームに安定を与えてくれることをよくわかっている。周囲に流されず、最終的には本田をトップ下に選んだことは正解であったと思う。

ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko