9月15日、チャンピオンズリーグ(CL)グループリーグが開幕した。レアル・マドリードはクリスティアーノ・ロナウドのハットトリックなどでシャフタール・ドネツクを4−0と圧倒。強豪チームが集まったグループDでは、マンチェスター・シティがユベントスに1−2で敗れ、セビージャは3−0でボルシアMGを下している。

 昨季オランダリーグで優勝、08〜09シーズン以来CLに駒を進めたPSVと、ファン・ハール体制2季目で凋落からの立て直し真っ最中のマンチェスター・ユナイテッドとの一戦は、マンUが2シーズンぶりに欧州の舞台に返り咲いたことで注目が集まった。

 だが、結果は厳しいものとなる。マンUは1−2で逆転負け。しかも守備の要として機能するルーク・ショーが負傷し、長期離脱が決定。ルーニー不在の今、泣きっ面に蜂とでも言いたくなる1日となった。

 久々のCLを戦うPSVシュタディオンはどことなく温かいムードだった。場内アナウンスによるメンバー紹介の時には、今季PSVからマンUに移籍したばかりのデパイを大きな拍手で迎え、アヤックス出身のブリントにはブーイングを響かせた。ある意味で勝負を度外視して大一番を楽しんでいる感があった。

 ボール支配率はマンU62%に対しPSVが38%。シュート数は17対6。スタンドから見る限り、主導権を握って試合を押し進めたのはマンUだった。マンUはボランチに入ったシュバインシュタイガーが、中盤から前線に配球する役割を担い、全体をまとめた。かつてのルーニー、ファン・ペルシー頼みから脱却し、中盤にポイントができることで、サイド一辺倒だった攻撃にもバリエーションが増え、落ち着きが出たようだ。

 15分過ぎ、左サイドからドリブルでゴール前に侵入したマンUのショーに対し、モレノがスライディングタックルで対応。ショーはこれを左足でまともに受けてしまう。すぐには動かせなかったのか、ピッチ内で約10分間の治療を受け、ようやくストレッチャーで運び出されるほどの重傷(後に左足の複雑骨折と判明)。マンUにとってはこの試合だけでなく、今季を左右する出来事だった。

 それでも先制点は41分、マンUに。後方から出た縦パスを、左サイドをかけ上がったデパイが受けると、そのままペナルティエリアに入り、古巣の右隅に流し込んだ。この日再三狙っていた、左サイドからの形だった。

 その直後にもマタからのパスを受け、左サイドからペナルティエリアに入りかけたあたりでデパイがシュートを放つが、これは惜しくも枠の右に。さらに相手の最終ラインから中盤へのパスミスを見逃さなかったスモーリングがボールをカットし、そのままドリブルで攻め込みシュートに持ち込んだがこれはGK正面に。マンUの時間帯が続いた。

 だが、前半ロスタイム、PSVはCKにモレノが合わせ、ボールはブリントに当たってゴールに。1−1で試合を折り返す。

 逆転弾は57分だった。PSVはマンUが最終ラインから中盤へとボールをつなぎ切れなかったところを逃さず奪い、そのままレスティエンヌの速い左クロスにナルシンフが合わせた。マンUにとっては守備の乱れを突かれた痛恨の1点。これ以降はマンUに前半の勢いも見られず、PSVが落ち着いて守り、勝ち点3を取る戦いにシフト。初戦でいきなり番狂わせを演じた。

「2点目を決めれば試合は終わっていた。今日の誇れることは、多くのチャンスを作ったことだけだ」と、ファン・ハールは試合を振り返った。

 今季、大金を投じて選手を獲得したマンUだが、どこかまとまらない個人頼みの印象は変わらない。名門復活への道のりは一筋縄ではいかないことを、あらためて感じさせられた。

了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko