『全農 2015 パシフィックアジアカーリング選手権大会 日本代表決定戦』(9月16日〜21日)が、北海道北見市常呂町のアドヴィックス常呂カーリングホールで開催される。

 今年2月に行なわれた日本選手権上位4チームに出場権があるこの代表決定戦。優勝チームは日本代表として、11月にカザフスタン・アルマトイで開催される、2015パシフィックアジアカーリング選手権(以下、PACC)に参戦することとなる。

 なお、このPACCは、女子は来年3月にカナダ・スウィフトカレントで行なわれる、2016世界選手権への出場権をかけた戦い。参加5チーム中(日本、中国、韓国、カザフスタン、ニュージーランド)、上位2チームに入れば、世界への切符を手にすることができる。

 また、この2016世界選手権から、その成績によってオリンピックポイントが参加各国に振り分けられる。そして、翌2017年大会のオリンピックポイントと合わせて、総合ポイントで上位に入った国に2018年平昌五輪の出場権が与えられる(※)。
※前回と同じ規定であれば、直近2大会の世界選手権(オリンピックポイントの合計)によって、五輪の出場権を得られるのは、上位8カ国(開催国・韓国を含む)。残り2枠は、世界最終予選で争われる。世界最終予選に出場できるのは、直近2大会の世界選手権に1回は出場している国。

 つまり、各チームによる五輪出場に向けた長く熾烈な戦いが、今回の代表決定戦から始まるわけだ。

 さて、今大会の行方だが、やはり本命は、2014年ソチ五輪代表の北海道銀行フォルティウスだろう。

 ソチ五輪後の2014−2015年シーズン、チームは近江谷杏菜(前チーム青森)と吉村紗也香(前札幌国際大)を迎え、近江谷−小野寺佳歩−吉村−小笠原歩という強力布陣を構築。2月の日本選手権では念願の初優勝を飾った。そしてその後、3月に地元・札幌で開催された世界選手権でも、世界の強豪国とも互角に渡り合って、6位という結果を残した。

 さらに、今季(2015−2016年シーズン)の始動戦でもあり、今大会の前哨戦とも言える、どうぎんカーリングクラシック2015(7月31日〜8月2日)でも、男子チームを破るなどして、女子チームで唯一の表彰台(3位)に上がった。

 第二子を出産した船山弓枝もチームに復帰。フィフスに入って、サポートも万全だ。これには、「誰かが調子を崩したとしても、経験豊富な船山はどこのポジションでもフォローができる。北海道銀行の体制は磐石と言っていい」と、多くの関係者が舌を巻く。

 この北海道銀行の対抗となるのは、マリリンこと本橋麻里率いるロコ・ソラーレ北見(LS北見)だ。昨年のPACC日本代表決定戦、今年2月の日本選手権と、ともに準優勝。今大会も「打倒・北海道銀行」の一番手となるが、5月には、チームの支柱である本橋が、第一子の妊娠を発表した。おめでたい知らせながら、競技面からみればLS北見の戦力ダウンは免れないところだろう。

 しかし、ほぼ同時期に中部電力のスキップ・藤澤五月が電撃移籍で今季からLS北見に加入した。2011年から日本選手権4連覇の中部電力を支えた国内屈指のスキップである藤澤の実力は折り紙つき。彼女が本橋に代わってスキップを務めることで、大きな戦力ダウンを免れるだけでなく、新たな相乗効果も期待できそうだ。

 藤澤にとっては、今大会がLS北見の一員として初の公式戦となるが、北見市出身の彼女とすれば、会場となるアドヴィックス常呂カーリングホールは"ホームリンク"のようなもの。チームメイトとのコミュニケーションが図れていれば、気負うことなく、実力を存分に発揮できるのではないか。

 2月の日本選手権では、北海道銀行から唯一白星を奪ったLS北見。相性は悪くないだけに、「カーリングのチーム構成は、足し算ではなく、掛け算。藤澤がサードの吉田知那美(前北海道銀行。ソチ五輪代表選手)とかみ合えば、かなりの爆発力を持ったチームになるはず」と、地元カーリング関係者はLS北見の逆転に期待を膨らませる。

 磐石の北海道銀行か、リニューアルされたLS北見か。平昌五輪へ向けた熱き戦いの、"第1ステージ"の幕がいよいよ上がる。

竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro