「北朝鮮のあのカリアゲのお兄さん、彼がさ……」
「1977年、韓国を褒める記事を書いたら、日本のあらゆるところで僕の糾弾が行われた。まあ、僕は糾弾されるの好きだから全部受けて立った」

テレビカメラが回っていなくても、田原総一朗節は変わらない。


9月15日、東京・早稲田大学で映画「ドローン・オブ・ウォー」(10月1日から全国ロードショー)の公開記念トークショーが行われた。登壇したのはジャーナリストの田原総一朗と、拓殖大学教授で元防衛大臣の森本敏。司会はフリーアナウンサーの長谷川豊が務めるという、三者三様、どこからでも炎上案件になりそうなメンバーだ。


映画「ドローン・オブ・ウォー」は、ラスベガスの基地内にあるエアコンの効いたコンテナが舞台。無人機ドローンを遠隔操作し、約1万キロも離れた異国の空爆を行うドローン操縦士の異常な日常、そして「現代の戦争」の姿を描く意欲作だ。

口火を切ったのは田原総一朗。
「こんな役割になったら、僕はもっと廃人になったと思うね。ストレスで。大変な映画です」


一方の森本は、「兵器のシステムが恐ろしいのではなく、それを使う人間の意思に問題がある。ピストルが怖いのではなく、ピストルを誰が、何の目的で使うかに問題があるのと同じ」と語り、「テロリストがドローンを持つようになったら、我々はどうなるのかという重大な疑問に行き着く」という命題も提示する。

北朝鮮も中国もロシアもアメリカも「ドローン」


司会の長谷川アナがドローンに関する話題を続ける。
「森本先生、新しい戦争の形はすでに世界中で始まっているんでしょうか? これはアメリカだけの兵器なんでしょうか?」

「さっき森本さんに聞いてビックリしたんだけど、北朝鮮はたくさんドローンを持ってるらしいんですよ」と田原。
以降、森本の「世界ドローン情勢」の解説が始まる。


「北朝鮮は少なくとも攻撃用だけで7種類、数百の無人機を持っています。 ただし、北朝鮮はエンジンの開発が進んでいない。無人機の飛行距離が40〜60キロくらいしかないので、韓国の上空に入ってもうまく運用できずに堕ちてしまう。韓国国内では、いくつもの無人機が補足されています」

「中国とロシアはものすごく持っています。中国は恐らく北朝鮮の数倍。少なくとも攻撃用無人機だけで7種類、数百の無人機を持っています。ロシアは、ウクライナ情勢において実際に偵察用無人機を使用しています。攻撃に使った、という証拠はまだありません」


「日本の陸上自衛隊は既に無人機を3機持っていて、災害派遣の偵察用として活用しています。航空自衛隊も偵察機をこれから導入予定です」

着々と日本でも認知・導入が進むドローン。実際、ここ最近続いている災害時など、ドローンが活躍する場面は多い。その一方で、今国会ではドローンの規制を定めた航空法改正案(いわゆるドローン規制法案)が先日、参院本会議で可決、成立した。

「アメリカの議会では、ドローンをどう活用すべきか、という議論はありますが、使うべきでない、という議論は出ません。アメリカの国防省は、来年度以降、ドローン予算を40%上げようとしています」

軍事目的以外でも、海洋監視、農業、災害派遣、航空交通、通信など、様々な用途で今後のさらなる活用が見込まれているドローン。それだけに、やはり、誰がどう使うかが重要になる、と森本教授は解説する。

「ドローンの唯一の弱点は、サイバー攻撃や電子線に弱いこと。妨害電波を送れば墜落する。ドローン開発とサイバー、技術と技術の対抗戦になっていくはずです」

このまま朝まで生でいいんじゃ……


ここからは、「戦争」という映画のテーマにちなみ、今週中に参院で採決されそうな安保法案、そして「日本の危機」はどこにあるのか、に話題が移行。田原が持論を重ねていく。

「やっぱり問題は朝鮮半島。北朝鮮のあのカリアゲのお兄さん(金正恩第一書記)がオジさんを殺しちゃった。それで中国との関係性が悪くなった。今、中国の軍隊が大量に北朝鮮との国境付近に集まっている。ということは、中国は、北朝鮮で何かが起きると思っている。一番可能性が高いのは、あのカリアゲのお兄ちゃんが暗殺される、ということ。そして仮に北朝鮮で何かが起こったら、中国軍が北朝鮮に入る。そうなったら、米軍は朝鮮半島に行きますよ」

「いやぁ、どうでしょう……」と首を傾げる森本。


以降、話題はさらに「難民問題」や「朝鮮統一問題」へと 広がりを見せていく。その各話題に対して、世界の実情を語る森本と、それを遮って話題を次々と変える田原、というおなじみのやり取りが続く。

当初予定されていた45分間のトークタイムを過ぎても終わるはずもない。


「このまま朝まで生でいいんじゃないかっていう気もしますが……お時間が過ぎています!」
長谷川アナは無理矢理締めくくるしかなかった。

■映画「ドローン・オブ・ウォー」
10月1日(木)TOHOシネマズ六本木ヒルズ ほか全国ロードショー
(C)2014 CLEAR SKIES NEVADA,LLC ALL RIGHTS RESERVED/配給:ブロードメディア・スタジオ

(オグマナオト)