写真提供:マイナビニュース

写真拡大

日本政策金融公庫(日本公庫)は7月1日から、「第3回 創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」の応募受付を開始しているが、これに先立ち、4月から、希望する全国の高校に公庫職員が訪問し、ビジネスプラン作成をサポートする「出張授業」を実施している。「イマドキの高校生は、バブル期に高校時代をすごした筆者と違う感性を持っているに違いない…」。そう思った筆者は、埼玉県八潮市の同県立八潮南高校で行われた「出張授業」を見学することにした。

○若者の創業マインドの向上図る「高校生ビジネスプラン・グランプリ」

日本公庫によると、日本の年間の創業10万企業のうち、同公庫は約2万の創業企業に融資をしており、その経験・ノウハウを「起業教育」の現場に還元することや、活力ある日本を創り、地域を活性化するため、次世代を担う若者の創業マインドの向上を図りたいという想いから、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」を開催している。

「第3回 創造力、無限大∞ 高校生ビジネスプラン・グランプリ」は、全国の高校(中等教育学校後期課程を含む)の生徒からなるグループまたは個人に応募資格があり、募集内容は「若者ならではの自由な発想や創造力を活かした以下のプランとなっている。

・人々の生活や世の中の仕組みをより良いものに変えるビジネスプラン
・地域の課題や環境問題などの社会的な課題を解決するビジネスプラン

7月1日から応募受付を開始し、エントリーシート提出期限は9月18日、ビジネスプランシート提出期限は10月16日となっており、11月下旬〜12月上旬にファイナリスト(最終審査会参加者)が発表され、来年(2016年)1月10日に最終審査会が開催される予定。グランプリ、準グランプリ、審査員特別賞、高校生ビジネスプランベスト100などが、表彰対象となる。

日本公庫によると、今回はすでに、北海道から沖縄まで全国172校の高校から出張授業の申込(8月末現在)があり、出張授業の申込受付開始から5か月で昨年の実績である148校を突破している。

○「そもそもビジネスって何?」

今回取材したのは、埼玉県八潮市にある同県立八潮南高校。同校は1984年に創立され、今年が開校32年目となる。普通科・商業科・情報処理科があり、ビジネス教育に力を入れているほか、スポーツも盛んな学校だ。同校3年生の授業科目「課題研究」では、商品開発、企業研究などを行っているが、同科目を統括する手島明良教諭は、「卒業を控えた3年生は、受け身の授業だけでなく、積極的に自らチャレンジしていくべき」という想いから、生徒たちがビジネスプランを作成し、発表する場を設けてきた。昨年も大阪商業大学や龍谷大学のビジネスプランコンテストに参加。今年は日本公庫からの呼びかけに応じ、「ビジネスプラン・グランプリ」に参加することとし、「出張授業」も受けることにした。

出張授業は商業科と情報処理科に分けて行われ、それぞれ80人が「基礎編」と「基礎編(アイデア発想グループワーク)」を受講した。

9月7日に行われた「基礎編」では、日本公庫 国民生活事業 北関東信越創業支援センター 所長代理の濱田健志氏が講師を務めた。

同授業は、「そもそもビジネスって何?」という疑問を問いかけることから開始。濱田氏はまず、ビジネスのキーワードとして、「身近なところにある」「多種多様である」ことを挙げた。

その後、生徒たちに「販売場所」と「金額」を示した表を見せ、「何の商品の金額でしょうか」とクイズを出した。遊園地の売店で200円、会員制倉庫型小売チェーンで80円などとなっている商品に関して、指名された生徒からは「コーラ!」との答えがあったが、正解は「ペットボトルの緑茶」。

さらに、「特徴」と「金額」を示した表を見せ、再び「何の商品の金額でしょうか」とクイズ。インド製・最小限の機能で20万円、ドイツ製・高い安全性で1,000万円となっている商品に関しては、指名した生徒から「自動車!」との回答があり、正解となった。

また、情報機器や娯楽・芸能分野における最近のヒット商品を示した上で、それらの分野で「皆さんが生まれた頃のヒット商品は何だったでしょう?」とクイズ。娯楽・芸能分野では、答えとなった「プリント倶楽部」を知っていた生徒はわずかながらいたが、「ロングバケーション」を知っていた生徒はいなかった。

これらの例を挙げた後、濱田氏は、「ヒトが求めるものは、時代や年齢などによっても、変わると言える」と解説。さらに、ビジネス・アイデアの発想においては、「やりたいこと」「できること」だけではなく、「社会が求めていること」が条件になると話し、ビジネスプランにおいては、「誰に」「何を」提供するのかが重要であると説明した。

○「経済の理論を具体的に実感」「将来のビジネスに役立てたい」

授業後、奈良夏希さん(18)は、「親が自営業をやっているのでビジネスには興味があったが、知識はなかった。今回の授業で、販売場所や特徴によって物の金額が変わってくるのを聞いて、政治・経済の科目で習った『需要と供給で金額が決まる』という理論が実感できてよかったです。また、ビジネスプランを作成する上で必要なこともわかったので、社会人になってぜひ活かしたい」と話していた。

また、小倉恭介さん(18)は、「ビジネスがやりたくてこの高校に入ったので、授業は大変楽しかった。特に映画などのエンターテインメント業界に興味があるので、今回習った知識を活かして、将来どんなビジネスができるか、大学進学後にゆっくり考えたい」と話していた。

9月7日に「基礎編」を受けた生徒たちは、9月11日に「基礎編(アイデア発想グループワーク)」を受講。最終的にどんなビジネスプランが日本公庫に提出されるか、今から楽しみだ。

(石田哲也)