居心地が良くカウンター席のある店は、気軽に入れるから一人飲みの夜は嬉しい。そのうえ味良し、コスパ良しとあらば重宝したくなるのは必然。

今回はそんな一人飲みで使える絶品カウンターレストランをご紹介!



店内入ってすぐ、バースペースのカウンター。こちらでは小皿料理とワインを気軽に愉しみたい
ワインとアテ、二つの魅力を持つカウンター
『夜木』

恵比寿


恵比寿駅から徒歩3分、渋谷橋交差点付近にあるワインバー『夜木』。入口から続く長いバーカウンターはいつも立ち飲み客で賑わいを見せ、奥へ進むとオープンキッチンのカウンターという、2つの異なる顔を持ち訪れた客を愉しませてくれる。

料理をガッツリ愉しみたいならぜひ、奥のカウンター席へ。メニューを見るとレバームース、グラタンなどワインのアテはもちろん、仔羊や鴨ムネ肉のローストから〆のパスタまで何でも揃う。

スタッフと談話しながら好物を、続いておすすめを、なんてしていると、あっという間に夜が更けていく。



名物料理「ムール貝の白ワイン蒸し」はワインに欠かせない一品
※メニューは時期によって変動あり

グラスワインは赤、白がそれぞれ3種、デザートワイン1種が用意されており、イタリアやフランス中心のリストに日本ワインも充実している。もちろんワインだけではなく、ウイスキーやその他のお酒も用意。

おひとりさまでも入りやすいため、軽く一杯飲みたいときのために覚えておくといいだろう。

ラストオーダーは25時(但し日曜日は除く)。ジャンルにとらわれず、ワインに寄り添う料理を心行くまで堪能してほしい。




『KIKI HARAJUKU fruit de ma passion』

明治神宮前


明治通りから一本入った路地裏にある、人気のビストロ。目を奪われる彩り鮮やかな一皿と斬新な美味しさが評判を呼び、多くの女性が訪れている。

もちろん、デートにも有効。原宿という土地柄とお店の個性とのギャップで、ハートと胃袋をがっちり掴むこと間違いない。

「ガストロノミーの魅力を充分に知りながらも、実際、自分がフランスで通いたくなったのはカウンターの店だった」

そんな自身の経験を活かした店のカウンターは、アンティークや中古家具など、ひとつひとつの椅子をシェフが吟味して集めた。さながらカフェのように気軽な雰囲気の店内だが、提供される料理は本物の凄みを持つ。


次は、“見せる”ことで言葉より料理を語るカウンター



シェフとゲストの目線が合うように設計されたカウンター。80cmの高さは高級店のテーブルと同じ
“見せる”ことで言葉より料理を語る
『ロッシ』

麹町


店のオープンは2011年夏。『フェリチタ』で活躍した岡谷文雄シェフが『ロッシ』の看板を掲げて再始動した店である。

店内はどこか酒場的な、艶っぽさのある雰囲気をイメージして造られた。ゆえにカウンターは不可欠。なぜなら「コミュニケーションは重要、でも言葉は全てじゃない。カウンターは“見せる”ことで言葉より料理を語る」からだと言う。



鯵とアボカドの冷製パスタ。梨を入れたアボカドのソースは、レモンの酸味も加わり爽やか
※メニューは時期によって変動あり

かくしてクロスは無し、ダークウッドを基調とした空間の中心にカウンターを据えた『ロッシ』の骨格ができた。

ラフな空間ながら、供する料理をコース中心としたのは、一定の皿数と時間を経て感じ合える作り手と食べ手の想いがあるから。加えて全体で高いコストパフォーマンスが保てるというのが狙いだ。

ワインにも造詣が深く、「安いワインは置かない」という姿勢だ。だが値付けは極力抑え、料理に合わせたグラスのデギュスタシオンを用意するなどワイン好きを楽しませる気満々だ。



アサリとツブ貝のリゾット。バターやチーズは使わず、貝の持つ旨みと塩気で味を決める

空間は「ラフに寛いで」と語りかけるが、イコール「何でもご自由に」ではない。熟練の料理人の主張と美学でビシッと攻めてくる。

いいなあ。だってレストランはそもそも、そんな空気を感じに行く場所なのだから。



塩とアンチョビで甘みを引き出した焼き茄子のスープ。炙り松茸添え。写真は全てコースの一例



「産地より造り手」で選んだワインは約900本。レアアイテムのバックヴィンテージも豊富に揃う