トップ下で先発したミランの本田圭佑【写真:Getty Images】

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先発の本田。地元記者は戦犯扱い

 現地時間13日、セリエA第3節でミランはインテルとの“ミラノダービー”を迎え、0-1で敗れた。この試合、日本代表MF本田圭佑はトップ下で先発出場。しかし、攻撃面で活躍を見せることができず、81分で途中交代となった。ファンや地元記者は本田に厳しい目を向け、ミランの指揮官も本田の攻撃でのプレーに不満を露わにしていた。

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「今日はチームには怒っていない。残念だったのは結果だけで、チームとしてのパフォーマンスは非常に良いものだったからだ。チャンスは多く作っていたし、パーソナリティーがあった。試合後、選手たちのことは褒めた。今日のような試合を続けていれば、今後たくさんの試合で勝つことができるだろう。敗戦は妥当ではなかった」

 前節のエンポリ戦では勝利にもかかわらずチームに雷を落としたミランのシニシャ・ミハイロビッチ監督だが、ダービー後の記者会見での表情は比較的落ち着いていた。インテリスタからブーイングをされたことについても、「一番酷いのは無視されること。人から褒められるのもブーイングをされるのも嬉しい」と涼やかな様子で答えていた。

 実際彼が言う通り、チームの内容自体は悪くはなかった。後半はともかく、前半は確かに試合のペースを握っていたのは事実だ。リッカルド・モントリーボを中盤の底のレジスタに据え、守備では不安があった布陣も後半13分の失点シーン以外は大きな穴を作らなかった。

 だが地元記者は、それでも戦犯の追求をやめなかった。槍玉に上がったのは、やはり本田圭佑だ。

「トップ下の人選はあれでいいのか?」

「システム、そして中盤は正しかったのか?」

「(カルロス・)バッカを早々に交代させたのはなぜか? なぜ本田ではなかったのか?」

ファンからも厳しい評価

 実際、ファンの印象もまた悪かった。交代時にはミランサポーターが巣食う南ゴール裏は大ブーイング。中継を担当した衛星放送『スカイ・イタリア』の視聴者採点では、ワーストの「4.6」が付けられていた。

 それに対しミハイロビッチ監督は本田を残した理由を説明しつ、プレーについて言及した。評価はしながらも、物足りない部分があったことも隠さずに言っていた。

「トップ下は本田だってできる。ただそれは攻撃上の問題ではなく、守備面でのバランスを考えての選択だ。(ジャコモ・)ボナベントゥーラを左に、本田を右に置くこともできたが、チームのバランスは4-3-1-2で良かったので変える必要も感じなかった。

 バッカを交代させたのは、他の選手たちよりも出来が良くなかったから。それを判断するのは監督である私だ。そして本田は、汚れ仕事をもの凄く懸命にやってくれていた。ただ、攻撃ではもう少しやってくれても良かったと思っている」

 実際本田は、トップ下としての戦術的なタスクを懸命にこなしていた。守備では対面のフェリペ・メロにプレスをかけ、またジョフレー・コンドグビアやフレディ・グアリンがボールを持てばチェックにも行った。

 前半は特に彼が勤勉にディレイを掛けたことが守備の安定に関与していたし、サイドバックが上がったスペースのカバーにまで行っていた。失点時にカバーに行かなかったことを責めるのはさすがに酷だろう。

指揮官は攻撃面に不満。今後の結果では出場機会減も

 ただ、攻撃面ではボールを触れなかった。この日はシャドゥストライカー的にバッカやルイス・アドリアーノに当てた展開のセカンドボールを拾いに行き、裏にもたくさん走った。しかしボールを受けようとすれば、フィジカルの強い面子をずらりと揃えたインテルのボランチ陣に阻まれた。一方でスペースに流れてボールを受けても、仕掛けは消極的だった。

 後半の33分、前が塞がれた挙句にバロテッリへバックパス。仕方なく放ったバロテッリのミドルがバーを叩いた次の瞬間、ミハイロビッチ監督はベンチ前でペットボトルを蹴り飛ばし、大きくピッチの中へ放たれた。「あれが決まっていたら」と同監督は語っていたので、単純に悔しさからだったのだろう。ただその場面を見たとき、本田がチャレンジに行かなかったことを怒ったのかと想像してしまった。

 さらにミハイロビッチ監督は、『ミランチャンネル』のインタビューではこんなことも語っている。

「トップ下として、ここまで一番良かったのは確かにボナベントゥーラだった。ただ今日は(アンドレア・)ベルトラッチが故障しているので、彼を一列下げざるを得なかった。本田は守備の際にはいい仕事をしてくれたが、攻撃面ではもっとやってくれても良かった」

 つまり現状では本田にポジションはあるが、内転筋を痛めているベルトラッチが復帰してくればわからないということだ。さらにミハイロビッチ監督は、「格下相手には3トップを試そうとも思っている」と語っている。

 ミッドウィークで試合があるパレルモ、ウディネーゼ、ジェノアとの連戦のあいだで結果を出さなければ、ミランでの出場機会は大幅に狭まることになるかもしれない。

text by 神尾光臣