一昨年のパ・リーグの覇者を指揮するのは日本屈指の元クローザーか、それとも前任者が返り咲くのか――。

〈楽天・大久保監督辞任〉

8月29日、一部スポーツ紙が一面で報じた記事が球界に激震を与えた。

「大久保博元監督は同記事を受けてスポーツ紙の取材に応じ、"監督は結果が出ない場合、責任を取らないといけないと常に覚悟している。俺が責任を取って辞めるという気持ちは変わらない"と話し、最下位争いにあえぐ成績不振を理由に辞意を表明したんです」(スポーツ紙記者)

わずか1年での突然の辞任となったわけだが、その理由を「成績不振はあくまでも表向きのもの」と話すのは楽天関係者だ。

「実際は、三木谷浩史オーナーの"現場介入"に我慢の限界だったんですよ」

それが表面化したきっかけは、7月末に田代富雄1軍打撃コーチが電撃的に退団したことだった。

「チームの打撃不振の責任を取る形での退団と発表されていますが、実際のところは、三木谷オーナーの現場介入に嫌気が差したかららしいです。スポーツ紙でも報道されましたが、田代コーチは親しい関係者に、オーナーが1軍、2軍選手の入れ替えや、試合直前に携帯電話でオーダーの変更を要求してくるとボヤいていたそうです」(前同)

そういったオーナー直々の"助言"に、選手やコーチ陣の不満が募っていたという。大久保監督は、そんな現場とフロントの板挟みとなって、まともにペナントレースを戦える状態ではなかったのだ。

この現場介入問題が、"楽天次期監督"にも大きく影を落としているという。

「監督が決めたオーダーをオーナーの鶴の一声でひっくり返されてしまうような球団の監督など、誰もやりたくないでしょうからね。三木谷さんが、そういう人間と分かったうえで監督を引き受けたデーブ大久保が、就任1年でケツをまくるんですから、よほどです。後任の人事には相当、苦労するんじゃないでしょうか」(スポーツ紙デスク)

そんな"押しつけ"の人選が予想される楽天の後任監督。まず定石として考えられるのが、内部昇格案だ。

「今のところ、橋上秀樹ヘッドコーチ、酒井勉2軍コーチなどに白羽の矢が立つのではないかといわれています」(前同)

しかし、どれも実現の可能性は低いと、ベテランの野球記者は指摘する。

「まず、楽天の本拠地であるコボスタ宮城の収容人数は、12球団の中でも最少の2万8736人。ただでさえ、採算が取りにくい球場を使っているのだから、この球場を常に満員にしてくれるような、人を呼べる"ネームバリューのある監督"が必須条件です。なので、内部昇格の可能性は低いでしょうね」

そこで注目されているのが、元ヤクルトの宮本慎也氏、元巨人の桑田真澄氏、元オリックスの田口壮氏などの"ビッグネーム"だ。だが、彼らに関しても、実現度は低いとの指摘がある。

「桑田はPL学園以来のスーパースター、田口は元メジャーリーガーで、チャンピオンリングを2つも所持する実績の持ち主。一方、宮本はアテネ五輪で日本代表主将を務め、見事金メダルを獲得したキャプテンシーが高く評価される逸材で、いずれも知名度については問題ありません。しかし、将来の監督にと考えるのは楽天だけではなく、桑田は巨人、田口はオリックス、宮本はヤクルトと、古巣の監督就任の可能性がまだ消えていません」(前同)

かつての所属チームの指揮が取れる可能性があるのに、ここであえて"火中の栗"を拾って、楽天の監督になる道を彼らが選ぶことは考えられないというわけだ。

となれば、楽天の監督を引き受ける人は出てこないのでは、とさえ思ってしまうのだが、野球解説者の江本孟紀氏が、こう指摘する。

「野球界には、どうしても監督をやりたいという人はいっぱいいるんです。多少の現場介入など小さなことだと考えて、監督になりたいと熱望する人は多いはずですよ」

大魔神の監督手形がフイに!?

そこで急浮上してくるのが、大魔神こと佐々木主浩氏と、楽天SDの星野仙一氏なのだ。

「現状では、佐々木氏と星野前監督の"一騎打ち"の状況と見ていいでしょうね」(夕刊紙記者)

星野前監督は、13年に楽天を球団史上初となるリーグ優勝に導いた名将だけに、復帰を望むファンも多い。

「ただ、星野前監督の辞任の理由も、実際は、やはり三木谷オーナーの現場介入に我慢できなかったからです。当の三木谷オーナー自身は"現場とフロントの一体化"という理屈で、今後も現場への介入をやめない姿勢を明確にしており、そこがネックとなっています」(前同)

となれば、残るは佐々木氏ということになるが……。

「佐々木氏は、ご存じのように日米通算381セーブを記録した、日本を代表するクローザーで実績は申し分ないうえに、楽天が本拠地を置く仙台市の出身で、お膝元の東北高校、東北福祉大を卒業しています。しかし、過去にタレントの榎本加奈子との"不倫スキャンダル"の末の再婚や、さらに再婚後も前妻との子である長女が、週刊誌に榎本から受けた"イジメ"を告白するなど、何かとダーティーなイメージがつきまとっているのも事実です」(前同)

2人とも、後任監督への道には、障害があるようだが、いずれも再びユニフォームを着たがっているのは間違いないという。

「星野前監督は14年に体調不良で、一時グラウンドに立てない時期がありましたが、いまは完全に回復しており、本人も復帰に意欲を見せています」(同)

実際に、8月28日から行なわれていた『第27回WBSCU−18ベースボールワールドカップ』に、関東一高のオコエ瑠偉や東海大相模の小笠原慎之介らの視察に訪れており、これは来季のチーム編成を見据えての行動だという話もある。

一方の佐々木氏も、楽天監督に鼻息荒くなる"ある事情"があるという。

「佐々木は、04年にメジャーから古巣・横浜に復帰する際に、"監督手形"を用意されたと噂されており、引退後は、横浜の監督就任が既定路線と思われていたんです」(スポーツ紙横浜担当記者)

しかし、周知のように、11年に横浜ベイスターズの親会社であったTBSが、経営権をDeNAに売却することになり、"手形"は不渡りになってしまったというのだ。

「佐々木は横浜の監督がやりたくて仕方がなかったんです。でも、11年にDeNAが選定した新監督の候補にも挙がらなかったといわれています。いつかは舞い降りてくると信じて疑わなかった監督というポジションがフイになり、この際、どの球団でも、監督のオファーがあれば受けたいと息巻いている状態です。だから、もし楽天からオファーがあれば、二つ返事で引き受けることは間違いないでしょう」(前出の夕刊紙記者)

昨年、野茂英雄氏、秋山幸二氏とともに野球殿堂入りを果たすなど、佐々木氏が野球界に残した功績が大きいことは間違いない。

大魔神か、闘将か、それとも、この2人を蹴散らすダークホースが現れるのか!? 来季の楽天の指揮を執る人物は、果たして――。