IR×動画――投資家とのコミュニケーションに動画を活用するべき3つの理由

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2014年、「日本版スチュワードシップ・コード」が策定されました。これは「機関投資家が、投資先の日本企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な『目的を持った対話』(エンゲージメント)などを通じて、当該企業の企業価値の向上や持続的成長を促すことにより、顧客・受益者の中長期的な投資リターンの拡大を図る責任」を果たすことを目的としています。

このような背景もあり、企業ではこれまで以上に自身のことを投資家に深く理解してもらうための取り組みが必要になっています。財務情報はもちろんのこと、企業価値や市場の成長性、経営力、商品の優位性、生産能力、顧客ロイヤリティなど、さまざまな側面の情報を適切に発信することが求められているのです。

しかし、これらの情報すべてを従来のアニュアルレポートやスライドプレゼンテーションで表現するには限界があります。そこで取り入れたいのが、「IR用動画」です。

IR用動画の有効性

動画は文字や写真よりも圧倒的に情報量が多く、また、人が出演することで感情的なつながりを生み出すことも可能となります。メッセージの信頼性や信憑性を高める強力なコミュニケーション手段である動画はIRにおいても有効なのです。
以下にIR用動画の主なメリットを3点挙げます。

1. 投資家の心にストーリーを届ける

IR動画の大きな強みは、投資家をストーリーに引き込む力でしょう。企業内の人が動画に登場し、なぜその製品やサービスを開発したのか、企業として何を目指しているのか、などの想いを当事者の言葉で率直に語ることで、投資家たちの心にメッセージを強く印象付けられるようになります。文字情報だけよりも信頼度が大きく向上することは言うまでもありません。

▽動画イメージ ※IR用として制作されたものではありません。

Produced by LOCUS (費用レンジ:100万〜)

2. 事業への理解促進を図る

事業内容を魅力的にプレゼンする上でも、動画は文字や写真よりも秀でています。
特に、ソフトウェアなどの無形商材や、まだ市場に登場していない最先端技術の開発に取り組んでいるケースなどでは、投資家でさえもその価値を正確に理解しにくい場合があります。動画ならCGやアニメーションを使い、その商材がどのような機能を有し、どのように使われ、どれほど価値あるものかを分かりやすくプレゼンすることが可能です。
動画を見ただけでその製品やビジネスの価値を理解できるようになるため、直接対話の機会を設けることのできない投資家へのアピールとしても効果的です。

3. 海外IR対策として

海外投資家へのコミュニケーションも今後ますます重要になっていくと考えられます。言葉だけのコミュニケーションには限界がありますが、動画を介することで海外投資家の理解は大きく深まることでしょう。日本向け動画に英語字幕を付けるだけでも一定の効果が期待できます。

IR用動画の展開

IR用動画の活用シーンは、主にリアルイベント用とオンライン用の2つに大別することができます。

リアルイベント

株主総会や決算説明会、カンファレンスなどのリアルイベントでは、業績などの発表内容を間違いなく投資家に伝えることが重要となるため、企業紹介などとともに従来のスライドプレゼンテーションの内容を含めて1つの動画にまとめる事例が増えています。

▽動画イメージ

あるいは代表者や役員などが直接プレゼンを行う場合には、その内容を投資家が適切に評価できるための”お膳立てをする”という立ち位置で、必要な情報の提供や空気づくりを目的とした活用方法もあります。

▽動画イメージ ※IR用として制作されたものではありません。

Produced by LOCUS (費用レンジ:80万-100万)

IR用ウェブページへの掲載

ウェブページにIR用動画を掲載する場合は、事業内容などが一通り把握できるような包括的な内容が良いでしょう。動画内に適宜リンクを設置し、より詳細な情報が掲載されたページへと誘導することで、投資家のさらなる理解促進を図れます。

クラウドベースのアプリケーションを提供する米Workiva社は、IR用ページのトップに動画を配置し、実写とアニメーションを上手に使い分けながら、サービス概要やその価値、CEOをはじめとする従業員のインタビュー、売上や効果に関するデータ解説、顧客へのインタビューなど、投資家やアナリストにとって価値ある情報を4分ほどの動画に端的にまとめています。

動画はコチラ:https://investor.workiva.com/investors/overview/default.aspx

忙しい投資家たちも、このような動画があれば、ウェブサイト内に点在する必要な情報を自分で掘り起こすことなく簡単に手に入れることができます。
また、投資家へのEメールに動画へのリンクを貼るといった展開も可能になります。

3つのコンテンツアイデア

最後に、IR用動画として有効なコンテンツアイデアを3つご紹介しましょう。

役員/社員紹介

株主総会やカンファレンスに出席できない役員メンバーのほか、日々顧客と接している現場スタッフの紹介として動画を活用してみましょう。

投資家の中には、「人」を見てその企業を評価する人も多く、優秀な人材が揃っていることを動画を通して伝えることで、安心感を与えることができます。

▽動画イメージ ※IR用として制作されたものではありません。

Produced by LOCUS (費用レンジ:50万-80万)

バーチャル見学会

投資家にとって、現場のリアルな姿は投資判断における有用な情報です。企業によっては投資家を対象とした見学会などを開催していますが、IR用動画を使えば、本社だけでなく全国に点在する工場や倉庫、研究所などの様子も具に伝えることができます。

加えて、実際に現場で働く従業員やマネージャーの生の声を映し出すことも、メッセージの強化に非常に有効です。

顧客の声

企業の顧客や商品ユーザーによるテスティモニアル動画商品に対するユーザーや識者の推奨コメントをまとめた動画も有効です。動画に出演したいと思う顧客やユーザーの意思こそが、その企業の価値を表しているからです。ただし、過度な演出では信用性が下がるので配慮が必要です。

米TimkenSteel社もIRページに顧客からのフィードバック動画を複数掲載することで、顧客との良好な関係性を築こうとする同社の企業姿勢を投資家に印象づけることに成功しています。また顧客の声を通して企業のミッションや目的、方向性などが語られることで、投資家の理解促進にも役立っています。

画像参照元:http://investors.timkensteel.com/invest-in-us/videos/default.aspx

重要性高まる投資家とのコミュニケーション

日本IR協議会による2015年度「IR活動の実態調査」によれば、企業が挙げたIR活動の目標の上位2つが「株主・投資家との信頼関係の構築」と「企業・事業内容の理解促進」でした。

▼優先する IR 活動の目標(n=946、単位:ポイント)

また近年増えている統合報告書に関する質問でも、「投資家・アナリストに自社の企業価値の理解を深めてもらうため」(88.5%)、「幅広いステークホルダーに自社の存在価値を理解してもらうため」(86.5%)が上位を占めており、企業理解の促進に注力しようという企業の方針が見えてきます。

▼統合報告書を作成する理由(n=96、単位:%)

近年は、株主総会や決算説明会の様子を動画に収め、ウェブサイトなどで配信するケースも増えてきましたが、投資家の理解促進を図るには、今回ご紹介したようなIR用動画が非常に有効です。

企業の説明責任を果たすという意味でも重要度が増しているIR活動に、動画の導入を検討してみてはいかがでしょうか。