清武弘嗣【写真:Getty Images】

写真拡大 (全2枚)

力の差が浮き彫りとなった2-4

 ブンデスリーガ第4節、ドルトムントはアウェイでハノーファーと対戦して2-4と勝利。清武弘嗣はドルトムントの強さを認め、「魔法のパス」で決勝点を生み出した香川真司はチームに流れる「自信と勢い」を語った。

ーーーーー

 清武弘嗣の一言が、全てを物語った。

「強かったです」

 2015年9月12日、ボルシア・ドルトムントは改めてその強さを証明した。再開したブンデスリーガの第4節、ハノーファー戦でのことだ。

 清武は言う。

「力の差はすごいあったかなと思います」

 ドルトムントに対してハノーファーは無策ではなかった。4バック+3ボランチ、その前の清武とアンドレアセンは、ギュンドアンと香川真司をマークしようとする。香川は「僕たちにハメてきた」と感じた。酒井宏樹は「ハマってました」と手応えを感じた。

 守備を固めて、“新10番”を中心にカウンターを仕掛けてくる。敵陣でポゼッションを高めるドルトムントの後ろには、広いスペースが生まれる。「力の差」を考えたハノーファーが、しっかりとした守りから素早くスペースを突こうとするのは、自然な流れとも言えた。

 試合後に酒井は「キヨ君が入ってゲームを作れる選手がいたので、1本で点が入るってありえる」と述べている。

ターニングポイントとなったドルトムントの同点PK

 5分に、ツィーラーのフィードから、清武、裏に抜けるソビエフと早く繋いだ形は、18分に実ることになる。中央で清武がキープして、右サイドを走るアンドレアセンに絶妙のスルーパスを送る。アンドレアセンの折り返しを、ソビエフが決める。ハノーファーに先制を許す。0-1。

 酒井は「理想的な試合運び」と振り返ったが、同時にこうも前置きした。

「1点取るまでは」

 ドルトムントに「焦り」はなかった。先制点を献上した後で、一見攻めあぐねているようでもあったが、香川は「本当に落ち着いてやれていた」と振り返る。

「そう簡単に前半はゴールは生まれないのかなっていう気配はありましたけど、その中でも流動的にパスが回ってチャンスになっていた」

 そして33分に、絶好の「チャンス」が訪れる。右サイドのギンターからのボールを受けようとしたホフマンが、トレヴィザンに後ろから倒されるような形でPKを獲得する。オーバメヤンが決める。1-1。

 ドルトムントの幸運=ハノーファーの不運だった。

「不運なPKだったし、ああいうので流れもっていかれちゃう」

ブレることなくスタイルを貫く自信

 清武が振り返るように、「流れ」はドルトムントに傾いていく。対照的に香川は「また自信と勢いが付いた」と感じたが、このPKこそが、ハノーファー対ドルトムントのターニングポイントだったのかもしれない。

 44分、ギンターの右サイドからの折り返しを、ムヒタリヤンがダイレクトで叩き込んだ。2-1。

 52分にはハノーファーが再びソビエフのゴールで追いついたが、ドルトムントの「自信」は揺らがない。2-2。

 66分。香川から、右サイドの奥、ギンターへ。ギンターが折り返す。トレヴィザンのオウンゴールを誘う。3-2。香川がギンターに送ったボールを、有料衛星放送Skyは「魔法のパス」と評した。

「チームとしてもやるサッカーは明確であったので、本当に落ち着いてやれていたと思います」

 ドルトムントはスタイルを貫き続けた。ブレることはない。

 84分。香川の左からのクロスに、トレヴィザンがハンドを犯す。PKをオーバメヤンは、ど真ん中にチップキックでふわりと決めた。4-2。あまりに落ち着いたキックを、有料衛星Skyは「冷徹」と評した。

 ドルトムントに対して、ハノーファーは好ファイトを演じた。それは間違いない。監督フロンチェックは「我々は全てを捧げた」と振り返った。しかしハノーファーの抵抗を、ドルトムントは力で押し切った。

 ドルトムントが改めて強さを示した、ハノーファー戦だった。

text by 本田千尋