野球的複雑な検討の結果、三塁打でいいと思います!

たとえばサッカーの場合。あのワクにボールが入ったら1点です。入ったか入ってないかというのは、ゴールラインをボールが完全に越えたか越えないかというところで決まります。とにかくそこさえ越えてしまえば、ポストに当たろうが、相手選手に当たろうが、GKが抱えたままだろうが1点です。

しかるに野球。野球のホームランというのは、外野スタンドに飛び込んだら1〜4点という似たような感じですが、細かく考え出すと「飛び込んだら1点」という単純なものではありません。公認野球規則にあるホームランを定義する7.05a条項によれば、ホームランとは下記のようなものです。

【7・05】
次の場合、各走者(打者走者を含む)は、アウトにされる恐れなく進塁することができる。
(a)本塁が与えられ得点が記録される場合:フェアボールがインフライトの状態でプレイングフィールドの外へ出て、しかも、各走者が正規に各塁に触れた場合。またフェアボールがインフライトの状態で、明らかにプレイングフィールドの外へ出ただろうと審判員が判断したとき、野手がグラブ、帽子、その他ユニフォームの一部を投げつけて、その進路を変えた場合。

これは「飛び込んだら1点」という定義ではなく、さまざまなプレー続行が困難な状況…たとえば悪送球で客席にボールを投げ込んでしまったとか、金網にボールが挟まって取れなくなったとか、そういう「ボールデッド」の状況のひとつである「外野スタンドにボールが入った」というケースに関する決め事です。

この定義は「フェアボール」が「インフライトの状態」で「プレイングフィールドの外に出た」、という細かく見ていくとさらにめんどくさいウンタラカンタラの状況に至ったとき、走者と打者走者に本塁まで安全に進塁する権利を与えているだけにすぎません。安全に進塁できる権利があるだけで、得点が決まったわけではないのです。

よって、定義の文中にもあるように、「各走者が正規に各塁に触れた場合」じゃないときなどは得点になりません。よくあるのが、ホームランを打った打者走者が勢いあまって前の走者を追い越してしまうパターン(※追い越しはアウトになる)。そのほかにも本来走るべきラインから大きく外れて走ったとか、ベースを踏まなかったとか、野球にはたくさんのアウトになる状況があり、それらを何ひとつ犯すことなく本塁まで戻ってきて、ようやく得点が認められる。決してスタンドに打ち込んだら点が入ることが確定するわけでは、ない。

め、め、めんどくせぇ!

お、お、おもしれぇ!

「パカーンと打ったらドーンとスタンドに飛び込んだ」というバカ景気いい状況についてだけでも、掘っても掘ってもウンタラカンタラが出てくるこの野球感。このウンタラカンタラを掘っていく時間というのは、野球を見るたまらない喜びのひとつでもあります。さぁ、このウンタラカンタラの気持ちで、「どう見てもホームランの打球がホームランじゃないと言われた」という状況を見ていきましょう。そこには長くてめんどくさいウンタラカンタラがあるのです…。

ということで、新しい形での「幻のホームラン」誕生となった、12日の広島VS阪神戦での田中広輔選手の打球を見ていきましょう。

◆たかが球投げ棒打ちを、大の大人が集まってウンタラカンタラ!

CS出場権を狙って追い上げる広島と、熾烈な優勝争いの最中にある阪神。どちらも負けられない一戦の延長12回表に、それは起きます。一死走者ナシ、打席には広島・田中広輔。カウント2-2から大きく飛ばした打球は、フェンスオーバーギリギリのところに飛んでいきます。入れば大きな1点につながる大飛球。これは両球団の今シーズンの最終順位にも影響を与えかねない、大きな打球でした。

↓しかし、その大飛球は面倒事を引き起こす!


ホームランか!?

ホームランじゃないのか!?

さぁ、ルールのお勉強の時間だぁ!

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打球はスタンドに飛び込んだようでもあり、飛び込んでないようでもある。とにかく、大きく何らかのモノに当たって跳ねて、プレイングフィールド内にボールが戻ってきました。とりあえず打者走者は三塁まで到達しますが微妙な表情。

この際、審判団は誰もホームランのジェスチャー(手を回す)をしていません。どうやらホームランではないという判断の模様。一方で、広島ベンチでは選手たちが「ホームランだろ」というジェスチャーを見せ、抗議の意を示しています。そして、緒方監督も指を回しながら登場し、正式に抗議を行ないます。

本来なら、審判の判定に抗議しても覆ることはないのですが、プロ野球では2010年からホームランの判定に限ってビデオ判定の仕組みを導入しています。つまり、緒方監督はただ文句を言いにいったわけではなく、いわゆるチャレンジをしにいったということになります。そこで審判団はビデオ判定をすることとし、映像でこのプレーを再確認することになります。

ボールは一体どこに当たって跳ねかえってきたのか。ここでまためんどうくさいウンタラカンタラの検討があります。飛び込んだエリアからして、ファールかどうかというところは無関係ですのでそれは一旦置きますが、「インフライトの状態でプレイングフィールドの外へ出た」かどうかは改めて見る必要があります。具体的には何かに当たったか、スタンドに入ったか、というところ。

たとえば、フェンスなどに当たった場合。いわゆるフェンスの「壁」部分に当たって跳ね返ってきた場合は、もちろんそれは通常のインプレーです。しかし、外野手に当たっていた場合は、普通に当たってトスする形でスタンドに入っていれば2個の安全進塁権いわゆるエンタイトルツーベースとなりますが、グラブなどを投げつけて入った場合はホームランとなります。どのような状態で、どこに入ったかをしっかり見ないと、ホームランかどうかも言えないポイズンなのです。

↓改めて映像を見て確認していくぞ!


野手には当たってない!

外れたグラブには当たってない!

フェンスは越えたように見える!

が、客席には到達せず、何かに当たって跳ねかえっているように見える!

で、今回の一件は一体どこにボールが当たったのか。ビデオではよくわからないものをハッキリととらえた写真が出てきました。ビデオで見るとよくわからないけど、写真で見たらハッキリわかったという、ビデオ判定の存在意義ごと揺るがしかねないその写真によると…

↓ボールはフェンスの向こう側にある防球ネットに当たって跳ね返っている!

タイガーマスクのことしか目に入らない写真だけれど、ボールも写っている!

確かにコレは金網の向こう側だ!

↓コレかwwwwヘンなものつけてることで起きた奇跡の跳ね返りwwww

甲子園の魔物が阪神を救っとるやないかwwww

こんなとこにこんなものがあると知らなければ、こんな跳ね返り予想できんわwwww

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ようやくプレーの実態が見えました。ボールはフェンスを超えて裏側の防球ネットに当たり、跳ね返ってきた。野手には当たっておらず、投げたグラブにも当たっていない。これはホームランっぽい。ただ、映像では実況のアナがフェンスに当たって入ったらエンタイトルツーベースではないかと執拗に申し述べています。これもまた一概には言えない問題で、確かにフェンスに当たって入ったらどうするかは検討する必要があります。

結論から言うと「フェンスの頂上に当たって入ったらホームランとするけれど、フェンスの途中に当たって入ったらエンタイトルとする、ということに日本野球ではする」ということになります。これはルールというよりは決めの問題。本当なら「フェンスに当たろうが何だろうがスタンドインしたならホームランだろうが」と能天気な運用にしたいところですが、過去実際に「フェンスの途中に当たってスタンドに入った」ケースがあったもので、「フェンスの頂上」などということを言い出す必要が出てきたのです。

↓コチラのケースでは「フェンスの途中に当たってスタンドイン」した打球をホームランとするか、エンタイトルとするかで騒然!


東邦生命の上あたりで跳ねた打球が、フェンスを越えてスタンドインした!

こんなケースがあるんじゃ「当たりどころ」によって判定を変えざるを得ない!

やる気になれば「フェンスの頂上とは何ぞや」という問題(※たとえば手すりがあったらどうするか/防球ネットがフェンスより上方に伸びていたらどうするのか)であるとか、「フェンスの頂上にボールが静止したらどうするか」という問題(※フェンス頂上はインプレーなのかボールデッドなのか)など、掘らなくてはいけない案件はまだまだあります。こうした案件をさまざま掘って、ようやくアレがホームランかどうかということが言える。野球とはかくも面倒臭いものなのです。

こんなに面倒臭いなら、もういいような気がしてきませんか。入ったか入らないかだけでなく、いろいろあったのです。まとめると「見間違えました。てへぺろ」になってしまうのですが、見るべきところがたくさんあり、残念ながら肝心なところが見づらかったのです。ボールも戻ってきたんだし、面倒臭いし、広島が勝とうが阪神が勝とうがどうでもいいし、ここはひとつ水に流そうじゃないですか。

そもそも、ボールが戻ってこないとき用に「戻ってこないときは本塁までの安全進塁権あげるね」と決めていたのですから、戻ってきたんだからインプレーでいいじゃないですか。戻ってきたんだから。本塁まで走ってこれなかったから、打った田中広輔もサードで止まってたんでしょう。アレはホームランとは認定できない。戻ってきたんだから。悪いのはあんなモノをつけた甲子園であり、見間違えた審判団ではない。長い検討と確認の結果、僕は「アレは三塁打でOK」と思い至った次第です。広島ファンの皆様に置かれましては「戻ってきた」という事態を重く受け止め諦めていただきたい、そのようにお願いするものであります。

↓悪いのはコイツです!文句はコイツに言ってください!


ラッキーゾーンなくなったと思ったら、まだこんなのがあったかwww

ちっちゃいギャンブル要素みたいなの入れてくるな阪神はwwww

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これがいわゆる「セーフティネット」というヤツなんですかね!(ドヤァ)