左・自由民主党公式サイトより/右・櫻井よしこオフィシャルサイトより

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 大雨による洪水・土砂崩れ災害が起こり、いまだ孤立し救助を待つ人びとや不明者も多数のなか、今夜、日本の総理大臣・安倍晋三は何をしていたか、みなさんはご存じだろうか。

 安倍首相は今晩21時から放送された、インターネットテレビ「言論テレビ」に生出演。その番組タイトルは、『「戦後70年安保法制」スペシャル 安倍首相生出演! 歴史的使命を完うする覚悟と戦略』。そう、完全に安倍首相を手放しで絶賛&応援する番組に、呑気に出演していたのである。

「歴史的使命を完うする覚悟と戦略」の前に、いまはまずやるべきことが目の前にあるだろ!と言わずにおれないが、安倍首相は先日の『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)に引き続き、自分をヨイショしてくれるメディアに癒やされに行っていたのだ。

 その上、司会を務めたのは、今年8月6日の原爆投下日にわざわざ広島で「反核平和70年の失敗」(主催は日本会議広島)というイベントに講師として登壇した極右の女神・櫻井よしこ。ゲストは日本会議の会長・田久保忠衛という、安倍首相にとっては最高の布陣。......この人は、どうやらほんとうに自分を持ち上げてくれるメディアにしか出ないと本気で決めたらしい。

 しかも、今回出演した「言論テレビ」は、櫻井が取締役会長を務める会社。櫻井といえば、ヘイトスピーチにまみれた「日本文化チャンネル桜」の常連組だったが、2012年はじめに「チャンネル桜」の水島聡社長と袂を分かち、同年10月に自らこの「言論テレビ」を立ち上げた。いわば、「チャンネル桜」の分家のような存在だ。

 それはコンテンツを見れば一目瞭然。シリーズで行っている企画は「この憲法でいいのか!?」「中国に立ち向かう覚悟」「事実と歴史を歪めた朝日新聞」「原発と日本再生」、番組ゲストも百田尚樹に竹田恒泰、金美齢、青山繁晴などネトウヨ支持率の高い論客揃いで、政治家も「ヒゲ」こと佐藤正久、高市早苗、稲田朋美、萩生田光一など安倍チルドレンが多数出演。ちなみに、安倍首相の生出演が終わったあとに始まったのは、「WiLL」(ワック)編集長・花田紀凱による「WiLL場外論戦 花田編集長の右向け右!」。ゲストは、『なぜ中国人はこんなに残酷になれるのか』『なぜ中国から離れると日本はうまくいくのか』などのヘイト本で知られる石平だった。

 どうしてこんな極右しか見ないであろう番組に出ることが、「国民に広く説明する」ことになるのか。むしろ「わかるヤツにだけわかればいい」という開き直りではないか。だいたい、いま、取り組むべきは安保法制の説明ではない。この夜も、生命の危険にさらされながら孤立している人びとがいて、行方不明のままの人たちがたくさんいる。「ほかの担当者がやっているから安倍首相には関係ない」と擁護する者もいるが、そんな訳がない。この夜に、自分を応援してくれる"偏向報道"のインターネットテレビに生出演することが、一国の首相の「仕事」だというのか? 不安のなかで過ごす人びとがいるのに、それを無視し、国民の感情を逆撫でするのが、この人の仕事なのか?

 ずっと安倍首相のメディア出演を追い、批判してきた本サイトだが、さすがにここまでくると呆れて脱力するばかり。これがファシズム政権のなれの果ての光景というものなのだろうか。
(編集部)