あまりにも高額な建設費用から、設計案が変更となった新国立競技場。正式発表されながらも白紙撤回となった五輪エンブレム。2020年の東京オリンピック開催へ向けて前途多難な日々が続いています。その新国立競技場をめぐって随分とメディアを賑わせたのがイギリス在住の女性建築家、ザハ・ハディド氏でした。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンは、バックパッカーとなって未訪問国を周っています。何とかアゼルバイジャンを旅することができたのですが、そこにザハ氏が設計を手がけた建築物がありました。幻となった新国立競技場も完成していたら、こんな風だったのかもしれません。

◆アゼルバイジャン

隣国であるグルジアのトビリシでビザを申請し、夜行列車を使って、アゼルバイジャンの首都バクーに行ってきました。日本では聞き慣れない国ですが、カスピ海の西岸に位置し、グルジア、アルメニア、イランと国境を接した国です。街でみかける言葉は、トルコ語にそっくり。見た目もトルコ人と変わりません。ただし、旧ソ連の支配下にあったので、ロシア語も通用します。ケバブもハマムも、ピロシキもウォッカもあって、トルコとロシアが入り組んでいた国でした。

イスラム圏っぽい雰囲気を出していた中央駅前。



「フレームタワーズ」と呼ばれる炎をイメージした3本のビルディング。



カスピ海岸の公園から見える高層ビル群。



◆ヘイダル・アリエフ・センター

アゼルバイジャンはカスピ海に油田を擁する産油国。空前のオイルマネーで好景気に沸く首都バクーには、いくつもの奇抜な大型建築物が造られています。その一つにザハ氏が設計した「ヘイダル・アリエフ・センター」がありました。前大統領の名前が掲げられた、ミュージアム、コンサート会場、エキシビションホールなどが入った総合文化施設です。

ヘイダル・アリエフ・センターはここ。

短い滞在だったので、公共交通機関の利用も面倒で、泊まっていた場所から、散歩がてら歩いて訪問。今までに見たこともない、奇妙な形をした建築物が、視界に飛び込んでくると、思わず驚きの声がこぼれます。

浜辺に落ちた貝殻のような建物外観。



芝生には、かたつむりのオブジェが飾られています。ウサギもあります。



センターの手前で、不思議な建物を発見。



中には大きなディスプレイがあって、現在行われているミラノ万博の現地会場(アゼルバイジャン館)をリアルタイムで観察できるようになっていました。



階段を上って、建物へと向かいます。



幾つものフォークが突き刺さるオブジェ。



こちらのオブジェには、たくさんの蝶々が舞っていました。



階段の踊り場には、人工の滝が作られています。



上から眺めると、大きな川が流れているようでした。8月末の暑い日だったので、こうした水場は、清々しい気持ちにしてくれます



建物の正面に到着。遠くから見つけた時の形から、だいぶ変わってしまいました。



全面ガラス張り。



ひさしにも似た謎のスペース。



どこに居るかによって、センターは、いくつもの表情を見せてくれます。同じ顔なんて一つもありません。白いパネルか窓ガラスかの2つしかないシンプルな外観。爽やかな真っ白の建物は、澄み切った青い空に浮かび上がる雲のようでした。無駄のない洗練されたデザイン。夢の様な世界が広がっています。

建物の横に周ると、こりゃまた奇妙な姿に。



背後に周ってみたら、宇宙都市とかにありそうな、近未来的な形となりました。奥のくびれている箇所が、特殊な形状をなおさら印象づけてくれます。



曲線的なデザインが創りだす、不思議な世界。



真っ白な砂丘にでも、迷い込んだかのように。



こんな建物見たことありません。



センターの地下には、駐車スペースも作られています。



贅沢な土地の使い方が羨ましくみえた、広大な緑の芝生。



文化施設なら、これくらい特異な形でもいいのでは?



◆建物の内部はこんな感じに

歩いて建物に向かいながらも、グルジアから続くお腹の緩さから、猛烈な便意におそわれ、ともかくトイレを目指したので、よく分からなかったのですが、チケットを買って中に入りました。チケット無しで入館できるのかは不明。手に入れたのは、アゼルバイジャンの文化を紹介する展示場の入場券でしたが、館内には、他のチケットがないと入れないエリアがあり。カメラでの撮影は厳禁のようで、荷物をロッカーに預けます。そうは言いながらも、館内ではみなさまスマホをパシャパシャ……。セキュリティの人に確認したところ「スマホだったら大丈夫」というので、廉価スマホの低スペックカメラながらも、内部の写真を撮ってきました。

天井の高い大きな空間を持ったロビー。



ガラス張りの壁は、建物内に十分な光を取り込みます。全体に使われている白の色は、十分に明るい建物内を、なおさら明るくしていました。



白い天井を照らすレーザービームのような照明。



建物内には、落ち着いた雰囲気のカフェも営業しています。



大きく弧を描いた曲線の構造も、全体を通すとバランスが取れてるように見えました。



2階へと上がる緩やかな階段。歩きづらいというレポートもありましたが、不便な場所を歩かないように、スーツケースのオブジェが置かれていました。また別の場所には、通常のステップ幅の階段もあったりします。



2階から眺めたロビーは、開放的な空間をより大きく見せてくれました。



これほど大きな建物内に、幾つものフロアを持つビルのような場所もあって、作業に必要なスペースも十分に整っています。



2階から見る建物の正面。



こちらの方向からも、緩やかな階段が作られていまいた。



このようにヘイダル・アリエフ・センターは、外からも中からも、引き込まれるような魅力が詰まった建物でした。

残念なことに、新国立競技場のザハ案は変更という決断。ただザハ氏としても、デザインや工事費、設計概要など語ったプレゼンテーションムービーを一般に公開しており、外観だけでなく機能性にもこだわった内容は、一度くらいは目を通す価値があります。また、再び行われるコンペに再参加する意向を示していますので、ザハ氏と新国立競技場の行方は今後も目を離すことができません。

それにしても、予想外の建築物には、建築に興味のない私ですら感動しました。ギリギリの日程だったのですが、ザハ氏設計の建築物をこの目で見ることができてよかったです。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン

自転車世界一周取材中 http://shuutak.com

Twitter @shuutak)