朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)9月10日(木)放送。第24週「女たちのジレンマムース」第142話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:西村武五郎


142話は、こんな話


希(土屋太鳳)はもう一度、干涸びてしまった五感を取り戻そうと、コンクールに応募することにする。いろいろ試作するが8年のブランクは大きく思うようにいかない。とうとう子供に当たってしまい、育児と仕事の両立の厳しさを痛感する。

今日の、つっこ「まれ」


142話もツッコミどころ満載です。たぶん、制作陣はツッコミどころをいかに作るか、ギャグ以上に日々頭を悩ませていると思うので、おつかれさまです!たくさんつっこめて楽しいです! とねぎらいたいほどです。

希は、育児と仕事の両方は無理なんじゃないかと、とうとう追いつめられます。
マキ(中川翔子)の過去話を盛り込むことで、二兎追うものは一兎も得ずの教訓話が展開していきます。
しかしながら、なぜ、今更・・・とつっこ「まれ」!
希は、女将とパティシエと妻と母という実にたくさんのことをこの8年間すべてやりこなしてきたツワモノですぜ。どういうふうにそれをやってきたかまったく描かれていないのでうっかりしてしまうところですが、かなりすごいはずなのですよ。しかも子供は双子です。
仮にケーキづくり1本だとしても、8年の間に、たくさん美味しそうなオリジナルケーキを編み出しているように描かれています。にもかかわらず、五感が干涸びているとは。ケーキの食べ歩きとか全然しないで、思い浮かんだケーキをつくって売っていたのでしょうか。そこは、昔ながらの希ちゃんの根拠なき自信家の面が大いに発揮されていたのでしょうか。
つっこ「まれ」がおっぱいです。あ、いっぱいです。
陶子の言う「干涸びる」は、精神のことであって、食感などではないのだけれど、そこすら誤解している希はやっぱり干涸びているんでしょうね。

こうなってくると、希ちゃんは世の中の女どころでない人間の敵ですなあ。こんなヒロインを描くとは、とことん朝ドラ革命です。
勤勉な人間によって平和と幸福が築かれてきた世界が、勤勉さをなぜかある瞬間から失ってしまった人間の、欲望だけが先走った行動によって陥落してしまった悲劇がドラマになったのです。重ッ。
「まれ」は142話かけてものすごくおそろしいデストピア化する世界を描いていたことに気づいた今朝、オープニングで希があんなに楽しそうにたくさんの人たちの笑顔を背負って動き回っている映像と、本編のギャップの大きさに戦慄を覚えました。
人間の堕落の象徴と化した希は、ここから真人間に戻ることができるのか。あと10数話しかないのに。きっと大丈夫。短期間で一気に挽回は「まれ」の得意技ですから。そこは信頼しています。

今日の、勝手に惜しい


とうとう明かされたマキの過去話。
当時つきあっていた男は、俳優を諦めてマキにプロポーズ。でも、男の実家に連れていかれる途中、マキは逃げてしまったという話。
何かを諦めたとき結婚しようとする男の弱さとかずるさ。
そんな男から逃げ、もう一度夢にトライすることもせず、地方都市で美容に関する仕事をしながら短い恋に生き続けることを選んだものの、20年近く居座り続ける東京(人生の野望)へのトラウマ。
う〜ん、こっちのドラマを夜の時間帯でやっていただきたい。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))