中川家が笑い飯が千鳥が本気だ。芸人たちのガチサバイバル番組「笑けずり」が凄い

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何も知らされずに集められた若手漫才師9組。ここは本栖湖畔のペンション『笑けずり』。1番つまらないやつから1組ずつ、けずられる。

NHK BSプレミアムで毎週金曜22時から放送されている『爆笑ファクトリーハウス 笑けずり』。「サバイバー」形式のリアリティショー、お笑い芸人バージョンだ。

事前のオーディションには250組が参加。激戦を勝ち抜いた精鋭9組……だけど、テレビ的には全く無名。富士山のふもとで共同生活を始めた彼らのところに、毎回先輩芸人が訪れて漫才の講義を行う。講師陣は中川家・笑い飯・千鳥・バイきんぐ・サンドウィッチマン。いずれもM-1王者をはじめとした実力派たちである。



受講後、若手たちは制限時間内に課題に沿った新ネタを作る。最後に先輩を含む審査員たちの前で新ネタを披露し、1番「面白くない」組は強制退去になる。
1組、また1組と去っていく若手たち。8月14日の開始から既に4回の放送が終了し、4組の若手が退去した。

この間に講義に訪れた先輩芸人は中川家・笑い飯・千鳥。
若手たちの苦悩もさることながら、毎回講義の内容が熱いのだ。
彼らの講義には、自分たちが大切にしている「漫才」の形がギュッと詰まっている。

中川家:漫才は庶民のもの


事前に「夏をテーマにした漫才」を課題に出した中川家。
講義では若手にネタを披露させるも、開始30秒ほどで次々と打ち切っていく。理由がわからず、困惑する若手たち。

実はこの講義の本当のテーマは「つかみ」。お手本VTRに大助花子、新宿カウボーイ、夢路いとし喜味こいしを取り上げて、いかに早く笑わせるかを解く。関係性やキャラクターを早く見せて、やりやすい状況を作っていくのが大事。

講義の締め。礼二が「これだけお願いあんねんけど」と切り出す。

礼二「これだけお願いあんねんけど、うまいこと言おうとせんといてね。オチが決まったみたいな。そんなんじゃないの見てる方も。漫才って。もうお気楽なものなの」
剛「ホントはね」
礼二「庶民のもの。お気楽なものなんですよ」

自分たち自身も、以前は「うまいことやらな」と考えていた。試行錯誤するなかで、うまくいったパターンがM-1グランプリ第1回で優勝したネタ。台本もなく、きっちりネタ合わせもせず、「ただただじゃれ合ってたネタ」(剛)ネタだった。

この後、若手のネタ審査でも礼二は「漫才って、普通の会話やってことを基本に考えてやったほうがいいと思う」と指摘をする。肩の力を抜く。自然に話す。お気楽に楽しんでもらうためには、自分たちもお気楽に構える。

笑い飯:階段2歩降りても余裕


哲夫「人間の頭に鳥の頭がついてる鳥人が来るってネタ、お前らに発想できんのかという話ですね」

笑い飯の講義のテーマは「発想力」。西田の「逆の言葉遊び」、哲夫の「腹筋ツッコミ」というオリジナルゲームを通して、いかに発想を飛ばし、派生させるかを伝える。

元々は別のコンビのボケ同士だった笑い飯。結成時はダダ滑りしていた。若手からの「客にどこまで歩み寄ったのか?これ以上はダメだという線はなにか?」という質問に、哲夫は「階段」の話を始める。

哲夫「自分が10段くらいの階段昇ってるとして、僕の感覚では2歩降りたんですね。降りてしもたら世間と同じようになってまうんちゃうかか思ったんですけど、独特すぎて何にも一緒やなかったんですよ。だからね、10段のうち2歩くらい降りても余裕やと思います。」
西田「媚びてねじ曲げたというよりは、親切にしたという感じですかね」

飛び抜けた発想であれば、たとえ親切にしても飛び抜けたまま。笑い飯の高いジャンプ力を感じさせる。

千鳥:間違いないのは、仲いいほうがいい


事前に与えられた課題は「いつもよりツッコミが生きている漫才」。
若手たちは、ツッコミをキツくしたり、オリジナリティを加えたり、前面に押し出したネタを作り始める。
しかし、千鳥が思うツッコミはそうではない。
千鳥はネタを書かない。設定ができたら勝手にやりだす。稽古のたびにボケ・ツッコミを面白がりながら回す。

ノブ「毎回初見みたいな感じで聞けるのよ。ホンマに腹たってるのよ漫才中も。なんでこんなお客さんの前で変なことばっかり言うねんて」
大悟「だからノブはあんまり同じこと言わんというか、そんときの感じだけでツッコんでるというか」

ツッコミに悩む若手には「よおボケてくれる変な人と一緒におるんがええかもよ」「イジられ役な感じで」とアドバイス。オリジナリティ云々ではなく、いかにツッコミに感情を乗せるかだ。
講義の締めは、コンビ仲について。

大悟「僕もノブもですけど、自分らが楽しんでないと漫才はお客さんには伝わらないと思ってる」
ノブ「間違いないのは、仲いいほうがいい。これだけは間違いないんちゃうかなって。俺は16年やってきて、いろんな人見て、あのコンビ仲悪いから売れたよないうコンビは1組もいなくて。2人で漫才中目見ながら、笑いながら漫才するのが一番、見てる人も楽しくなるんちゃうかなって思うんで。コンビ仲良く頑張ってください」

共同生活を始めたころは、ネタもコンビも荒削りだった若手たち。
衝突して和解し、追い詰められて覚醒し、ネタ披露ギリギリまで悩み苦しむ。
回を重ね、課題を乗り越えることで、目に見えて成長しているのがわかる。
5組にまで減らされ、もう次は誰が退去になるのか、全く予想ができない。

今夜の『笑けずり』は5回目。講師はバイきんぐ。講師陣の中で唯一の「コント師」。どんな講義を見せるのだろう。


同じリアリティショーではNetflixの『テラスハウス』が話題だけど、『笑けずり』でも山ちゃんにコメント入れてほしいなぁ。
(井上マサキ/イラスト・小西りえこ)