健康状態が良く、十分な収入があり、しかも学歴が高く社会活動にも積極的──という「勝ち組」は、有害レベルの飲酒にはまるリスクが高い、という研究結果が英国から報告された。

 本研究は英国(イングランド)在住の50歳以上の男女について、有害な飲酒に向かわせる社会経済的要因を検討した二つの調査データを解析したもの。延べ9200人以上が対象となった。

 飲酒内容はビール1パイント(約568ミリリットル)もしくはワイン175ミリリットルを2単位とし、男性は週に22〜50単位、女性は週15〜35単位の飲酒で有害飲酒のリスクが「増加」、男性週50単位以上、女性週35単位以上で「高リスク」としている。

 追跡結果をみると、男性の有害飲酒リスクは60代前半をピークに、つまりリタイア後に減少。一方、女性は加齢とともにリスクが減少する半面、男性とは逆にリタイアが有害飲酒リスク増のきっかけになる傾向が示された。

 また女性では、うつ病や孤独感と飲酒リスクとの関連は認められなかったのに対し、男性は独身あるいは離婚などで一人暮らしであると、有害飲酒の高リスク群へ陥りやすいことが判明している。

 興味深いのは、男女ともに高収入、高学歴、健康状態の良好さが飲酒リスクになることが示された点だ。研究者らは「いわゆる“富裕な成功者”には、有害レベルの飲酒問題を抱えるリスクが潜在している」と指摘している。

 なぜ、社会的な成功をおさめた高所得者で飲酒リスクが上昇するのか。男性のケースを日本流に解釈すれば、成功への過程で接待や同僚との付き合い酒、またストレス解消の一杯が重なる、という物語がありそうだ。リタイア後にリスクが減少するのもうなずける。

 女性はどうだろう。仕事に子育てに頑張ってきた女性ほど、リタイア後に時間を持て余し、お酒に手が伸びるのかもしれない。

 対策の一つは配偶者を大切にすること。男性の理由は明らかだ。女性も旦那サマをあれこれ構っていれば、過度な飲酒に走る暇はない。ただし、新たなストレス源にしないよう適度な距離を保ちましょう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)