世界の株式市場にとって大きな変動要因となる、米国の金利引き上げが目前に迫っている。9月、あるいは12月にも実施される見込みだが、はたして米利上げによって株価はどう動くのか。海外投資に詳しいグローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏が解説する。

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 世界を見渡すと、米国では年内にも利上げが予定されているが、欧州では少なくとも来年5月までは金融緩和が続き、中国も進行中と、日本をはじめ世界的な金融緩和は継続している。そうしたなか、米国の利上げに伴って新興国に流入していた資金が米国に還流することで、世界市場への影響が懸念されている。

 とはいえ、米国の政策金利が引き上げられたとしても、日欧などの資金流入によってドル(米国債)買いが進み、長期金利は上がりにくい傾向にある。ましてや利上げは米国の景気回復の証であり、「好景気下の低金利」という株高の条件が揃っている。米国企業の業績を見ても、年後半は拡大が予想されており、金融相場から業績相場への移行は確かなものとなるだろう。米国株主導の世界的な株高はまだまだ続くと見た方がいい。

 米国株のアノマリー(経験則)を見ていくと、来年にはいよいよ大統領選を迎えるが、その前年(今年)と当年(来年)は株が上がりやすい傾向が目立つ。加えて過去100年以上のNYダウの月間騰落率のデータを見ると、毎年5〜10月は弱く、11〜4月は強い傾向が如実に表われている。日本株もその傾向が顕著で、毎年12月から3月にかけて決算期待から上がり、決算発表後の5月に利食いというサイクルが目立っている。

 そのようなアノマリーに加え、好調が見込める今年の米クリスマス商戦も併せて考えると、その余勢を駆って年末から大きな株価上昇ラリーが期待できるに違いない。

 米国発の世界的な株高傾向は、とりわけ日本株にとって強烈な追い風となる公算が大きい。というのも、そもそも日本株は世界的に見て過小評価されている面があるからだ。

 たとえば8月中旬時点での日本株全体(TOPIX=東証株価指数)のROE(株主資本利益率)は8.6%、PBR(株価純資産倍率)は1.4倍台であるのに対し、米国株(S&P500)はROE15.2%でPBR2.8倍、ドイツ株(DAX)はROE10.9%でPBR1.8倍となっている。確かに日本企業のROEの水準は欧米に比べて低いが、着々と改善が進み、今期は初の10%台に到達する見通しだ。そう考えていくと、日本株は非常に割安な水準であり、見直しの機運が高まってもおかしくない。

 米国と単純比較すると、日本のROEは米国の0.57倍なので、米国のPBR(2.8倍)の0.57倍まで買われるとすれば日本株はPBR1.6倍程度まであっても不思議ではなく、その分の上昇余地はある。これを日経平均に置き換えれば、年内に2万3000円、来年前半には2万6000円まで上昇する可能性は十分に考えられる。

 国内で資金が溢れるなか、過小評価の見直しから海外資金も流入してくるようであれば、バブル化するのは必至といえる。そうであるならば、どんな銘柄に目を向ければいいのか。

 これまでは大型優良株中心の物色が続いてきたが、需給面ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする「クジラの爆買い」も勢いを失いつつある。GPIFはポートフォリオの見直しを進め、国内株式の割合を25%まで高めようとしてきたが、すでに今年3月末時点で22%まで買い進めており、この先、クジラの大型株買いは大きく期待できない。

 そうなると、ここからはやはり経営内容などファンダメンタルズの良好な成長小型株が台頭してくるに違いない。いよいよ出遅れている新興株の出番といえそうだ。

※マネーポスト2015年秋号