長女は大人になると肥満になる? altanaka/PIXTA(ピクスタ)

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 「長女は妹に比べて、大人になると過体重または肥満になる可能性が高い」。ニュージーランド、オークランド大学リギンス研究所小児内分泌学教授のWayne Cutfield氏らが、『Journal of Epidemiology & Community Health』(8月26日・オンライン版)にその研究成果を報告した。

 Cutfield氏ら研究では、スウェーデンの出生レジストリを用いて、1973〜1988年に生まれ、1991〜2009年に妊娠した女性のデータを収集。1万3000組の姉妹、計2万7000人弱の女性に関する完全なデータを基にして解析した。

 すると、長女が過体重であるオッズは次女よりも29%高く、肥満であるオッズは40%高かった。また、長女のほうが身長もわずかに高かった。

 この結果は、長男であることと体重・身長が大きくなることの関連を示した以前の研究を裏付けるものだという。Cutfield氏は、「第一子の健康リスクを検討すると、第一子が第二子以降に比べて『インスリン耐性が高く、血圧が高い』ことがわかる」としている。

 今回の研究は観察研究であり、出生順位と後の体重との因果関係について確定的な結論は出せない。だが、Cutfield氏は「これらのリスクは、初回妊娠時はそれ以降に比べて胎盤に行く母親の血液が少ないことが原因である可能性がある。初回妊娠では血管が狭いためだ」とコメント。

 さらに「第一子であっても犒鮃的なライフスタイル″によって、肥満、高血圧、糖尿病のリスクを低減できる」とアドバイスしている。

小児期の肥満が原因の生活習慣病が増加

 Cutfield氏が勧めるように、幼児期からの犒鮃的なライフスタイル″は、成人後にも引き継がれるようだ。文部科学省の調査によると、ここ30年の間、肥満傾向の子どもは2〜3倍に増えており、9〜17歳の男子の10人に1人は肥満であるとの数字が出ている。

 さらに近年では、子どもでも肥満が原因の生活習慣病が増えている。小児期で肥満度が高いと、中性脂肪・血圧・血糖などの上昇が見られ、生活習慣病を発症している可能性が高いことがわかってきた。この傾向は日本だけでなく、世界各国でも同じように深刻化している。

 しかし、子どもの肥満は親のサポートで予防・改善が可能だ。遺伝的に太りやすい体質が親から子へ受け継がれているという見方もできるが、それよりも、親の食事の内容や生活習慣が、子どものライフスタイルにも大きな影響を及ぼす。

家庭も巻き込んだ子どもの肥満対策を!

 同じくニュージーランドのオタゴ大学を中心とした研究グループが、小児科学の専門誌『ペディアトリクス』(2015年8月号)に報告した内容によると、「家庭も巻き込んだ子どもの肥満対策の取り組みは効果的である」という。

 経済協力開発機構(OECD)のデータによると、ニュージーランドは米国やメキシコなどと並んで国民の肥満率が世界でも最も高い国の一つ。子どもの肥満も社会問題となっている。

 研究グループは2年間にわたり、206人(4~8歳)の過体重および肥満の子どもを対象に、家庭も巻き込んだ肥満対策を実施・検証した。

 対象の子どもは、無作為に「通常のケア」「個人に合わせたケア」の2つのグループに分けられた。「通常のケア」は、家族がケアの開始時と半年後の2回、健康的な生活習慣について、子ども本人の状況に合わせたフィードバックと一般的なアドバイスを受ける。「個人に合わせたケア」は、より念入りに子どもと家族への関与を強めていく内容となっている。

個人の目的に合わせたケアが肥満を解消

 その結果、個人の目的に合わせたケアの方が、肥満が解消されていることが判明。さらに、「通常なケア」を受けた場合に比べて、子どもたちは果物や野菜を食べる量が多く、間食が少なくなり、さらに運動量も多くなっていたという。

 日本では近年、家族が不在の食卓で、ひとりだけで食べる「孤食」が増えている。当然、好きな物を食べる傾向になり栄養も偏りがちだ。小児肥満の子どもは、その約7割が成人肥満に移行すると考えられており、できるだけ早い時期に介入したほうが改善させやすい。身近な家族も含めたサポートは、より有効な肥満予防として積極的に取り入れるべきだろう。
(文=編集部)