これまで本誌で何度も報じてきた、建設中の新国立競技場に関するプロ野球チームの本拠地移転問題。東京五輪後に「巨人の新球場になる計画」が具体的に動き出したことで、「平成の球界大移動」が始まった。
 新国立競技場建設にともない、神宮球場が取り壊されて地方移転を迫られるヤクルトが横浜へ移転、そして本拠地を奪われるかたちの横浜DeNAは新潟へ…そんな情報が永田町を発信源に飛び交っているのだ。

 事の発端は横浜だ。国会が2020年の東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の整備計画ですったもんだしている一方で、横浜にドーム球場の建設プランが急浮上した。
 横浜青年会議所は8月25日、横浜市の産業貿易センタービルで「横浜経済会議」なるシンポジウムを開催した。そこで飛び出したのが『ヨコハマ・ボールパーク構想』。これはJR桜木町駅前の「みなとみらい21(MM21)地区」のサッカーJ1、横浜F・マリノスの練習場『マリノスタウン』跡地に、スライド式の開閉屋根、天然芝のフィールドを持つ3万6000人収容規模のドーム球場を建設するという構想で、それを披露したのだ。横浜商工会議所内で設置を進めている「横浜ドーム建設推進協議会」(仮称)など、地元経済界がバックアップするという。

 横浜市はこれまで、カジノ誘致に伴うIR(統合型リゾート)施設の一環として、山下ふ頭(中区)にドーム型球場の建設を検討してきた。その球場を、老朽化した横浜スタジアムに代わって、横浜DeNAベイスターズの本拠地として使用する計画だった。
 しかし、「みなとみらい横浜ドーム」はこれとは全く別の構想だ。神奈川選出の大物代議士秘書によれば、2020年東京五輪後に取り壊され、新神宮球場建設のため本拠地を失うヤクルトスワローズの受け皿になるという。
 「ベイファン、横浜財界、市民が、首位ターンをしながら史上初の最下位ゴールが濃厚という中畑DeNAに、うんざりしているのです。一方、4打席連続本塁打を放つなど、今季三冠どころか、多くのタイトル獲得が有力視される山田哲人選手を抱えるヤクルトへの期待感は大きく、人気は膨らんでいる。しかも、スワローズは最下位からジワリジワリと追い上げ、いまや逆転優勝する勢い。新ドーム球場を作るのなら、いつまでたっても弱い横浜よりヤクルトに来てほしい、と横浜の財界関係者はそう願っているのです」(代議士秘書)

 見逃せないのが、ヤクルトファンで知られる安倍晋三首相の存在だ。そして日本青年会議所(JC)元会頭であり、現在でも全国JCの総元締め的存在の麻生太郎財務大臣。さらには横浜市を地盤とする菅義偉官房長官。時の政権のトップ3がこの構想を後押ししているとみられており、五輪後に本拠地難民となることが予想されるスワローズに助け船を出すという構図だ。
 舛添要一都知事の反対でお台場カジノ構想が瓦解したフジサンケイグループも、この計画に一枚かんでいるという。ドーム球場建設に合わせ、プロ野球ばかりでなく、大型コンサートや大規模展示場、商業施設など多目的の娯楽施設を建設するこの計画に、社運を託す気なのだろう。

 これまでヤクルトには新潟や静岡・浜松への本拠地移転が噂されていたのだが、どっこい移転するのはDeNAという構図。巨人の神宮本拠地移転に始まる平成の球界大移動は、玉突き式に球界地図を変えていく。
 今季のペナントの行方は、例年以上に重大かも…。