テヘラン郊外のアザディスタジアムで取材を終えると、ふいにドイツW杯のアジア予選が思い出された。ジーコのチームが10年前に、この場所でイランに敗れたからだろうか。

 記憶から立ち上がってきたのは、2004年9月のインド戦である。アウェイのコルカタで行われたこの試合は、4対0の勝利に終わっている。ホームで7対0の大勝を収めた相手に、アウェイとはいえ4点差しかつけられないのはどうしたものだろうか──試合後に慌ただしく乗った帰国便で、そんなことを考えたものだった。

 9月8日のアフガニスタン戦は、6対0の大勝に終わった。国際試合は結果がすべてである。アウェイで、というか中立地できっちり勝点3をつかんだのだから、それだけで評価されていいゲームではある。

 国内組だけで臨んだ東アジアカップを除くと、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督のチームはこれが6試合目である。まだ6試合目だ。海外組を含めたチーム編成では、まとまったトレーニング期間をいまだに持てていない。

 指揮官自らが話しているように、発展途上のチームだということは理解している。6対0という結果に「ブラボー」と言いたくなる監督の気持ちも。

 前半にあげた2点は、ディフェンスを重視する相手の攻略法として理想的だった。後半に記録した4点は、日本らしいコンビネーションを土台としたものだった。岡崎が彼らしい嗅覚を発揮したゴールもあった。

 それにしても、逃した決定機が気になる。

 たとえば、27分のシーンが。森重のミドルシュートがゴール前でイレギュラーし、大きくバウンドしてバーを叩く。跳ね返りに反応した長谷部がヘッドでつなぎ、岡崎が狙う。だが、ヘディングシュートはワクを逸れていった。

 たとえば、76分のシーンが。武藤からパスを受けた本田が、フリーの状態から左足を振り抜く。これもまた、ワクをとらえることはできなかった。

 すべてのシュートを決めるのは不可能である。それは分かっている。ただ、決定的なシュートは確実にワクをとらえるべきだとの指摘は、的外れではないと思う。

 W杯予選を取材するたびに思うのは、「引いた相手」というワードである。

 アジアの相手は自陣から出てこないので、ゴールをこじ開けるのが難しい。だから、大量得点とはいかなくても、チャンスを多く作ったことは評価するべきだ、と言われる。国際試合は結果がすべてだという論理も、そうした意見に説得力を持たせる。

 確かにそのとおりなのだが、引いた相手かどうかはともかくとして、決定機でシュートをワクへ持っていくのはまた別の問題だ。そして、「相手が引いているから」とか「グラウンドが悪いから」といった理由でシュートの精度を問わないのは、チームの課題を先送りするだけなのではないかと思う。
 
 他でもない僕自身も、チャンスを多く作ることはずっと評価してきた。だが、「決めろ」ではなく「ワクに入れろ」という要求はしっかりしていかないと、日本代表の成長のスピードが上がっていかないと思うのである。

 アフガニスタン戦の岡崎や本田のようなシュートが、W杯最終予選で、W杯本大会で、アフガニスタン戦と同じようにワクをとらえられなかったら。勝利を逃す要因となってしまったら。そのときに悔やんでも遅いのだ。