ジェイ・ボスロイド【写真:Getty Images】

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90分間プレーした後の選手たちがどのような感覚か想像できるかい?

 現在ジュビロ磐田でゴールを量産するFWジェイ。プレミアリーグの経験が豊富な彼は、欧州最高峰のリーグをどう見ているのか? 現役のイングランド人選手が語る“プレミアトーク”を、どうぞお楽しみに!

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 先日プレミアリーグで給水タイムが設けられたね。これは行われるべきだったと思う。選手の安全のためであるのは明らかだ。これによって試合をハイテンポに保つこともできる。

 もし選手たちが疲れて脱水症状を起こしていたら、十分な水分を補給できていて体温が低い時よりもはるかにゆったりとしたゲームになるだろう。プレミアリーグはそれを望まなかったんだ。

 日本の気候はイングランドよりもはるかに高温多湿だよね。ファンや一般の人々にエキサイティングなゲームを見てもらうためには、Jリーグにも給水タイムは必要だと思う。(事実、2名のファンが熱中症で死亡した)

 座って試合を見ている観客が意識を失うのに、90分間プレーした後の選手たちがどのような感覚か想像できるかい? 観客は選手たちが水を飲んでいるのを見て、自分のために水を飲むかもしれない。

 僕はこれについてクラブに話をしてきたし、彼らはJリーグが対処する必要があると言っていた。これらすべては改善し、進歩していくべきで、Jリーグだからといって例外はないんだ。

ファン・ハールは自分のやり方を押しつけている

 ルイス・ファン・ハールは自分のアイデアや哲学を持ってきた。かなり正直に言うと、彼の哲学、特にウェイン・ルーニーの起用法は受け入れられない。ルーニーは10番タイプの選手で、前線でプレーするストライカーではないんだ。今シーズンはフットボールを楽しんでいるように見えないし、ベストを発揮できていないと思う。

 僕はルーニーを責めているんじゃない。ファン・ハールを非難しているんだ。彼は持ち駒がどうしたら最大限の力を発揮できるか検討する必要がある。今は選手たちが最高の力を発揮できるかではなく、自分のやり方を押しつけているね。

 たとえば、僕は名波さんについていいことしか言えないけど、彼は経験が浅い。しかし、自分がトップレベルでプレーしていたこともあって非常に知識が豊富だ。僕らは4-2-3-1で戦っているけど、前のクラブでは4-4-2だったから、彼が求める形に適応することが必要だった。

 ボールをキープし、1トップとして振る舞える身長と存在感があるというのはこれまでとの違いだね。名波さんとは様々な場面でコミュニケーションを取っているし、彼は僕にどんなシチュエーションで何を求めているかを伝えてくる。

(小林)祐希やヨシ(太田吉彰)もそうだ。監督はポジションを入れ替え、動き続けることを奨励する。ずっと同じポジションに居座ることはないんだ。

 ファン・ハールについていえば、彼はポジションを固定する。ジュビロにはジュビロのやり方がある。特に攻撃面は流動的だ。豊富な運動量やポジションチェンジが求められ、僕がサイドに開いたり、祐希がストライカーを務めたりする。

 そして名波さんは「全員がペナルティエリアに入りさえすれば、どう動くかは気にしない。ペナルティエリアに入りさえすればチャンスを作れるし、それが重要なんだ」と言っているよ。

シティはすべてのポジションを強化した

 名波さんがファン・ハールより優れた監督かはわからない。彼らは全く違うし、名波さんは選手としてプレーしていた。それに全ての選手がフットボールを楽しめることをメインに考えている。自信があればプレーはより簡単になるからね。毎試合いいプレーをすることだけが自信につながる。

 僕らは攻撃をするとき、たくさんポジションを入れ替えて、ボールに絡んでシュートを打つ。全員に共通理解があって、名波さんは動き続けるよう求める。もし彼が僕に中盤で留まるよう言ってきたら、今みたいにフットボールを楽しめていないだろうね。

 いま、多くのビッグクラブの中でマンチェスター・シティだけが輝いているね。他のすべてのクラブと比べて、シティは移籍市場が開幕した段階で大きな契約を複数まとめたからうまくいっているんじゃないかな。ユナイテッドやチェルシーは“デッドライン・デー”に新たな選手と契約したよね。

 シティはすでにチームが出来上がっていたし、その日に誰も獲得しなかった。高いクオリティを備えた選手たちを確保して、彼らはプレシーズンからチームに安定感をもたらしていたね。

 ただ、ケビン・デ・ブライネは次の試合に先発しないだろうね。ペジェグリーニ監督が彼を起用するのは間違っていると思う。シティはいくつもゴールを決めているけど、まだ無失点だ。デ・ブライネはプレーすると思うけど、今の時点でチームは完成されているし、どんなことをすべきかわかっている。

 シティは数人の素晴らしい選手を獲得し、すべてのポジションを強化した。チェルシーのようなチームは、スタメンではないが控えを充実させる選手を補強した。ヘクターを獲得してすぐにレンタルへ出したよね。あれはどんなことを意味するのかな?

アーセナルは本当に必要なところが強化されていない

 アーセナルについてだけど、僕は心から愛している。子どもから大人になっても応援しているクラブだけど、他のファンの皆と同じように非常に失望しているよ。今のアーセナルには純粋なストライカーが1人しかいないのは周知の事実だよね。

 ウォルコットやウェルベックもストライカーとしてプレーできるけど、移籍市場最終日には1人しかいなかった。リーグを制するために過去の勝者たちを見てみると、みんな20〜25ゴールを獲れるストライカーがいるんだ。アーセナルにはいない。中盤や10番の役割には恵まれているし、まともな守備陣を有しているけど、本当に必要なところが強化されていないよ。

 みんなが同じことを考えているんだ。すべての解説者、ティエリ・アンリのようなクラブのレジェンドでさえアーセナルにはストライカーが必要と唱えていた。それでも誰1人獲得しなかったことでチームが優勝するチャンスに傷をつけている。アーセナルはビッグクラブで、CLにも出場している。でもプレミアリーグでは10年以上優勝していない。

 このままだとCLの出場権を獲得するにも十分ではないね。チームは勝利を必要としているし、それはファンが見たがるものでもある。エミレーツ・スタジアムのチケットは最も高額で、ファンはタイトルを争うチームを見たがっている。でも彼らはここ数年それを見せられていない。

モウリーニョはメディアの前で選手を非難し続ける

 チェルシーに関しては、モウリーニョが初めてプレミアリーグに来たとき、僕は彼のことが大好きだった。彼は心理戦を用いて試合に勝てる自分に自信を持っていたし、常に何があろうと選手たちを守ってきた。だが今は選手のせいにする。

 彼は女性ドクターの振る舞いが問題になった時、試合に負けたのは彼女のせいだと非難し、そこに目を向けさせた。彼はトップレベルの監督で、間違いを犯してはならない。だけどチームの負けには責任を負わなければならないんだ。

 彼はクリスタル・パレスに負けたあとのインタビューで「良くなかった2、3選手を外すつもりだ」と言った。パフォーマンスが悪い選手がいれば、その選手は外れる。彼はローテーションできるだけの数の選手を抱えているからね。

 すべてのチームで彼はそうしてきたし、多くのお金を使ってきた。チェルシーだけでなくあちこちで数百万ユーロでは収まらない大金をね。

 チェルシーがユナイテッドやシティと違うところは、選手をレンタルへ出すために獲得するか、トップチームで起用するために獲得するかだ。現時点でモウリーニョが「シーズンは始まったばかり」と言うのは、選手たちに休暇の延長を認めたからだろう。チームが上手くいっていない理由はたぶんそれだね。アザールは本調子ではないように見える。

 ジエゴ・コスタは良くなっているように見えるけど、他の選手たちは本来の力を発揮できていない。イバノビッチは毎週こてんぱんにやられているし、テリーの調子も良くない。不満を持ったモウリーニョはメディアの前で選手を非難し続けるだろうね。最高の監督は仕事で示す必要があると思うよ。

ハリー・ケインはトッテナムが勝てない大きな理由

 ハリー・ケインはトッテナムが勝てない大きな理由になっているね。彼はトップレベルのストライカーで、日に日に成長しているけど、いまは苦労している。絶望的に見えるよ。一番の理由は、U-21欧州選手権に出場して身体を休ませる時間を取れていないことにあると思う。リーグ戦を終えてすぐに欧州選手権に出て、そのままプレシーズンに合流した。これが彼のパフォーマンスが良くならない大きな理由さ。

 トッテナムは本当に必要とされるポジションが強化されていないように思える。CBの選手が守備的MFとしてプレーしているよね。正方形の穴に丸いペグを挿しているようなものだね。必要なものが強化されていない。ラメラのような二流の選手もいるし、彼らはここ数シーズンうまくいっていない。彼らを追い出せ!

 トッテナムは掘り出し物を獲得しようとするため、いつも移籍市場最終日に交渉しているように思う。もし成功を欲しているなら、早い段階でクオリティのある選手にお金を使わなくてはならないね。それが移籍市場最終日と言うのはよくないし、誰かを獲得してみよう。

 すべてのクラブが選手を欲しがっているのを知っているし、移籍金を吊り上げようとする。ベラヒーノに起こったこともそうだ。昨季の終わりから彼と契約すべく交渉していたよね。獲得もできたと思う。だけどモタモタしている間に逃してしまったんだ。

【フットボールチャンネル編集部より】ジェイ選手はサッカーを通して恵まれない方々へのサポートを継続しています。本記事の原稿料は執筆者であるジェイ選手の意向により、ボランティア団体へ寄付致します。

プロフィール
ジェイ・ボスロイド
1982年、イングランド出身。アーセナルユースを経て、2000年にコベントリーでプロデビュー。以降、国内外のクラブを渡り歩き、今年よりジュビロ磐田に加入。2010年にはイングランド代表も経験。Jリーグでの登録名は「ジェイ」。

text by ジェイ・ボスロイド