大手百貨店、そごうの経営破たんをめぐる資産隠し裁判で、東京地裁は29日、強制執行妨害罪に問われた元会長、水島広雄被告(92)に懲役1年6月、執行猶予4年(求刑・懲役1年6月)の判決を言い渡した。栃木力(つとむ)裁判長は「経営者の責任を放棄し、自己の利益のみを追求した行為は酌量の余地はない」と述べたが、「高齢であり、そごうを成長させた功績もある」と執行猶予とした理由を説明した。

 判決は、本裁判の争点の一つである日本興業銀行(当時)から錦糸町そごうへの借入金の連帯保証は、有効であると認めた。また、約1億5600万円を自宅納戸に保管していたことは、債権者から見れば財産の発見が困難になり、財産の隠匿に当たると認定した。

 水島元会長は、裁判長が判決理由を読み上げている間、背中を少し丸めて腰掛け、時折腕組みをしながら静かに聞いていた。

 判決文によると、水島被告は94年の錦糸町そごうの出店に際し、興銀からそごうグループへの融資のうち110億円を個人で連帯保証。00年7月にグループ各社の民事再生法の適用申請を受け、興銀が資産仮差し押さえを申し立てることを察知した。このため強制執行を逃れる目的で、自分名義の口座から約5500万円を引き出したほか、投資信託約1億100万円分を解約し自宅納戸に保管、妻が所有しているかのように装った。さらに同年12月、うち約1億分を妻の親族の家に預けて隠した。

 判決後、弁護団の岩月史郎弁護士は「保証債務は形だけであり、財産隠匿の事実もない」と控訴する意向を示した。【了】