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8月31日から4日間の日程で、米国サンフランシスコで開催された「VMworld2015」。今回は、2年前のVMworldで発表された「VMware NSX」、昨年発表された垂直統合型システムの「VMware EVO:RAIL」に相当する、インパクトの大きな新製品発表はなかったものの、過去に打ち出したコンセプトを具現化する製品の機能強化が、さまざまなカテゴリで発表された。

オンプレミス環境とパブリッククラウド環境をリアルタイムに移動することを可能にする技術「Cross-Cloud vMotion」や、コンテナベースの仮想プラットフォームである「Photon Platform」などは、その好例だろう。

既報のとおり、今回のコンファレンスでVMwareは、「ユニファイド・ハイブリッド・クラウド」というコンセプトを打ち出した。これについて、ヴイエムウェア日本法人で代表取締役会長を務める三木泰雄氏は、「データセンター全体を仮想化する『Software-Defined Data Center(SDDC』」であり、オンプレミス環境もパブリック環境も強化されてきた。今回発表したCross-Cloud vMotionに代表されるように、"ユニファイド"が冠された意味は、ハイブリッドクラウドがさらに進化したと受け止めている」と語る。

日本市場においても、パートナー向けプログラムの「VMware vCloud Air Network」(vCAN)が堅調な伸びを見せるなど、ハイブリッドクラウドに対するニーズは着実に広がっている。三木氏も、「(VMware vCloud Air Networkは)世界クラウド市場の99%をカバーしており、4000社超のパートナーを有する。日本でもキャリア系、メーカー系、データセンター系、SI系、ISP系など、主要140社とのパートナーシップを締結している」と、その実績を強調する。

現在ヴイエムウェアは、従来の従量課金(RENTAL)モデルのほか、ヴイエムウェアのクラウドサービス「VMware vCloud Air」上でサービスプロバイダーが独自のサービスを構築し、自社の顧客に提供する「Managed Service Provider(MSP)モデル」も提供している。例えば、ニフティは、VMware vCloud Air上で展開した災害復旧(DR)に特化したサービスを、「ニフティクラウド DRサービス with VMware vCloud Air Technology」として自身の顧客に提供している。

こうしたサービスについて三木氏は、「クラウド事業者自身で、ハイブリッドクラウド・サービスを提供する事業モデルは増加している。ヴイエムウェアとしても、そうしたクラウド事業者を支援するプログラムを提供していく」と語る。

○今後、どのようにセキュリティ分野に取り組んでいくのか

三木氏が協調するのは、パートナー企業の重要性だ。2014年7月、ヴイエムウェアがパブリッククラウドソリューションとして「VMware vCloud Hybrid Service(現 VMware vCloud Air)」を発表した時は、既存のパートナー企業と競合するとの見方が広がった。三木氏は「(パートナーとの)競合がゼロではない」としつつも、「ハイブリッドクラウド市場は今後も拡大する。パートナー企業もMSPモデルのように『インフラ部分はヴイエムウェアに任せ、その上のサービスの部分でビジネスをしたほうがメリットがある』と考える企業もある」と力説する。

今回のVMworldでは、ネットワーク仮想化プラットフォームである「VMware NSX」や、仮想マシン単位でセキュリティ対策が可能になる「マイクロセグメンテーション」など、セキュリティ分野での機能強化も強調された。米ヴイエムウェアCEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏は基調講演において、「仮想化プラットフォームはセキュリティのルネサンス」だと表現した。

仮想化プラットフォームという"基盤"を押さえているヴイエムウェアは、今後セキュリティ分野に進出する可能性はあるのだろうか。三木氏は、「既存のセキュリティベンダーと全面的に競合になることはない」と断言する。

「一言で『セキュリティ』と言ってもその領域は多岐にわたる。ヴイエムウェアがアンチウイルスソフトまでを提供するとは考えにくい。セキュリティ分野においても、パートナーとの連携が大切だと考える。例えば、われわれはパロアルトネットワークスと戦略的パートナーシップを締結し、ロードバランサーを導入している。ただし、仮想化プラットフォームを持っているという意味において、(仮想マシンの)セキュリティ機能を拡大していくベースになっていることは事実だ」(三木氏)

最後に、コンテナ向けプラットフォームの「Photon Platform」は、日本市場でどのように受け入れられると考えているのか。三木氏は、「銀行や製造業など、ウォーターフォール・モデルで構築されたシステムが、いきなり変更されることはない。最初はWeb系企業などで導入されるだろう。企業でも全社単位での導入ではなく、部門単位で適用されていくと考えている」との見方を示した。

(鈴木恭子)