恐るべきローテクにもかかわらず、配達ミスはほとんどない。世界中の大手企業も見学に訪れるほどの、完成度の高いシステムだ Photo by Joe Zachs

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映画になった
インドの弁当配達サービス

 インドに、毎日17万5000個もの弁当を配達する老舗のサービスが存在する。名前は「ダッバーワーラー(Dabbawala)」。ヒンディー語でダッバは「容器、箱」、ワーラーは「〜する人」という意味。つまり「(弁当)箱を運ぶ人」という意味の造語である。

 驚くべきことにこのダッバーワーラー、インフラが整っていないインドで、ほぼすべての弁当を遅れることなく確実に注文主の元に届けられているらしい。配達ミスは、なんと弁当600万個につき1個の割合。歴史も長く、約100年に渡って多くの人に親しまれ続けている。

 一昨年の2013年には、ダッバーワーラーが題材の映画『The Lunchbox(邦題:めぐり逢わせのお弁当)』が公開された。しかも、同年のカンヌ国際映画祭にて観客賞を受賞。間違えて配達された弁当によって、一組の男女が偶然めぐり逢う物語。先述の600万個に1個の偶然のミスを「運命の出会い」に置き換えているところが味噌である。

 偶然出会った男女がダッバーワーラーを使って手紙のやり取りをする場面は、電子メールやSNSが浸透した現代において、文通という「アナログ」な方法から得られることの素晴らしさを表現している。

 ダッバーワーラーはインド西部の大都市ムンバイが発祥地。サービス自体はとてもシンプルで、家庭で調理された料理を「ダッバ」という銀色の容器に入れ、それを「ワーラー」が職場など指定された場所に午前中に運ぶというもの。利用者が食べ終わった午後、容器を回収し、今度はそれを配達を依頼した家庭に戻す。

 主な利用客は国内の大都市圏で働くインド人のビジネスマン。毎日、彼らのランチタイムに間に合うよう、5000名ものスタッフが毎日17万5000個の弁当を届ける。冒頭で述べた通り、配達ミスは滅多に起きてない。ダッバーワーラーの公式発表によると、配達ミスは600万個に1個。約3年に1回の割合でしかミスが起こっていないことになる。

 ムンバイで愛されているサービスであるのはもちろん、その独自かつ精緻な配送システムは人々を驚嘆させる。世界中から大手物流企業などが見学に来るという。

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