アフガニスタン戦で右サイドを攻略できなかったのは、酒井宏(19番)のポジショニングが一因。抜け出した後のキック精度の低さにも課題が残る。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 アウェーのアフガニスタン戦で日本は6-0と大勝。しかし、本田に言わせれば「内容はカンボジア戦のほうが良かった」。確かに会心と呼べるほどのゲームではなかったが、細部に目を配ればどんな課題があったのだろうか。エリア別(右サイド、左サイド、中央)にプレーを振り返り、修正点を浮き彫りにする。
 
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【右サイド|内田不在の大きさが改めて浮き彫りに】
 
 9月3日のカンボジア戦とは打って変わり、本田と酒井宏の連係による崩しは少なかった。アフガニスタン戦では「センタリングが重要なテーマ」(ハリルホジッチ監督)だった割には、酒井宏が右サイドをえぐってクロスという場面は限られていたのだ。
 
 アフガニスタンのケアがそこまで行き届いていないにもかかわらず、右サイドを攻略できなかったのは酒井宏のポジショニングに原因があるかもしれない。
 
 前半、CBの森重が右サイドに展開しようとして諦めた場面があったが、それも酒井宏の位置取りが低かったからだろう。実際、森重は何回か酒井宏に前目のポジションを取れというような指示をしている。
 
 それでも後半は一度、右サイドを巧みに抜け出した酒井宏が敵陣深くまでボールを持ち込むシーンがあった。しかし、そこで露呈したのはまたしてもキックの精度の低さ。「ターゲットは誰?」と首を傾げてしまうようなクロスでチャンスをフイにして、本人も天を仰いでいた。
 
 この日はどちらかと言えば左サイド偏重の攻撃で、本田がカンボジア戦より中央寄りでプレーしていた影響もあって、酒井宏はオーバーラップを自重していた可能性もある。とはいえ、全体的に酒井宏のパフォーマンスは中途半端な印象だった。
 
 同サイドのボランチ、長谷部との役割分担を明確に攻めるところは攻める、守る時は守るといったメリハリが欲しかった。結局のところ、カンボジア戦を含めて内田不在のダメージが改めて浮き彫りになったと言える。
 
 
【左サイド|香川との相性は、武藤や宇佐美よりも原口が上】
 
 現体制下で初スタメンを飾った原口は、左ウイングで良い働きをした。強引な仕掛けもあったとはいえ、試合を通して安定感は目を見張るものがあった。
 
 トップ下の香川、左SBの長友とのトライアングルを意識した動きで攻撃の起点となるだけでなく、ドリブルで仕掛けられる局面では果敢にチャレンジするなど“協調性”と“エゴ”を使い分けていたように見えた。
 
 香川の2点目(49分)にも、彼に縦へのスペースを与えたという意味で原口は貢献している。香川との相性では、現時点で宇佐美や武藤よりも上だろう。
 
 原口が戦術に縛られずある程度自由にプレーできたのは、長友のおかげでもある。「(原口)元気には好きなようにやれ」と言った左SBが、なによりバランスを重視していたのは次のコメントからも分かる。
 
「全体を見ながら、ここは上がるべきところなのか、カウンターをケアすべきところなのかを判断するようにしています。僕も一応いろいろ経験を積ませてもらっているので。そろそろ29歳になるし、イケイケだけではダメですからね(笑)」(長友)
 
 もっとも、この1試合だけで左ウイングのレギュラーが原口に確定とは言い切れない。本田が言うように「シリア戦までずっと代表で活躍するわけではない」のだから、アフガニスタン戦でのイメージを持ったまま次のシリア戦も戦えるかが重要になる。
 
 同サイドのボランチ・山口が左サイドに張って出るような場面は限られた。おそらくサイドに関しては、ウイング、トップ下、SBと3選手の連係が鍵になるだろう。
 
 一方の守備面で少し気になったのは、長友が自陣でファウルを取られていた点だ。正当なチャージも反則になっていたように見えただけに、“中東の笛”には十分に警戒が必要だ。
 
 
【中央|「難しさを感じる」岡崎のジレンマ】
 
 アフガニスタンが引いてきたこともあり、文字通りの中央突破はほとんどなかった。サイドからの崩しがベースで、あえて中央部を避けていた。
 
 CFの岡崎は引いて受けるというよりも最前線で構え、トップ下の香川もサイドに流れるようなポジション取りという状況で、中央部から攻撃に変化を付けようとしていたのがCBの森重だった。
 
 敵DFの後方へのロビングを狙ったり、チャンスと見るや自らドリブルで持ち上がってミドルを放つ(1本はバーに直撃した)積極性は引いた相手に有効だった。
 
もうひとりのCB吉田が最後尾でリスク管理し、森重がリベロのように振る舞うやり方はアフガニスタン戦に限って言えば上手くハマった。
 
 ボランチの長谷部で印象に残っているのが、8分のボレーシュート。原口、長友、本田とつないだボールに合わせた場面では、その走り込みが絶妙だった。
 
 成功率はともかく、バイタルエリアで縦パスを試みる意識もあった。目に見える結果こそ残せなかったが、そうしたチャレンジが今後の代表戦に活きてくるかもしれない。
 
 最前線の岡崎に関しては、「微妙」のひと言。勝負が決した後の2ゴールよりも、前半に良い形でシュートを打てていなかった点が気になった。当人もこんなコメントを残している。
 
「自分は裏を狙ったり、大きく動くタイプです。なので、1トップとして窮屈な場所で戦わなければいけないのは大変。スペースのないところでどう動くのかを今まではやって来なかったから、その難しさを感じています」
 
 活動期間が限られた代表戦でクラブとは違う役割を任されると、本領を発揮できない時が往々にしてある。今の岡崎がまさにそうで、戦術の犠牲者になっているとの見方もできる。
 
 とはいえ、岡崎以上のCFがいるかと言われれば……。岡崎をCFのファーストチョイスにするなら、放り込みに近いクロスだけではなく彼の俊敏性を活かした手段も考えるべきだが、今後、ハリルホジッチ監督が岡崎の他に誰をCFとして招集するか興味深い。
 
取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)