ロッテには『5年周期説』というジンクスがあるようで、2005年と2010年の日本一がその由来のようだ。特に、シーズン3位から日本一となった2010年の"史上最大の下剋上"が、ジンクスをより強固なものにしている。そして今年はその周期年度で、チームはクライマックス・シリーズ(CS)進出をかけ、西武と激しい3位争いを繰り広げている。

 まずは、日本一となった2005年と2010年のシーズンを振り返ってみたい。

2005年 84勝49敗3分(リーグ優勝※)
チーム打率.282(リーグ1位)、チーム防御率3.21(リーグ1位)
※この年、ロッテはシーズン2位ながらプレーオフで西武、ソフトバンクを下し、当時の規定によりプレーオフを制したロッテがパ・リーグ優勝となった

 この年、まだ現役だった堀幸一打撃コーチをはじめ、今江敏晃、マット・フランコ、福浦和也の4人が打率3割以上をマークし、投手陣も渡辺俊介の15勝を筆頭に、セラフィニ、清水直行、小野晋吾、久保康友(現・横浜DeNA)、小林宏之の6人が2ケタ勝利を達成した。堀コーチは言う。

「2005年は野球が楽しかったですよね。選手個々の能力が高く、チーム力もあった」

 その言葉通り、日本シリーズでも圧倒的な強さで阪神を4連勝で破り、見事、日本一に輝いたのだった。

2010年 75勝67敗2分(リーグ3位)
チーム打率.275(リーグ1位)、チーム防御率4.10(リーグ5位)

 今シーズン、チームの主軸として活躍している清田育宏は、2010年シーズン、ルーキーながら64試合に出場し、規定打席には到達しなかったが打率.290の好成績を残した。日本シリーズでも全7試合に出場し、30打数10安打、1本塁打、6打点と活躍。日本一の原動力となった。清田が当時を振り返る。

「プロの世界がなにもわからない状況でしたが、すごくプレーしやすい雰囲気がチームにありました。西岡剛(現・阪神)さんが大黒柱としてチームを引っ張っていってくれました。西岡さんが猛打賞(シーズン27回)の日本記録を樹立し、また年間206安打を達成したことでチームが波に乗っていけました」

 シーズン最終盤、ひとつでも負ければ4位という状況でロッテは3連勝を飾り、3位を確保。CSファーストステージでは西武を2試合とも1点差で下すと、ソフトバンクとのCSファイナルでは1勝3敗と崖っぷちからの3連勝で日本シリーズ進出を果たした。日本シリーズでもセ・リーグ覇者の中日を4勝2敗1分で振り切り、5年ぶりの日本一に輝いた。

 さて、『5年周期説』を唱えるには、「サンプル数が少なすぎる」と異論を持つ方も多いことだろう。しかし、2リーグ制となった1950年以降の成績を見てみると、面白いことに気づくのだった。

 これまでロッテ(前身の球団も含む)がリーグ優勝を果たしたのは、1950年、1960年、1970年、1974年、2005年の5回で、このうち末尾が「0」と「5」のシーズンは4度もある。ちなみに、シーズン3位から日本一になったのも2010年で末尾は「0」。

 さらに、1950年から昨年までの64シーズンで末尾に「0」と「5」のつくシーズンは13回あり、うち優勝を含めAクラス入りしたのは9回。この数字を見る限り、古くからロッテは末尾に「0」と「5」がつくシーズンに好成績を挙げており、その積み重ねが『5年周期説』というジンクスを生み出した......のではないだろうか。

 では、ロッテの選手やコーチたちは『5年周期説』についてどう思っているのだろうか。

「結果として、偶然そうなっただけなので......正直、何も気にしていません(笑)。ジンクスで勝てれば楽ですが、実際、野球をするのは僕たちですからね」(清田育宏)

「5年周期説は聞いたことがありますけど、気にしたことはないですね。大体、5年に1回の優勝じゃダメなんで(笑)。毎年、優勝を目指していますからね。今年のチームは、言い方は難しいのですが、飛び抜けた選手はいませんが、まとまった時に強い力を持っています。僕は1番打者として、何でもいいから出塁して、相手投手にプレッシャーを与え、得点に貢献していきたいです。それだけです」(荻野貴司)

「まったく気にしてないですね(笑)、シーズン中は、1試合1試合が大事なんで......。その結果がジンクスにつながっただけですから。やっぱり、毎年Aクラスに入ることが大事ですから」(福浦和也)

「(5年周期説は)いい材料かと聞かれればそうかもしれないですが、ジンクスを気にしながらプレーすることは100%ないですね。まったく関係ない。うん、まったく関係ない(笑)。ここから先は、勝つという気持ちをどれだけ強く持つかです。強い精神力を持ったチームが、最終的に勝つと思います」(堀幸一打撃コーチ)

 当然といえば当然だが、誰ひとりとしてジンクスを気にしている者はいなかった。結局、そうしたジンクスに頼ったりするのは、見る側だけのようである。とはいえ、そういうジンクスがあることで、厳しい局面の時に少しでも心の支えになることはないのだろうか。再び、清田聞いてみた。

「ハハハ、まったくないです。残り試合もわずかとなってきて、ここからが本当の勝負なんで。先のことは考えず、1試合1試合をしっかり戦うことで結果はついてくると思います。そのためにひとつでも多く打点を稼ぎたい。ウチは波に乗ると、みんな止まらないぐらい打ち出すので、僕はチームに少しでも早く火をつける役目を果たせればと思っています」

 9月8日現在、ロッテは3位の西武と2ゲーム差の4位。しかし、西武より8試合多く残しており、逆転でCSに進む可能性は十分にある。そしてロッテには「CSに強い」という過去の実績もあり、またその頃には2005年と2010年の日本シリーズでMVPを獲得した今江敏晃がケガから復帰する。はたして、『5年周期説』は今年も実現するのか。パ・リーグの10月は波乱の気配がするのだった。

島村誠也●文 text by Shimamura Seiya