いくつものチャンスメイクに絡んだ原口。現政権下での初スタメンで結果を出し、まさに“アピールの模範”だった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 6-0という結果は素直に評価すべきだろう。勝つべき相手にきっちりと勝って、大量得点のうえに完封なのだから、“表面上”はケチの付けどころがない。

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 試合の流れを決定付けたのは、やはり香川の先制弾(10分)。キックオフ前から異様に盛り上がっていたアフガニスタン・サポーターが、このゴールで一気に静まった点からもそう言えるだろう。
 
 開始10分に先制点、続く35分に2点目。後半開始4分後の49分に勝利を決定付ける3点目、さらに57分、60分、74分に追加点とほぼ理想の試合展開だった。決定機は少なくとも「10」以上あったとはいえ、アウェーで6ゴールは十分だろう。
 
 攻撃面で光ったのは左ウイングに抜擢された原口だ。かつてはドリブル一辺倒だった突貫小僧も、今回のアフガニスタン戦では“大人のオーラ”を漂わせてドリブルとパスを上手く使い分けていた。
 
 香川の先制点も原口のチャンスメイクがあってのゴールで、その意味でも貢献度は高かった。ハリルホジッチ監督も原口の活躍については「組み立てをかなり丁寧にやってくれた。多くのことをもたらしたと思っている」と称賛している。
 
 現政権下で初のスタメンを任されて、いきなり結果を出す。原口のような選手がもうひとり、ふたりと出てくれば、チームは間違いなく底上げされる。この日の原口はまさに“アピールの模範”。彼の働きがチームにとって刺激になった事実は、本田のコメントからも分かる。
 
「練習試合ではなく、こういう試合に出る。しかもアウェーで。若い選手がそうやって経験を積むだけでなく、勝っていきながらそういうことをしてチームを底上げしていく作業は重要だと思う」
 
 その点、攻撃面で物足りなさを感じたのがボランチの山口だ。岡崎へのアシストは見事だったが、欧州組に遠慮してかミドルが少な過ぎた。ピッチの状態が悪く慎重にプレーし過ぎた側面もあったのかもしれない。ただ、こういう引いた相手にはもっと積極的にシュートを狙っていいはずだ。
 
 また強引な仕掛けばかりが目立った武藤は、味方を活かすプレーを増やすべきだろう。アフガニスタン戦のように「俺が、俺が」という気持ちが先行してしまうようだと、チャンスすら与えられなくなってしまう可能性があるので、ある意味、踏ん張りどころだ。
 判断が難しいのは香川の2ゴール。このMFの才能を考えれば、それくらいの活躍をして当たり前のようにも思える。もちろん、決定機逸のほうが目に付いた岡崎や本田よりも高く評価すべきだろう。ただ、少なくとも「完全復活」とは言えない。
 
 香川の真価が問われるのは、おそらく次のアウェーゲーム──10月8日のシリア戦だろう。同日にカンボジアを6-0で下し、ここまで3戦全勝でグループEの首位に立つ彼らとの試合で輝いてこそ、エースと呼べる。
 
 正直、香川はうかうかしていられない。この試合では後半途中から本田がトップ下で試されているからだ。
 
 アフガニスタン戦では良かったが、シリア戦ではてんでダメといったように、香川が今後、浮き沈みの激しいパフォーマンスを繰り返しているようだと、いずれマイホーム(トップ下)を占拠されてしまう恐れがある。大袈裟かもしれないが、本田の影はひたひたと近づいているという危機感を持ってプレーすべきではないか。
 
 守備面に目を移せば、軽率なボールロストからカウンターを食らう場面がいくつかあった。
 
 格下相手にもそういうピンチがあるのは当然だが、なにより気になったのは2ボランチと最終ラインとの距離感だ。アフガニスタンのミスに助けられて“事故”には至らなかったものの、スペースを与え過ぎていた感もある。
 
 攻撃の枚数を増やすために2ボランチの長谷部、山口とも比較的高いポジションを取っていたからだろう。守備へのケアが万全とは言い難かった。
 
 中東国とのアウェーゲームで怖いのは、状態の良くないピッチでのミスに付け込まれたうえでのカウンターからの失点。その可能性をできるだけ小さくする意味でも、理想を言えば最終ラインと2ボランチの連係を今以上に高めたい。
 
 もっとも、そうした連係の見直し、向上に着手する前に所属クラブでどんな活躍をするかがポイントになると、本田は言う。
 
「このまま代表で活動してシリアと試合するわけではないので。所属クラブの状況がここからいろいろ変わってまた集まるんでね、シリア戦のことを語るよりは所属チームに戻ってどういったことをやるのか。
 
 自分自身、レギュラー争いもありますし、戻ってすぐに(インテルとの)ダービーなのでね、良い準備をしたいと思います」
 
 結局のところ、活動期間が限られている代表では個の力を高めることがチームの底上げにつながる。本田のコメントは言い得て妙だった。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)