「大矢製作所純銅製おろし金」(両面大根/薬味用)7560円

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「江戸時代の百科事典『和漢三才図会』(1712年)に、今の羽子板型のものが載っているんですよ」と語るのは、「大矢製作所」社長・大矢茂樹さん。おろし金は日本独自の調理道具で、陶製のおろし皿はすでに10世紀には存在したという。

 この店は昭和3年、銅壺(どうこ)店「銅寅」として開業。その後、昭和24年に現在の銅製おろし金専門店となり今に至る。

「大矢製作所純銅製おろし金」は、両面大根/薬味用で7560円の高価な逸品。おろし金の材料は、純銅の板に錫メッキをかけ、カットしたもの。銅は、硬さがちょうどよく、抗菌作用もあって料理道具に適している。アルミは柔らかすぎて目がすぐに丸くなり、鉄やステンレスだと硬すぎて、手作業で目を立てるのが難しいのだとか。

 ひとりの職人が1日に作るおろし金は大根用で20〜30枚。目立てに使う“タガネ”は、毎日研いで角度や鋭さなどを調整して使うため、20cmくらいの長さが使用後は半分以下の7cmくらいになる。

「最初は、師匠や先輩に研いでもらいますが、人によってクセがあり、打ちやすい角度が違うんです。自分なりの角度を探すのも修業です」

 同店で職人をしている春原(すのはら)澄人さんはそう微笑む。

 春原さんは雑誌で見つけた体験イベントで「おろし金」に目立てをしたのをきっかけにこの世界に入り、現在20年目になるという。おろし金の上手な使い方を聞いてみると、

「のの字のように回転させず、力もいれず、前後にゆっくり動かすと、細胞をつぶすことなく繊維を断ち切っておろせるので、みずみずしい大根おろしとなり、時間がたっても水分があまり出ないんです」

 パッと見、おろし金の刃は、整然と一直線に並んでいるように見えるが実は微妙に不揃い。微妙にゆらいだ直線や間隔が手作業ならではの特長で、ちょっとしたズレによって空滑りしなくなる。

「このズレにより、鋭利な刃で食材を押しつぶすことなく、繊維と水分を分離させずにおろせます。色鮮やかで、風味も、舌触りも絶妙な大根おろしができますよ」(大矢さん)

※女性セブン2015年9月17日号