今年は米子へ。SFファンダムの夏の祭典『日本SF大会』〜第54回大会と星雲賞を振り返る〜

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みなさんにとって夏の祭典といったらやはりコミックマーケット(コミケ)といったところでしょうか。
このコミケの原点ともいえるもうひとつのファンダムの祭典があるのをご存じですか?

その名は『日本SF大会』。今年は8月29日(土)と30日(日)の2日間、鳥取県米子市の米子コンベンションセンター ビッグシップと、隣接する米子市文化ホールを会場に開催されました。

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米魂(こめこん)

日本SF大会は、1962年に始まり、今日まで毎年開催されているSFファンが一堂に会する祭典であり、作家や専門家とファンの交流イベントです。要するに、今年で54年を迎えます。

ファンの有志が、SFファンダムの連絡団体である日本SFファングループ連合会議に立候補と承認を得て開催されるもので、参加者の有志が非営利で運営を行い、開催地や開催方式、日程も毎年異なります。また、正式名称は『第○回日本SF大会』ですが、開催地の名称をモチーフに愛称が付けられ、今年は『米魂(こめこん)』と称されています。

開催方式も温泉地等で夜通し開催される合宿型(リゾート型)と、日中のみ開催の都市型があり、今年は都市型での開催。
実は筆者自身もほぼ毎年参加する参加者のひとりで、本格的に参加するようになったのは2005年の第44回日本SF大会『HAMACON2』から。今年でちょうど10年になり、注目される企画やマスカレード(コスプレ)をする参加者のひとりでもあります。

SF大会は、さまざまなテーマを扱う活動が複数の部屋で平行して行われる「分科会形式」で行われ、(SF作家や翻訳家、書評家などによる)パネルディスカッション、講座、朗読会、研究発表、パーティー、ゲーム、上映会、カラオケ、ダンスなど、SFに関するさまざまな内容がさまざまな形式で行われます。これらの活動は「企画」と呼ばれ大会の花。興味のある内容や好きな作家や専門家の企画を選んで参加していきます。大会にもよりますが同じ時間帯に20以上の企画が行われることも。
また、同人誌やフィギュア等を扱うディーラーズルーム(コミケの島をイメージするとわかりやすい)や、アーティストによるライブ・ペインティングなどが期間中を通じて実施されます。

企画ではもちろんのこと、会場内ではSF界の第一線で活躍する先生が他の参加者と同じように歩き、多くの方とフランクに話ができるほど和やかな場。
サインについては会場内で自由にお願いすることはできませんが、時間帯を設けてサイン会の場があり好きな先生と交流することができます。

開会に先立ち成功祈願

開会に先立ち成功祈願

人気企画手作りプラネタリウムと3D映像

人気企画手作りプラネタリウムと3D映像

星雲賞受賞・藤井太洋氏によるライブ・ライティング

星雲賞受賞・藤井太洋氏によるライブ・ライティング

加藤直之氏による宇宙戦艦ヤマト2199

加藤直之氏による宇宙戦艦ヤマト2199

大河原邦男氏の次世代消防車デザインプロジェクト

大河原邦男氏の次世代消防車デザインプロジェクト

デザイン通りのホンモノの消防車も

デザイン通りのホンモノの消防車も

今年の大会は地元との関わりがより強いことも特徴のひとつで、鳥取県内の各自治体や物産店の出店、飲食ブースの設置など、会場内だけでも楽しむことができるほか、米子市内での歓迎ぶりも大きく、参加していてとても心地よい大会でした。
また、一般公開エリアが設けられ、近隣の市民が日本SF大会のエッセンスを感じられる取り組みが行われていました。

米子駅の出口には歓迎看板

米子駅の出口には歓迎看板

地元からは昨年のなつこんに続きネギマンも参加

地元からは昨年に続きネギマンも参加

琴浦町ではコラボで話題沸騰の琴浦さんを紹介

琴浦町ではコラボで話題沸騰の琴浦さんを紹介

飲食ブースもあり、その場で食べられる

飲食ブースもあり、その場で食べられる

SF関連のアワードのひとつ『星雲賞(せいうんしょう)』もSF大会と密接な関係があります。ワールドコン(世界SF大会)のヒューゴー賞を範に1970年の第9回日本SF大会『TOKON5』より創設され、前年度中(当年ではないことに注意)に発表もしくは完結したSF作品を対象に、『日本長編部門』『日本短編部門』『海外長編部門』『海外短編部門』『メディア部門』『コミック部門』『アート部門』『ノンフィクション部門』『自由部門』の9つの部門でそれぞれファン投票によって贈られる文学賞。この投票権は日本SF大会への参加者が持っており、SFファンダムとしてファン総参加で贈る文学賞となっています。所定の期日までに申し込みが完了している正式登録・参加者以外に、各種資料(プログレスレポートや当日配布物等)を得ることができる参加登録(予備登録)の方にも投票権が与えられています。

投票は予め募集された参考候補作から選ぶ形でハガキやインターネットから行われ、結果は大会中に実施される星雲賞授与式の中で発表と賞の授与が行われます(本年は日程の都合上海外部門のみ事前発表済み)。受賞者は大会へ招待され、ファンの目の前で授与されるとともに、その席上でひとこと挨拶があり、笑いあり感動ありの楽しい授与式です。
海外部門など作家本人の来場が難しい場合は、世界SF大会等の場で授与を行われるとともに、翻訳者や編集者などの同時受賞者や代理の方へ授与される形となっています。時にはビデオ出演や代読等での挨拶も。

【第46回 星雲賞 受賞作】
・日本長編部門 『オービタル・クラウド』(早川書房) 藤井太洋
・日本短編部門 『海の指』(講談社) 飛浩隆
・海外長編部門 『火星の人』(講談社) アンディ・ウィアー 訳:小野田和子
・海外短編部門 『スシになろうとした女』(早川書房) パット・キャディガン 訳:嶋田洋一
・メディア部門 『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 監督:出渕裕 製作:宇宙戦艦ヤマト2199製作委員会
・コミック部門『もやしもん』(講談社) 石川雅之
・アート部門 水玉螢之丞
・ノンフィクション部門 『サンリオSF文庫総解説』(本の雑誌社) 編集:牧眞司、大森望
・自由部門 ドラマ24『アオイホノオ』  原作:島本和彦 監督:福田雄一

日本長編部門受賞の『オービタル・クラウド』は日本SF大賞とのダブル受賞、また大森望氏は昨年の自由部門での「『NOVA 書き下ろし日本SFコレクション』全10巻刊行」との2年連続受賞&2部門目の受賞となっている。

来年の第55回日本SF大会『いせしまこん』は2016年7月9日〜10日に三重県鳥羽市の戸田家で、再来年の第56回日本SF大会は静岡市で8月下旬に開催の予定。一部噂によると2017年の開催立候補の動きもあるとか。

大会では一部参加者が「寸暇を惜しんで遊ぶ」と言うほど、花形企画が目白押し。
ハードSFだけではなく、アニメや特撮など、SF要素がある内容すべてが守備範囲。
興味のある方はぜひ参加してみてほしい。

日本SFファングループ連合会議 http://www.sf-fan.gr.jp/
第54回日本SF大会 米魂 http://www.comecon.jp/
第55回日本SF大会 いせしまこん http://www.sf55.jp/
日本SF大会チャンネル http://ch.nicovideo.jp/channel/ch2606758

(文:y3sei/ヤスベェ3世!@ピンクアンコウ)