外の喧騒とは無縁のワンタンメン

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秋葉原電気街口・中央通り。
この街の昼間は常に喧騒の中にある。

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秋葉原電気街口・中央通り

中でもこの店がある場所は、中央通りと神田明神通りの交差点の近く。人も多く、騒がしい場所だ。チェーン店の牛丼屋やカレー屋、ゲームセンターが立ち並ぶ中に、ひっそりとその店『松楽』はある。
ちょっとかわったのれんをくぐると、細長い店内はカウンターのみ。床はコンクリートのタタキで、昭和を感じさせる。

食券式である。迷わずワンタンメンを選ぶ。接客担当のおばちゃんの「ワンタンメーン」という声が響く。待つことしばし、小さな盆に乗ったワンタンメンの登場である。
具はワンタン、メンマ、チャーシュー、ネギ。スープの味はまさに昭和のしょうゆ味。やや柔らかめに茹でられた麺はストレート麺である。

ワンタンメン

食べ始める前に、ふと気づく。店の中は、時折入る注文の声を除くと、非常に静かだ。
この店、BGMがない時がある。
そして、外の喧騒がすっかり縁遠くなっている。

入り口のガラス戸を見れば、たくさんの人が通りゆくのが見える。がしかし、この店の存在に気づく人は少ない。気づいても、入ろうとする人も少ない。
なんだか不思議な感じのする、ちょっと特別な空間。

店外の気づきにくい場所に置いてある看板には「肉厚ワンタン麺」とあるのだが、たしかに肉は多めだ。
それを、外の喧騒とは無縁の空間で、静かに食べる。
麺を啜りスープを飲む音くらいしか聞こえない静かな空間。
今、自分は、ものすごいぜいたくな時間をすごしているのではなかろうかという気持ちになる。

ラーメンの味だけをただ競ったら、ラーメン屋の多い秋葉原、もっとうまい店がある、というだろう。
だが、夫婦二人だけで淡々と続けられているこの店を選んでしまう。
年寄りの懐かしみだけかもしれないが。

■本文に登場するお店
店名:松楽
場所:東京都千代田区外神田1-11-9

(文:エドガー)