Doctors Me(ドクターズミー)- 【藤森香衣のがんコラム】Vol.3: がんを公表するということ

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がんに対する偏見

自分が「がん」になってから、テレビを観ていて気づいたこと。それは、『がんでお亡くなりになった方を題材にしたドラマや映画が、非常に多いということ』です。

もちろん、そういう物が決して悪いとは思っていません。むしろ、彼らの言葉や行動に勇気を与えられ、生きるということに対し、深く考える“きっかけ”になると私も思っています。

しかし、「がん」は検診による早期発見ができ、治療をすれば治ることが多くなってきているにも関わらず、こうした部分だけが、健康な人たちに刷り込まれているため、恐怖心と共に、サバイバー(がんを克服した人たち)を特別視してしまっているように思います。

二人に一人が、がんになる時代

会話の中で「うちは、がん家系だから…」という言葉を使っている人がいますよね。実は私も病気になるまでは、そうした事をよく言っていました。この言葉は【祖父母や親族に、がんになった人が多い】という事を意味しています。けれども、色々なお医者さんに“がん家系”について聞いたところ、皆さん同じことを言いました。

「がん家系なんて、ないんですよ。だって、二人に一人がかかるんだから、誰にだって可能性がある」と。

遺伝性のがんも無いわけではありませんが、ほとんどの場合、喫煙、飲酒、食生活、ストレス…など、様々な生活習慣が原因となり、がんという病気になってしまうことが長年の研究で分かってきたそうです。
しかし、「がんは怖いもの」というイメージが強く、【自分とは関係ない】と思いたい人が多いため、がんの知識はなかなか広まっていかないように思います。

がんは治らない病気?

では、どの部分の「がん」に、日本人はなりやすいのでしょう。

●厚生労働省が「主要五大がん」と定めているもの
・肺がん
・大腸がん
・胃がん
・乳がん
・子宮(頚がん・体がん)

これらは、男女ともに死亡率が高いがんの種類ですが、実は「がん検診の効果が科学的に証明されているがん」。つまり、“健診での早期発見ができ、早く治療すれば治る”とされているのです。けれども、こうした前向きな事実も、あまり浸透していません。

私が、がんを公表した理由

多くの人に、検診の大切さを知って欲しい…と、私は自分の病気の公表を決めましたが、それと同時に「0期という“早期発見”の私が、がんについて語って良いものなんだろうか」とも考えました。

なぜなら、私は抗がん剤も、放射線治療もしておらず、手術以外の「がん治療」を経験していないからです。
しかし…これこそが「がんという病気への刷り込み」なのだと気づきました。

“私というサバイバー”が伝えるべきことは、「検診を受けて、早期発見をしたら治った」という事実。
そして、これは【亡き友が贈ってくれたもの】であり、このバトンを多くの人へ渡すことが私の役目なのだと、今では考えています。

サバイバーの人たちは、あまり自分の病気を人に言いません。
プライバシーに関わることだから言わないということもありますが、多くの場合、「理解して貰えないんじゃないか」「腫れものに触るように扱われる」…といった疎外感を避けるために、あえて公表しないというサバイバーの声を耳にします。

「がん」が、特別な病気でなくなっている今、検診についても、病気になった後の事も、もっと社会全体で当たり前のこととして考えていかなくてはならない。そうしたことに、私の経験が少しでも役立てばと思っています。

〜モデル:藤森 香衣〜